【コラム:タイの田舎で考えたこと2】資本主義経済に翻弄される農民たち
Global News Asia / 2022年7月26日 9時0分
また、タイの企業が契約栽培を持ちかけてくることも多い。この場合は買取額は安いが、種子から肥料が無料で支給される上に、集荷にも来てくれる。このため、タイ北部の山岳地帯ではポテトチップスのためのジャガイモをはじめ、スナック原料となる野菜の生産が多い。こうした情報もやはり口コミによって伝達されている。そして、重要になってくるのが地区長だ。特に山岳部では、一軒の農家が持っている畑は大きくない。周辺の地区長が企業との間に入って彼らを取りまとめたり、作物を振り分けたりする。
タイでは、国による保護や補償政策もないに等しく、かつてインラック政権時に価格安定のために米の買取をしたが、大量に余らせて財政に大きな負担となってしまった悪例もある。つまり、農家は自分たちで生産計画を立てなくてはならないにも関わらず、頼れるのは口コミという状態がいまだに続いているのだ。ネットを活用している向きもあるにはあるらしいが、そこにはタイ人であっても有象無象の輩が手ぐすねを引いて持っている状態だ。また、こうした問題はかの王室プロジェクトが管轄している農園でも例外ではない。一般の農家よりも予算を持ち、農業博士が監督してるため、作物の品質は非常にいいのだが、安定した売り先という面では苦労が絶えないという。
つづく
【執筆 : そむちゃい吉田】
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