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「日本国債大崩壊」の先にある、まさかの光景…<富の持ち主>が入れ替わる、戦後日本の“再来”時に、笑うのは誰か【経済のプロが予測】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月24日 8時15分

「日本国債大崩壊」の先にある、まさかの光景…<富の持ち主>が入れ替わる、戦後日本の“再来”時に、笑うのは誰か【経済のプロが予測】

(※写真はイメージです/PIXTA)

世界最大の債権国である日本であっても、国債がデフォルト可能性は十分にあると著者は言います。そのような国の財政状況が危機的なときでも、価値が変わらない株式とは何か、解説します。

国債のデフォルトが確実な理由

渡部 澤上さんは、国債がデフォルトすると思ったことはありますか?

澤上 ずっと思っている。デフォルトするに決まっているじゃない。

渡部 私たちも住宅ローンがありますが、家もあります。例えば、弊社の塾頭でトルコ出身のアナリスト、エミン・ユルマズは、「日本は1,200兆円も国債を発行できるのがすごい」という言い方をします。「住宅ローンがあるけれども、家があるように、良い悪いは別にして、日本はバランスシートで資産はある。だから国債のデフォルトはない」と言っています。

澤上 あのね、それはスタティック・アナリシス、つまり現状分析では正しいんよ。けれども、もし国債が下がりだして暴落したら、みんな売るよね。国債などを売るという動きに加速がついたら、金利はあっという間に跳ね上がるよ。

渡部 そうですね。

澤上 金利が上がりだすと、それが経済の現場に押し寄せてくるわけよ。すると、ゼロ金利をベースに動いていた金融マーケットや経済活動の多くは、金利上昇の荒波で大混乱に陥る。株価や債券価格が値崩れを始め、企業倒産の続出で、日本経済全体が大きな資産デフレ状態に陥る。つまり、資産勘定は大きく目減りしたのに、借り入れ勘定はまるまる残った状態になる。

90年代に入ってのバブル崩壊で発生した減価、つまり、資産デフレ額は日本経済の2.2倍から3倍に達した。当時、それだけ巨額の資産価値が吹っ飛んだというわけよ。

渡部 これもある意味、取捨選択されていく。現在は価値がないにもかかわらず、値段がついているものの価値が剥げ落ちていくということですね。

国債の暴落で直面する「大混乱」

澤上 日本は世界最大の債権国だから大丈夫と言う人もいるが、実際の数字から言うと、そんなにないんよ。海外債権は300兆円から400兆円。国の借金は、1,200兆円。まず、ここで全然違う。それから個人資産が2,000兆円あるということだが、その中に借金が380兆円。だから、実質は1,600兆円。うち、600兆円ぐらいが生命保険と年金。だから、動かせるお金って意外にないわけ。

渡部 そうですね。

澤上 もっとも、数字で、机上の議論でいうと、何とかなると思うかもしれん。学者は、そっちを言うわけ。我々は経済は生き物だと思っているから。国債などが本当に暴落しだしたら、みんな売る。そしたら、どうするの? 誰が買うの? 買う人がいないんだよ。

渡部 なるほど。

澤上 となると、国はどうやって経済運営をするの? もう既に1,200兆円を超す借金を抱えているうえに、金利上昇で国債発行は難しくなる。金利コストも跳ね上がる。そういった大混乱に直面すると、日本人は慌てて動き出す。意外に、その時には日本人は刹那的に動く。ヤバいよ。

渡部 すると、どうなりますか?

澤上 いま富裕層とかいっている個人などが相当に富を失くすよ。それと、預金を抱え込んでいた高齢者たちも、資産を大きく減らす。

もちろん、お金がすべて消えてなくなるわけではない。富裕層や高齢者たちが失った富は、別の誰かの手に移っていく。

渡部 戦後と同じだ。

国債がデフォルトした時も、「いい会社」の株式を持っている人が強い

澤上 そういうこと。戦前、戦中に戦時国債を持った人たちはみんな、パーになっちゃった。だけど、戦後の混乱時、闇市や株式の売買は決済資金として自由にやれたので、にわか成り金や株成り金が続々と生まれた。富の持ち主が入れ替わったわけだ。両方とも個人資産なんよ。

したがって、これから襲ってくる金利上昇の大混乱時も、我々のいう大義名分を理解して、長期投資をしていた人は、一緒に「良かったね」となる。国債が暴落して、国の財政運営に黄信号が灯っても、たとえばしっかりした経営のトヨタの企業価値は変わらないよ。だから国債がデフォルトした時も、いい会社の株式を持っている人が強いの。

それに金融バブル崩壊で経済が大変なことになった場合、銀行などの経営が厳しくなったり、最悪の場合は破綻したりすることもあり得る。銀行の経営が厳しくなった場合は、預金などは「資産性の資金」ということで、毎月の生活に必要な額までというような払い戻し制限を受けることもあり得る。破綻の場合は、ペイオフで確実に保証されているのは1,000万円まで。

ところが、証券会社に預けてある株式投資用の資金やその売却代金は、「決済性の資金」と位置づけられる。決済性の資金とは、経済を動かすための資金で、当然どんなときでも経済は動かす必要があり、払い戻し制限はない。

また、証券会社に預けてある資金は証券保管管理機構(ホフリ)を通して、日証金信託銀行に信託財産として分別管理される。要するに、危機の時には証券会社にお金を預けておくのが安全なわけ。

いいと思った株はいますぐ買うべき

渡部 編集の人が「やはり、トヨタが安全か?」と訊いていますが。

澤上 トヨタみたいにすごい会社でなくてもいいわけ。トヨタの株価も早く戻すかもしれないけれども、すでに買われているから、下げることは下げる。

もっと地味な会社でいいわけ。先ほども言ったように、地味な会社はそれほど買われていないから、売りもあまり出ない。だから今から買っておいていいし、暴落時に下がってもすぐに戻すだろう。そういう株を、渡部さんたちは『会社四季報』で探す。これはこれで、一つの方法でいい。

だけど、我々はもっと気楽にやっている。もっと身近なところの企業よ。「潰れなきゃいいんだ」ぐらいの考えでね。

澤上 篤人

公益財団法人 お金をまわそう基金

代表理事

渡部 清二

複眼経済塾

代表取締役塾長

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