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【コラム】「電子ザーサイ」が中国の若者の食卓を支配

Global News Asia / 2023年5月8日 6時0分

スマホ

 韓国の食卓に、キムチが必ずあるように、中国の食卓には、ザーサイがある(日本では、梅干しも海苔も衰退して何もないかも)。

 中国の若者は、今、おひとり様で食事をとることが多い。従来なら家族や友人と円卓を囲み大皿料理で食事を行っていた。しかし、コロナ禍で、同じ箸で同じ料理をつつき合い、唾が飛ぶ範囲で食事をするのは、ぎりぎり密な家族だけしか許されてはいない。それすら、若者的には不安で、家族とは別に自室でデリバリー食を貪る。

 1人で食事は味気ない。自分が食事をする時に、見たいテレビ番組がやっているとは限らない。そこで、食事のお供は、スマホやタブレットによる動画だ。海賊版と呼ばれるまとめサイトで、食事しながら一気見もできるから、手間いらず。

 この食卓の上の主役を「電子ザーサイ」と呼ぶ。実際にザーサイはなくても、中国の若者は何ら困らない。

 例えば、おかずが、ふりかけ(やごま塩)だけであろうと、空腹を満たすだけなら、意識は映像の方に飛ばし、機械的に空腹を満たせばいい。意外と、若いとそれはできたりする。ある程度の年齢にならないと、「二つのことは1回にはできない」という意味はわからない。映像を見ながら粗食をする、若者なら全然OKなのだ。

 もちろん、本物のザーサイがあれば、ふりかけだけより歯ごたえがあるかもしれない。でも、どこの国もだが、1台持ったら永久的に使えるツールにはスマホはなりえない。機種代と毎月の使用料が、食費を超えることもある。スマホなしでは暮らしていけない人が一定数いる。映像で豪華でおいしい料理を見ながら、ご飯だけというのもありかも。

 なんだかスマホが世の中に普及して10年ちょっとだが、人間はとても貧しい食事を強いられることになった気がする。
【編集 : fa】

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