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【コラム】香港人には、イギリス植民地だというプライドがあるのかも

Global News Asia / 2023年6月26日 17時0分

キャセイ・パシフィック航空 WEBページ

 香港を拠点にした、キャセイ・パシフィック航空は、まだイギリスの植民地時代だった1946年9月に設立された。植民地という言葉はいい響きではないが、香港人は、そもそも中国人でありながら、イギリス的な生活をし、英語を堪能にこなし、そんな洗練された居住地にいる自分にプライドを持って生きてきたはずだ。中国に返還されるときに、少なからず抵抗した。カナダへの移民も多く出た。

 キャセイ・パシフィック航空のスタッフはいまだにそのプライドを持ちながら航空業務にあたっているのかもしれない。ただ、現代という世界的に躾のない人間たちがそのスタッフにいることも事実だ。

 中国から香港に向かう便で、英語が不自由な乗客に対して、客室乗務員が笑い者にした動画がSNSで拡散した。飛行機内の防犯カメラからの流出はあまり考えられないので、乗客の誰かが動画を撮ってUPしたと考えられる。資質のすこぶる低い客室乗務員は、ただただプライドだけが高くて、英語がうまく話せない人間、特に同胞である中国人が苦々しく思えた故の行為だったのかもしれない。ただ彼らも、対象が中国人ではなく、そのほかの人種で英語が堪能でない乗客にはきちんとサービスを行ったと思える。かつ、乗り込んできた中国人がほかの客に迷惑な行為を行っていたからという線も捨てられない。

 この動画に関連した乗務員3名は即解雇された。

 キャセイ・パシフィック航空は2019年から、完全に中国企業の所有になった。同年に起きた香港の民主化デモに参加した職員が中国当局から圧力を受け、CEOが辞任に追い込まれている。

 イギリス仕込みの航空会社が一つがなくなることで、中国資本の航空会社は他にもある。いつまでもイギリスを引きづっている、いうことのきかない会社など潰してしまっても、中国政府は何ら困らない。

 ただ、従業員やスタッフは潰されたら困る。7月以降、中国人乗客へのサービス品質や満足度の向上を目指し、文化トレーニングを行うとしている。中国国土は広く、いくつかの言語が存在するために、より中国で使われているマンダリン語(中国の標準語)のサービスも加える。また、中国本土からの…生粋の中国人の客室乗務員の採用計画もある。

 キャセイ・パシフィック航空だから乗りたいという客もいる。中国の航空会社だけれど、英語圏のたたずまいがあるから好きだという客もいる。

 たった数人の愚行、いや仕掛けられた犯行によって、航空会社の独自性まで中国化するのは、いかがなものだろう。
【編集 : fa】

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