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【コラム】「葬式」としての商売にならなくなるからか…韓国

Global News Asia / 2022年2月9日 7時0分

葬式のイメージ

 韓国のお葬式の風習になくてはならないのが「泣き女」の存在だ。本来は、故人がどんなにこの世で慕われていたか、亡くなられると心の支えを失う人がいるかを知らしめるために、親族が大泣きしたのが源と言われる。しかし、家族がいくら泣いたとて、それは家族という社会の悲しみでしかないと誰かが気が付いたとき、「泣き女」は商売になった。
大勢の女性が、お葬式の際に、泣く。「泣き女」のプロと呼ばれる人は、一泣きの金額がべらぼうに高い。ある意味、あの人に依頼して泣かせるくらいだから、この家、立派な家だという証拠にもなる。泣くのは、遺体に縋り付いてだ。または、火葬直前に派手に泣く。

 それがコロナ禍によって、葬儀自体が変わってしまった。韓国国内では、この2年の間に6166人が新型コロナで亡くなった。もちろん、それ以外の原因でも亡くなっている。

 日本では、万が一生き返ることもあるというので死亡後24時間火葬はできない。それさえも、新型コロナが原因で亡くなった方に関しては、もっとスピーディに専門業者が火葬を行い、遺族は遺骨に対面してはじめて、本当に死んだことを確認する。もちろん、それは、2020年前半であり、今は完全防備した形で、遺族の代表が、窓越しでも、最後のお別れができるように配慮されつつある。

 韓国では、亡くなってから、2~3時間以内に焼かれるそうだ。病院には、火葬場が併設されていたりもするので、難しいことではない。これを、韓国人は「先に火葬するなんて、非人道的だ」と訴えている。政府は、すぐに火葬した場合に葬儀支援費を給付している。

 日本でも、一家でコロナに罹患してしまい、おじいちゃんが亡くなったために家が特定され、他の家族が引っ越しをせざるを得ない事態が普通に起きている。不名誉とかという問題ではなく、未知の病気であり、感染経路もまだわかっていない今、いろんな偏見が、罹患者に対して残酷な仕打ちをさせていることは否めない。

 どんな病気でもそうだが、人は死に目に会えないと、大なり小なり後悔する。コロナ罹患は、貧富で選ばれるものではない。本来ならば、泣き女をたくさん呼んで、故人を称えるはずが、それすらできない。

 泣き女も商売上がったり。家族葬に小規模で送ると香典などの「儲け」はまずでない。だからこその国からの葬儀支援費とも思えるのだが。

 永遠の別れである場に家族が立ち会えるように、政府が政策として配慮するのは憲法上国民基本権の保障だと主張する国民が増えている。泣き女団体の声も多かろう。

 ということで、2022年1月下旬、一部葬儀後の火葬も、認められてしまった。感染予防より大事なことって、やはりお金なのかしら。

 しかし、泣き女が何百人泣いても、家族が誰一人悲しくない葬式もある。日本でもそうだが、葬儀に関して、シンプルに最低費用で送るシステムが必要だと、コロナが教えてくれているような気もするのだが。…お葬式は、人間の最後のお祭りだともいうからなあ。
【編集 : fa】

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