すべてを灰燼に返さない限り、ミャンマーにならない「北角裕樹さんの拘留続く」
Global News Asia / 2021年4月29日 6時0分
2021年4月29日、ミャンマー在住の日本人フリージャーナリスト・北角裕樹さんは、正しい中立的な情報を発信していたが「虚偽のニュースを広めた疑い」で身柄を拘束され、刑務所に移送され訴追されたままの状態が続いている。
ミャンマーでクーデターが起きた(2021年2月1日)。アウンサン・スーチー女史が中心的に国政を進めるようになってから、国際的イメージの好感度は上がっていたはずだった。しかし、その裏で、国軍の不満や国民の考え方の違いなどいろんな問題が起き、収拾がつかなくなるくらいの状態になっていたとも言える。
ミャンマーは1948年にイギリスから独立した。その後タガが外れたように内戦が続き、62年から約半世紀の間閉鎖的な軍事政権が続いた。ビルマという国名だった時代だ。国際的に開かれた国としてデビューしたのは、21世紀になってからといっても過言ではない。
ミャンマーの大統領の生年月日は、国家秘密だ。政府要人の生年月日も同様。それは、まだ誕生日によって黒魔術をかけられると言った思想が、現代においても残っている証拠でもある。
国際的には「できる女性である」スーチー女史に対して好意的な感情を抱いている国民ばかりではない。情報統制や、自分への権力集中などを行っている。「建国の父」とも言われるアウンサン将軍のお嬢様なので特別扱いされているともみられる。父親譲りで、短気な性格。政治家向きではないとする国民もいる。
ミャンマーには、少数民族がいる。その少数民族武力勢力との和平も遅々として進まなかった。それは、スーチー女史が、イエスマンばかりで周囲を固めたせいだとも言われている。昨年11月の総選挙でも、国軍が不正を主張し、調査を求めた。が、スーチー女史の党の圧倒的勝利だったために、彼女は拒否した。
ミャンマーの憲法下では、国家危急時には、国軍総司令官が全権を掌握することになっている。スーチー女史は、ガンジーを信奉する非暴力主義なので、当然軍隊には反対のスタンスだ。今回のクーデターでは蚊帳の外だ。
国際的な経済的制裁が、往々にしてクーデター鎮圧につながることもある。しかし、ロシアが国軍に武器を輸出し、中国やタイ、インドやラオスなどは国軍政府との経済関係を築いているので、欧米や日本などなくても国としては保てる。
内戦が激化して、アメリカと中国が代理戦争を行ってミャンマー国土が灰燼になれば、ゼロから国づくりができると希望している国民がいるくらいの酷い状況がある。
新たある「国民の支持を一身に受ける」指導者の登場がない限り、この時代に内戦は続く。少数民族がそれぞれの主張をしている。折り合いを付けられるのは、もうスーチー女史でない事だけは確かの様だ。今となっては彼女はイメージレディとしての存在だけだったのかもしれない。
【編集 : fa】
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