アートには『国境も身体的ハンディキャップもない』ことを、各国代表らが熱弁
Global News Asia / 2021年3月7日 9時0分
2021年3月6日、アートを通した障がい者の活動が、福祉の枠を超えて社会参加となることを目指して話し合う「アートとインクルージョンと多様性に関する国際シンポジウム」(International Symposium for Arts, Inclusion and Diversity)が、オンラインで開催された。兵庫県神戸市の団体「アートはみんなのもの」とフィリピンの「サンフラシススクール」が主催し、アジア9カ所の国と地域から参加した。
「アートはみんなのもの」は、芸術・文化・表現活動を通じて、多文化共生社会(インクルージョン)や多様性を受け入れる社会(ダイバーシティ)を促進する団体。
シンポジウムは、タイの障がい者就労支援団体「ワーカビリティ・タイ」代表が基調講演を行なった。続いて、「アジアにおける芸術、インクルージョン、多様性」をテーマに、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、香港からの各団体がそれぞれの活動を語った。また、急遽参加できなくなったミャンマーの活動について、司会者より紹介があった。
そして、日本発祥のアートワーク「さをり織」を題材に「さをり織の社会における意義」をテーマにした発表がフィリピン、カンボジア、日本から行われ、参加できなかった台湾の実情について司会者が説明を行った。「さをり織」は、NPO法人さをりひろばが、1970年から障がい者らの就労支援や、災害被災者の心のケアなどの活動を、日本を含む約50ヵ国で行なっている。
終了後、主催者である「アートはみんなのもの」代表でシンポジウムの司会進行を務めた平澤葉子さんは「今回、ミャンマーから参加予定だった団体が、政情不安のために参加できなかったり、台湾では山岳地帯であったためインターネット環境が悪く不参加となりました。しかし、各国で活動するみなさんが一堂に会することができたのは、大変に貴重な機会でもありました。途中、いくつかのトラブルもありましたが、このつながりをもとにアートはみんなのものだというメッセージを広く届けていきたいですね」と話した。
今回、シンポジウムの取材を通して気づいたのは、音楽に国境はないとは昔から言われて来たが、アートにも国境がなく、さらに健常者と障がい者の隔てもない。問題は、活動の資金集めと協力者の確保だろう。そのことは、各団体とも共通しているようで、最後の質疑応答でもそれぞれの状況を互いに聞いていた。著者もタイの津波被災者を取材した際に、被災地でさをり織を知ったのだが、一般的には身近に接する機会がなければ、中々関心が向かないことでもあろう。和やかに終始したシンポジウムではあったが、表に見せない苦労も小さくないのだろう。新型コロナの影響でオンラインとなったこのシンポジウムではあるが、逆にオンラインなればこそ、もっと裾野を広げる機会にもなり得るのではないだろうか。
【取材 : そむちゃい吉田】
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