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【コラム】タイ人に愛された日本兵:第3回(全7回)〜日タイ友好の戦争博物館

Global News Asia / 2022年8月11日 11時0分

 1996年(平成8年)に私はクンユアムの郡長と相談して、クンユアムの寺(ワットモイト)の前に戦争博物館を作った。しかしまだ展示するものはなかった。
 建物の半分に日本軍のものを展示することにした。これは昔の戦争でメーホンソン県と関係あるからだ。
 メーホンソンの人たちに「博物館を作ったので日本兵のものを持っている人は持ってきてください。」と呼びかけた。そうしたら機械とか、いろいろな物がどんどん集まってきた。ただで持ってきてくれる人もいた
 しかし最初はあまり意味が分からなかったためか、みんな協力してくれなかった。時間が経つにつれて協力してくれる人も出てきてグループができた。
博物館に集めたものを専門家が調べたら、本当に日本兵が使っていたものだった。(中略)

 博物館が出来たとき日本のマスコミの人、タイのマスコミの人がたくさん来て報道したため広く知られるようになった。
 このときはまだ600点ほどしか集めていなかった。遺品を集めただけで、山にはまだまだいっぱい有るが持ってくることは出来ない。
 そしてまだお墓のこと、道路建設のこと、橋を作ったこと、日本軍のことなどはまったく調べていなかった。
 クンユアムに博物館ができたことが日本にも伝えられた。そしてかつての日本兵がここをおとずれるようになってきた。そして来てみて、展示されている物を見て写真を見て感動に咽んだ。それからこの人たちが協力してくれた。お金とか物を送ってくれて、この博物館が充実してきた。(中略)

 この博物館で当時の日本の考え方や思い出が理解できる。ぜひ次代の若い人たちが戦争の意味を考えてほしい。悲惨であるとか、正しいとかそういうことを。

 クンユアム博物館は1996年(平成8年)11月9日開館した。
 開館したときは、ただ物を集めただけだったが、すべて完全に調べ終わったのが2000年(平成12年)であった。このとき庭にある車や、中にある器械など1000点ほどが集まっていた。

以上が著書「第二次世界大戦でのクンユアムの人々の日本の兵隊さんの思い出」に記載されたほぼ全文だ。(一部省略)

 こうしたチューチャイ氏の遺品収集や聞き取り調査。そして博物館の設立と著書の執筆の後、2006年(平成18年)6月13日にプミポン国王在位60周年行事のために来タイされた明仁天皇陛下(現上皇)ご夫妻とチュラロンコン大学構内で謁見された。

 そして、翌2007年(平成19年)4月29日その功績に対して、天皇陛下より旭日双光章を受章。同年6月27日、在タイ日本大使館で叙勲式が催された。これらについて当時の詳しい内容は、ホームページを参照されたい。

ここで紹介されている戦争博物館は、現在クンユアムにあるタイ日友好記念館が設立される以前にあったもので、チューチャイ氏によると現在のタイ日友好記念館とは「展示物は寄付したが関係はない。」とのこと。

第4回「日本兵の生活と住民との交流」へつづく

本コラムは、故チューチャイ・チョムタワット氏の遺志を後世に伝えるべく書かせてもらっており、過去や現在の戦争行為を賛美したり美化しようとするものではないことを明記させていただく。
【執筆 : 編集 そむちゃい吉田】


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