投資の神様「ウォーレン・バフェット」の功罪。他の投資家と何が違ったのか【プロの投資家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月15日 8時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
スイス・キャピタル・インターナショナルのアナリスト兼ファンドアドバイザーとして株を買い付け、キャリアの礎を築いた伝説の投資家・澤上篤人氏。バブル崩壊時、中小型株を買い付け、投資家としての才を発揮した渡部清二氏。現役で活躍する両者の、金融に関する本音を対談形式で紹介します。
多くの投資家が直面する、「市場内外」の温度差
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渡部 私、金融が虚業だと思ったことが2回あるんですよ。
澤上 俺、ずっと思っている。金融は虚業もいいところ。俺は、もともと事業家の息子なんでね。だから自分は業態としては金融をやっているけれども、限りなく事業家的にやっているんよ。「さわかみグループ」(澤上氏が代表取締役を務める企業グループ)全体が事業家集団だよ。
渡部 私も、本当は虚業だと思っているんですよ。本音は虚業だとずっと思っていて、自分も金融の世界にいたから、余計に思っていて。ただ、その気づきのきっかけが実は2回あります。
金融の混乱期こそ「儲けるチャンス」
1回目が2003年、当時みずほ銀行(当時みずほホールディングス、現みずほフィナンシャルグループ)が潰れると噂されていたんですね。そのために1兆円増資をすることになり、三菱銀行(当時三菱東京フィナンシャル・グループ、現三菱UFJフィナンシャル・グループ)が公募増資に走ったんです。それは野村證券が主幹事で、一本(野村だけで行うこと)だったんです。
その時、当時の三菱銀行の頭取が野村證券のディーリングルームに来て、「この公募が成功しないと日本は潰れる」とおっしゃった。我々はみんな「これはやらないといけない。大変なことだ」と思いました。
ところが、仕事を終えて会社の外に出たら、普通の人たちは何も騒いでいないわけです。「あれ? 何も大事件は起こっていない。普通の生活が外にある」と感じたんです。それが1回目。
2回目はやはり、リーマン・ショックです。この時も「世の中はひっくり返るぞ」なんて野村内では言われたし、確か、1年間で時価総額が3,000兆円ぐらい吹き飛んだという話だったんですが、また野村から外に出ると、至って普通の生活が行われていて、誰も騒いでいない。「あれ? 何、これ?」って思っちゃったんですね。それ以来、金融は虚業だと思っていまして。
澤上 そうなんよ。どんなに株の世界で大暴落が起こっても、株式市場の外の人々には、それとは関係なく、毎日の生活がある。俺はそのあたり頭の整理ができているから、リーマンの時も、金融の人たちは大騒ぎしているけれども、「下がっている。しめ、しめ」と買いまくったわけ。
2008年9月からじゃなくて、10月、11月からひどく下がってきたの。あそこでめちゃめちゃ拾ったよ。「ありがたい。こんなに安く買える」とか言ってね。あとはほったらかしで。するともう、翌年の2月、3月には、30%も上がっているわけよ。「やったぜ。長期投資って楽なもんだな」と。
渡部 ははは。
長期投資家の目的は「いい世の中をつくること」
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澤上 実は俺は、ウォーレン・バフェットさんとは違うの。バフェットさんは投資家としては素晴らしい。投資という意味においては、神様。だけど、リーマン・ショックの時に、あの人と自分との違いがはっきりと出たわけ。彼はゴールドマン・サックスを助けちゃったよね。
渡部 ああ、そうですね。
澤上 金融バブルの張本人で、めちゃくちゃやりまくった会社を、なんで助けないといかんのか? 俺だったら、あんなの、潰れていいだろうと思った。世の中の役に立つどころか、世界経済にえらい迷惑をかけた。
ところがバフェットさんは、自分が経営する会社「バークシャー・ハサウェイ」に超有利な条件で50億ドルの投資を行った。そこでわかった。バフェットさんは長期投資家じゃないなと。
投資家としては素晴らしい。アイデアがすごくて、投資の収益機会をうまくつくり出しているから素晴らしいけれども、長期投資の目的は、いい世の中を、将来を、つくっていくことなんよ。人々の将来の生活をつくっていくことなの。だから我々のような本物の長期投資家というのは、人々の生活から一歩も離れないでやるわけね。
澤上 篤人
公益財団法人 お金をまわそう基金
代表理事
渡部 清二
複眼経済塾
代表取締役塾長
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