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なぜハンズマンは、「経営効率」を度外視しても、潰れないのか――ジワジワとお客さんが増えているワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月16日 8時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事では長期投資家として有名な澤上篤人氏が思わず応援したくなった「面白い会社」について、四季報読破の達人・渡部清二との対談形式で紹介します。

76歳、投資キャリア約50年の澤上氏が投資する企業の特徴

澤上 もう数え切れないぐらい思い入れのある会社は、ある。笑っちゃうのもあって、その典型は株式会社ハンズマン。このお店は九州だけなの。最近ようやく大阪にお店出したけど。

渡部 宮崎でしたっけ?

澤上 そう。上場したての頃、親父さんと息子さんが会社に来た。今は息子が社長をやっているけれど。それでいろいろと話をしてくれる。それを聞くと、この会社はかなり本気でやっているなと。どうしてかというと、ユーザーにとって、本当になくてはならない会社なの。

普通はビスとか釘とか、袋に12本とか20本入っているでしょう? ところが実際は、1本か2本しか必要がないわけ。残ったものは余分になってしまう。だから、ハンズマンは釘1本から売るわけ。

普通はこういったDIY(専門業者でない人が、何かを自分でつくったり修繕したりすること)の小売店は、お店に並ぶ商品点数が10万点ぐらいなのね。ハンズマンはそんな体制だから、30万点を軽く超えているわけ。超効率の悪い商売になっている。

また欠品がある場合には、あちこちに吊るしてあるわら半紙に、お客さんがリクエストを書いておくと、翌日には仕入れてくれる仕組みになっている。

何もかもが、お店には大変だけれども、お客さんのためを考えてという仕組みになっている。金融とはえらい違い。

渡部 そうですね(笑)。

どこまでも「お客さんファースト」なお店

澤上 朝の7時から9時近くまでは、お客さんはプロの人。9時半からは一般のお客さんが来店する。プロ用から一般用まで、全部揃えているわけね。

面白いのは、電動工具って普通のお店ではお客さんは店員から説明を聞くだけで買う。ところがハンズマンでは、広い場所があって、そこに全部の工具が置いてあり、店員が使い方を教えてくれて、お客さんは使ってみる。それで、自分にとって一番使い勝手のいい電動工具を買うことができる。

商売という観点からは、どう見ても無駄ばっかりやっているけれど、お客さんにとっては素晴らしいお店なわけ。

渡部 なるほど。

店舗設計をプロに任せず、自分たちで

澤上 そういう経営方針だから、毎年、どんどんお店を出すのではなく、2年とか3年に1店舗増やすというやり方。お店の設計もプロの設計士を雇うのではなく、店員が自ら店舗設計をするわけ。今度ここにお店を出そうと考えれば、お客さんにとって、一番いいと思ってもらえるお店を、自分たちの経験で設計するわけ。そうなふうにしているから、ますますもってお客さんには便利なわけ。そのため、じわじわじわじわとお客さんが増えてくる。これは面白い会社だと考えた。

だけど、会社の規模もまだ小さく、うちの買いで株価が急騰しないように、株を少しずつ買っていくのも大変だった。それもあって、将来どこかで売って利益確定など至難の(わざ)。でも「売れなくともいいや」と買っていった。その当時の株価は200円とか300円。そしたら、今、2,000円とか3,000円になっている。

企業への応援の意味で株購入も、結果的に株価が上昇

最初買った時には、経営効率が悪くて、そこそこ利益が出ている会社に過ぎなかった。だけど、お客さんはむっちゃ喜んでいる。そういう意味において、この会社は大事な会社だった。だから応援せにゃいかんということで、ずっと応援してきたわけ。そしたら結果的に株価も大きく上がった。

澤上 篤人

公益財団法人 お金をまわそう基金

代表理事

渡部 清二

複眼経済塾

代表取締役塾長

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