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【タイ】タクシン元首相の次女、ペートンタン新首相(37歳)就任への期待と不安

Global News Asia / 2024年8月21日 7時0分

 2024年8月18日、憲法裁判所の判断でセター首相が解職された事を受けて、貢献党党首のペートンタン・シナワット氏が新首相に指名された。タクシン元首相の次女でもある同氏の就任で、タイはどうなるのか考察してみた。

 今回の首相交代劇は、タイ憲法裁判所によって、首相だったセター氏を解任すべきとの判断が下された事による。セター氏が閣僚に指名した中に前科者がいる事が、憲法の倫理規定に違反するとの判断されたもの。

 これを受けて11の党からなるの連合政権が指名したのが、ペートンタン貢献党党首だ。18日に行われた就任式典では、「すべての意見に耳を傾けて行く。父(タクシン元首相)からの助言も聞く事もあるだろうが、わたし自身で判断していく。」と表明した。

 女性としては、インラック氏に次いで二人目であり、37歳と史上最年少となる新首相の就任に対して、タイでは表面的には静観しており、様子見といった感じだ。

 現在、タイの政治運営は軍事政権だった頃に改正された憲法によって、実質的に軍部が掌握する状態が続いている。また、不敬罪による摘発は最近では減ってきているものの、去る8月7日には、憲法裁判所によって、その不敬罪の廃止を党是に掲げていた前進党に対して、解党処分されると共に党首と幹部らに対して10年間の政治活動禁止との判決が言い渡されていた。

 そもそも、タイの政治状況は戦後から民主化勢力と軍部との攻めぎ合いが続いており、民主化が進むとクーデターが起きては、1992年5月にはプミポン前国王によって仲裁がなされるなどを繰り返してきた。

 タクシン元首相も2006年4月外遊中に起きたクーデターによって、当時の首相の座を追われ、昨年やっと帰国を果たしている。また、8月18日には現国王誕生日に伴う恩赦によって、正式に自由の身となった。

 こうした流れから、表面的にはタクシン派が盛り返しているような見方もできる。さらには、また以前のような混乱に陥るのではないかとの見通す評論家もいる。しかし、先述の通り現在の憲法や軍部が多数を占める上院によって、政党による議決権は大きく制限されている。その為、今後もほとんど変わらないだろうとの見方が多い。

 近年は、若い世代を中心に変革を求める声も根強くある。ペートンタン新首相が軍部や守旧派と民主派のバランスを取っていけるのか、難しい舵取りが予想されているが、タクシン家得意の経済分野の発展にうまく注力できればいいのだろうが。そして、守旧派とのバランスを取れなかった場合は、悲観論の予測通りにタイの政治はまたしても混迷の道へと陥ってしまうのかもしれない。
【編集 : Jakrawan】

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