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ラオス南部サワンナケート紀行(序文)期待と不安

Global News Asia / 2023年6月12日 7時0分

タイラオス友好橋のウエルカムボード(そむちゃい吉田撮影)

 2023年6月5日から4日間をかけて、3年ぶりにラオス南部のサワンナケートを訪ねて来た。新型コロナの間にこの閑静な街がどう変わり、あるいは変わらずにいたのか。今回の訪問はそんな事を探して歩いてみる。

 わたしは以前、ラオスに1年ほど住んでいたことがある。その時は旅行代理店の業務もあったので、ビエンチャンにほとんどの時間を過ごしていた。時々、お客さんの視察に同行して地方へも足を延ばしたので、そのおかげでラオス南部はほとんどの県を走破したことがある。とはいえ、それももう10年前のことになる。前回、ラオス南部にあるこのサワンナケートを訪れたのは、2020年3月16日から19日にかけてだった。ご記憶の方もいるかと思うが、タイとラオスの国境が閉じられたのが3月20日。つまり、国境封鎖の前日だった。世界的なパンデミックとなりつつある状況で訪れたサワンナケートの街は、マスクをしてる人もまだまばらで、まだまだ世界的パンデミックの実感はなく、街中でパンデミックを感じさせた物は、土産物屋で売られていたいかにも手作りなマスクだけ。そこには世界に大変な事が起き始めている事を感じさせる物は皆無と言って良かった。

 実は、その訪問の直前2020年2月中旬にはタイのテレビ番組の取材で鳥取県へ行っていた。その頃は新型コロナの検疫は成田や関空などの主要空港で始まっていたが、地方空港での対応は遅れていたようで、バンコクから広島空港へと降り立った時の検疫は、ほぼノーチェックだった。そして、その後に訪れたこのサワンナケートも、ほぼノーチェック。つまり、パンデミック以前に行ったそれまでで最後のスタンダードな旅になってしまった。

 海が無く、四方を中国、ベトナム、タイそしてミャンマーといった国々に囲まれたラオスは、ひっそりと、しかし中国とベトナム、時にタイとを天秤にかけるような外交を展開しつつ、独自の道を歩んでいる。今でも中国による高速鉄道建設が「債務の罠」だと囁かれている。しかし、ラオスもしたたかに現実的な運用をしている。旅客鉄道ばかりが注目されているが、ラオスで運用されているのは。貨物運送が主軸になっているのだ。表向き、観光客向けにはラオス発の本格的な鉄道として集客を図る一方で、タイやベトナムからの効率的な輸送手段として運用。その利益もしっかり確保しているというわけだ。そうした手法は、かつてのインドシナ戦争あるいは、ベトナム戦争の直後からずっと変わっていない。かの太平洋戦争後は日本への戦後賠償請求権を真っ先に放棄したのもラオスであり、その見返りとして日本はJICAやODAによる支援を積極的に展開。今でも多くのプロジェクトが進められており、今回渡ることになるタイとラオスの第2友好橋もODAとして建設された。そして、世界中から訪れた旅行者の多くがこの国の魅力に囚われる。それは、一度でも訪れるべき旅行先としてルアンパバーンやバンビエンが毎年必ず選出されている事にも表れている。

 前置きが長くなってしまったので、今回の旅の本編は次回からにする。とはいえ、個人的にもこの旅は、数ヶ月前から楽しみにしていた。先にも書いた通り3年ぶりの外国であり、好きな街サワンナケートだ。あの時工事されていたメコン川の護岸がどうなってしまったのか? 街はなにか変わっているのだろうか。期待と不安の両方を抱えての旅だった。

つづく
【執筆 : そむちゃい吉田】

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