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【インド】2022年4月からの予算案レポートーHSBCアセットマネジメント

Global News Asia / 2022年3月1日 8時0分

インクルーシブ開発

 インドのインクルーシブ開発への取り組みは、中国が提唱する「共同富裕」構想と同じように、急成長する経済の恩恵を社会全体、とりわけ社会経済階層の下位に属する人々が、確実に共有出来ることを目指している。そのために、予算案では、特に農民、子供、小規模企業経営者への支援策が明記された。具体的には、政府は、1,600万人の農民を支援するために、小麦と米の買い上げ予算として2.4兆ルピーを計上した。農業支援予算には、農薬や肥料の散布などを行う農業用ドローンなどの技術開発と導入や耕地面積拡大のための灌漑インフラ整備向けの歳出も盛り込まれた。

子供に適切な教育機会を確保するために、テレビの教育放送チャンネル数を現在の12から200に増やす予定である。オンライン授業用の無料コンテンツも拡充される。

政府は、新型コロナウイルスに伴い打撃を受けた小規模企業を救済するために、緊急信用枠保証制度(ECLGS)の対象期間を2023年3月まで延長するとともに、信用枠総額を5兆ルピーに引き上げた。政府保証の裏付けがあるECLGSは、小規模企業が経営難に陥った際に資金繰りの改善に繋がる。

生産性の向上と持続可能性

 ビジネス環境の改善が生産性の向上に繋がり、ひいては経済に利益をもたらすと確信する政府は、規制緩和を公約に掲げている。実際、最近数年間で2万5,000件以上のコンプライアンス規則と1,486に上る国家規定が撤廃された。民間企業に求められる現在の法的届出は手動で、時間を要し無駄な手続きが多い。こうした中、政府は「ビジネス環境の改善」を一段と推進させるために、これらの手続きのデジタル化と、異なる政府機関のプラットフォームを統合するために必要なITソリューションの確立を計画している。

 インドの人口のほぼ半数は21世紀半ばまでに都市部に集中するという見通しがある中、政府は、いわゆる人口ボーナス(農村から都市への労働力の移動は生産性の向上をもたらすことで知られている)をフルに活用するため、現行の都市計画フレームワークの刷新を予算案で提案した。

 モディ首相が2021年の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)にてインドが2070年までにカーボン・ニュートラルを達成すると表明していたため、予算案の重点項目としてクリーン・エネルギーへの移行が浮上したことに驚きはなかった。気候変動関連では、高効率の太陽光発電モジュールの生産に向けて、生産連動型優遇策(PLI)として1,950億ルピーの予算が上乗せされた。さらに、二酸化炭素排出削減を推進するために、石炭火力発電燃料の5~7%をバイオマス燃料にすることが決まった。

投資のための資金調達

 上記の政策の全てを実現するためには、最終的には財源の確保が重要になる。政府予算案で示された野心的な歳出計画に必要な財源の全てを単独で賄う能力がないことは明らかだ。そのため、官民連携によるブレンド・アプローチが求められる。政府は、適切な公共投資は民間投資を引き寄せる触媒として重要な役割を果たすと考えている。そうした役割を満たすために、新年度の公共投資予算額は7.5兆ルピーで、前年度比35%増となった。
【編集 : af】


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