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【コラム】タイ人に愛された日本兵〜第7回〜終戦の日にチューチャイさんに捧ぐ(全7回)

Global News Asia / 2022年8月15日 11時0分

 今年は終戦から77年。チャーチャイ・チョムタワット氏が2003年に著書「第2次世界大戦でのクンユアムの人々と日本の兵隊さんの思い出」を発刊してから19年。本コラムは、タイ北部ミャンマー国境メーホンソン県のクンユアム警察署長だったチャーチャイ・チョムタワット氏が、村人から日本編の遺品を収集して博物館を建造し、聞き取った話などをまとめた著書の中からここまで6回に渡って、そこに書かれていることを転載してきた。これはこの本が一般には非常に手に入りにくいこともあり、できるだけ多くの人に知ってもらいたい。知るべきだと思ったからに他ならない。そして、同名ホームページを管理をされていて、著書の日本語訳をされた武田浩一氏と連絡を取り、転載の許可をいただいて書かせてもらった。そして、その返信では武田氏からは今回の連載は、チューチャイさんも喜ぶでしょうとのお言葉をいただいた。

 わたし自身は、タイで発行されている雑誌の特集記事の取材で2013年6月にクンユアムを訪れ、同時にチューチャイ氏に会ってインタビューさせていただいた。その際に「日本兵の遺品はまだまだたくさんあります。今の博物館は、わたしが思っているものと違うものになってしまった。だから、もう一度、前のような博物館を作りたいんだ。」と言っておられました。そして、それは若い人たちに戦争の時代に何があったのかを正しく伝えることができる。あの戦争は、悲惨だった。しかし、その現場では日本人とタイ人は助け合い、愛しあっていた。そして、カンチャナブリにあるような悲惨さばかりを訴える博物館ではなく、そこであった生活とか交流をきちんと伝えなければいけない。それを伝えていくのが、わたしの余生をかけた仕事です。」と老いてなお、かくしゃくと抱負を語っていた顔が今でも脳裏に焼き付いている。

 しかし、その志半ばの2016年1月にチューチャイ氏は天に召された。チューチャイさんの話を直接聞いたものとして、後世に伝えるというその志を自分なりに果たしたいと思い続けて、これまでも時折、記事として寄稿してきた。今回思い切って著書をストーリーごととは言え、ほぼ丸々を転載したが、まだまだ書ききれていないし、伝えるべきことはわたしが知っているだけでも、他にもまだまだある。それらは今後も機会をみて寄稿していきたいと考えている。それはチューチャイ氏から託されたことであり、ライターとしての責務としてできる限り続けていく。この中から何を感じ取るかは、読者のご判断に委ねることになるのだが、この著書に書かれていることは、日本人として正しく知ってもらうべきものだと信じている。

 戦争という異常な事態は、忌むべきものであり、無くすべきだと誰もが信じている。それなのにいつまで経っても無くならない。それは、お互いに理解し合い、リスペクトしあい、許しあい、愛しあうという人としての本能よりも、自己満足な欲望を優先させてしまうことにあるのだろう。日本人にとっては、チューチャイさんが書き遺してくれた過去の事実を知り、一方的に卑下するだけの戦後教育とは違う視点で、戦争を捉えることも必要だ。
【執筆 : そむちゃい吉田】


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