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【コラム】貧困世帯の多くが暖房に「練炭」、一酸化炭素中毒で倒れた男性、宅配員の機転で救出

Global News Asia / 2023年4月7日 6時0分

韓国イメージ

 韓国においては、高齢者や貧困世帯の多くが、暖房に「練炭」を用いている。日本においては、昔は田舎の掘りごたつなどで使用されていたが、今はほとんど見かけない。炭や練炭を扱っていた商店も、プロパンガスや灯油を扱う店に変わっている。

 しかし、韓国においては、「練炭」の暖房はまだ現役だ。今でも約10万世帯が使用していると言われている。その理由は、暖房費に換算すると灯油の4割で済むからだ。また、無料で練炭を配るボランティアグループもある。

 しかし、練炭には大きな危険が潜んでいる。それは「一酸化炭素中毒」だ。一酸化炭素は無色無臭で気づきにくいが、強い毒性がある。換気が悪いと、不完全燃焼で発生する。一酸化炭素濃度が高くなると、頭痛や吐き気などの症状が現れる。重篤な場合は意識を失ったり死亡したりする。

 そんな危険な事故を防いだのが、ある宅配員であった。その日、彼は「マッチ練炭」と「韓国式焼酎」の注文を受けて届けた。「マッチ練炭」とは、マッチ一本で着火できるようにコールタールが混ざっているものだ。日本価格にして500円弱くらいだ。

 ドアを開けると、発注者の顔色が妙に赤かったことに気づいた(一酸化炭素中毒では、血液中のヘモグロビンが赤くなるため、顔色が桜色になる)。もし一酸化炭素中毒になりかかっている状態で、焼酎を飲んだら…。配達員は虫の知らせを感じて、警察に通報した。

 警察は救急隊と共にその家を訪れた。反応がないことを確認した後、ドアをこじ開けて中に入った。先ほど荷物を受け取った人が一酸化炭素中毒で倒れていた。幸い命に別条はなかった。

 宅配員の仕事は大変だ。エレベーターの電気代や小銭を要求されたり、待遇も良くない。宅配の品物が箱などに書かれていると、プライバシーの侵害だと怒る韓国人もいる。配達員は届けて終わりでいいのだ。しかし、この配達員は顔色と配達物を見て、危険を察知した。彼の機転で、一命を取り留めた人は感謝の言葉を述べたであろうか。

 今は、普通の生活ができるまでに回復したそうだ。命あっての、練炭だが、安易に使うと命を失うこともある。練炭中毒は、発電機や木炭などでも起こる。換気が十分でない場合は、使用しないことが大切だ。一酸化炭素警報器の設置も有効な手段だ。練炭の暖かさに魅かれる前に、安全対策をしっかりと行おう。
【編集 : fa】

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