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【タイ】代理出産問題=街中で市民の反応を訊いてみた

Global News Asia / 2014年8月14日 9時0分

子どもの引き取りは拒んでいない、と主張し始めたオーストラリア人夫妻。写真の子どもは、双子で産まれ、引き取られた子ども。

 2014年8月、日本人男性がタイ人女性の代理母を使って多数の子どもをもうけ、国外に連れ出している件について、富裕層の御曹司による相続税逃れなのか、人身売買に絡むのか、現時点では不明なものの、タイ人社会は複雑な反応を見せている。

 タイのメディアでは、日本人男性による騒動で、実際に子どもが公開されている。オーストラリア人夫妻による引き取り拒否に関する報道も目立つ。これは夫妻と代理母がテレビのインタビューに登場したこともあるが、残された代理母と子どもへの同情を駆り立てていると思われる。

 そんな状況の中、街で日本人男性の騒動について訊いてみた。

 テレビニュースで知ったというバンコク都内中心部の歓楽街スクンビット通りで飲食店を営む男性は、「(この日本人男性は)お金持ちなんだろ? タイでは、お金さえあれば、人も殺せるけれど、子どもが少ない日本に連れて帰るなら、いいんじゃないの。このあたりには日本人も多いけど、日本で子どもを育てるのは大変だって、みんな言ってる。タイも子どもが少なくなって来ているし、このまま税金が上がったら、ますます子どもが育てにくくなる。だから、彼は日本社会に貢献したと言えるんじゃないかな」

 バンコク都内中心部のビジネス街シーロム地区の会社員はあきれたようにこう語る。

「タイでは子育てにお金がかかる。私は妻と共働きで、2人の子どもを必至に育てているよ。それを1度に何人も産ませるなんて、よほど子どもが好きなんでしょうかね。私だって子どもは好きです。お金に余裕さえあれば、もっと欲しいと思う。とても羨ましいですよ」

 夜の街では、少し反応が違うようだ。
 
 ある日本人クラブで働いているカラオケ嬢は、「1人30万バーツ(約90万円)もらったんでしょ。それなら私もお腹を貸したのに(笑)。でも、冗談はさておいても、子どもを育てるためにこうして身体を張って生きてることが虚しくなるわよね」

「このタイにだって、明日の食べ物に困ってる子どもたちはたくさんいる。そんなにお金があるなら、そういう子どもを引き取ればいいのに」
 こう語ったのは、自身も幼い頃にNGOの養育支援を受けていたという女性だ。

 タイ警察では、この日本人男性本人から事情聴取を行なえるよう、弁護士を通じてコンタクトを続けている。

 また、オーストラリア人夫妻がダウン症の子どもを引き取らなかった件については、ほとんどの人が異口同音に「障害があろうとなかろうと、産まれてきた子どもには等しく愛される権利があるし、愛すべき存在だ。それを放棄するなんて、親になる資格がない」と厳しい意見が多かった。

 タイに限らず、アセアン諸国では、子どもを何より大切にする傾向が強い。家族に子どもが産まれると、親族がこぞって子育てに参加する。タイの地方で両親が揃って出稼ぎに行き、祖父母や親戚が代わりに育てるケースが多いのは、そうした背景にもある。

 日本人のケース、オーストラリア人のケース、どちらもコトの真相はともかく、子どもたちが今後どのように育てられるのかを心配するコメントも多かった。
【執筆 : そむちゃい吉田】

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