軍クーデターで、ミャンマーの繊維業界も崩壊へ
Global News Asia / 2021年5月8日 5時0分
2020年5月、コロナ禍で、ファッション界は、毎年使い捨てもできるファストファッションが利用されるようになった。折込チラシに掲載される今週のバーゲン価格でも十分に安いし、実店舗に足を延ばせば、ワゴンに1シーズン遅れの衣類が数百円で売られている。
縫製国を見ると、ミャンマーがベトナムと同じくらい多くなった。かつて安かろう悪かろうの双璧だった中国や韓国の製品ではない。縫製もかなりしっかりしており、国民性が伺える出来上がりとなっている。
そのミャンマーで、今年2月にクーデターが起きた。新型コロナで、安くても売れないと言う痛手をもう十分に受けていたところに、クーデターだ。
大規模な抗議デモに加え、治安部隊という軍のクーデーターの暴力行為による多数の死者。そして、ミャンマーで今後、アメリカと中国が代理戦争を始め、中国に侵略されるかもしれないという恐怖。ミャンマー国民の心は、今窮地にある。
中国籍の方が営んでいる、従業員数800人の工場も今、岐路に立たされている。すでに、経営者が中国人だと言うことで工場が焼き討ちされた。さらに、海外からの発注も停止している。工場稼働率は20%までに落ち、クーデター前に発注されたものでなんとか持ちこたえている。50%にあたる従業員400人は解雇済みだ。
カンボジアやベトナム、そして母国中国への工場移転も検討中だという。
クーデターが続けば、原材料の仕入れも、完成品の出荷も難しくなる。また、従業員がデモに加わったり、戦場となった国土において工場までたどり着けない人もいる。安定した生産が出来ないのだ。
欧米のアパレルブランドは、ミャンマーの雇用を守るために。事業契約を継続するとの声明を出している。しかし、実際は、注文を取りやめるところが続出している。人間とは、お金が絡んでくるとそう言うものだ。
ミャンマー繊維業界の多くが中国資本だ。自国ではないから、混乱に巻き込まれたくなければ、引き上げることも容易だ。残される従業員に、新たな仕事は見つからない。もっともっと貧困に陥ることが推測できる。
クーデターが源ではあるが、低賃金で働く人を求め、それに応じたミャンマー人も、また、中国人資本家以上に、岐路に立たされている。
【編集 : fa】
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