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インド金融政策の枠組み・HSBCアセットマネジメント レポート

Global News Asia / 2022年5月2日 12時30分

一方、市中銀行に過剰流動性が生じれば、市中銀行には、それを流動性吸収ファシリティであるSDFを通じて、RBIに貸出すことが認められている。

レポレートは現在4%で、いわゆる金利コリドー(政策金利に対する上下かい離許容幅)については、上限をMSFレートに(+25ベーシスポイント(bp))、下限をSDFレートに(-25bp)に各々設定されている。

RBIがこれらの資金供給・吸収オプションを用意しているため、銀行間翌日物貸出市場金利(その代表は加重平均コールレート)は、上述の3つの金融政策手段により形成される金利コリドーの範囲内に概ねとどまることが予想される(図表1)。

金融政策の効果波及経路

短期の加重平均コールレートに影響が及ぶと、理論的には、金利の期間構造を介して長期市場金利に影響が波及する。

しかし、金融市場では流動性の水準がアンバランスになることが度々見られ、その場合、短期金利の変動が長期金利に効果的に波及することは、なかなか難しい。

そこで、RBIは、イールドカーブを金融政策目標達成に資する水準に維持するため、長期金利の動向に注視している。

短期金利以外の金利に影響を与える金融政策の出番である。RBIは、変動金利レポやリバースレポ(債券担保による資金の借入れ)を通じて、イールドカーブ上で加重平均コールレートより残存期間が長い部分を対象に、流動性の供給・吸収を実施する。

また、RBIは、より長期の国債が使われる公開市場操作も行っている。

これらの金融調節措置を通じて金利を上下させることで、RBIは消費者や企業の支出の促進・抑制に影響を与え、インドのインフレ軌道を調整している。

RBIの現行スタンス

RBIは、2022年4月8日の政策決定会合終了後に発表した声明文の中で、政策金利のレポレートを4%に据え置くと述べた。言うまでもなく、主要国の中央銀行は難しい局面に立たされている。

インドでは、ウクライナ紛争が始まる前に、サプライチェーンの混乱でインフレ率は高止まりの状態が続いていた。その状況は、2月下旬の地政学的ショックで、インドが石油の主要輸入国であるという事情も重なり、さらに大きく悪化している。

インフレ圧力が続けば、RBIはインフレ抑制という政策への信頼を損なわないよう、金利を引き上げる必要に迫られることになる。

しかし、インフレ目標の枠組みを採用している中央銀行の場合、経済成長を完全に無視して動くことは考えにくい。RBIのジレンマはそこにある。世界の国々が、コロナ渦から脱却して、コロナ前の経済成長率を取り戻そうとする中で、金利引き上げに踏み切れば、長い間待ち望んだ景気回復の芽を摘み取ることになる。一方、インフレを抑制するには金利を引き上げる必要がある。
【編集 : AF】


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