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「カーナビを売ってなんとかする」父が他界し、自宅を相続…消費者金融で不動産を担保に2,000万円を借りた“年収350万円の22歳・派遣社員”の末路【CFPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年2月22日 11時45分

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不動産を担保に融資を受けられる「不動産担保ローン」。一般的に、無担保ローンと比較して金利が低く、返済期間が長く設定できるため、月々の返済額を抑えられるというメリットがあります。 最大融資額が大きいという点も魅力のひとつでしょう。一方で、もちろんリスクもあって……。本記事では公認会計士、税理士、証券アナリスト、CFP、宅地建物取引士の資格を持つ鄭英哲氏が、事例とともに不動産担保ローンの注意点について解説します。

年利29.2%…20年前の消費者金融業界

新卒で入社したのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの消費者金融業界。

筆者はいまでこそ、公認会計士、税理士や証券アナリストなど多くの資格を活かして仕事をしていますが、大学を卒業した2001年から2年間、某大手消費者金融で働いていたことがありました。つまり、新卒から2年間は「金貸し業」をしていたのです。そんな消費者金融で働いていたときにあったエピソードを一部脚色して紹介したいと思います。

当時、消費者金融業界は筆者の勤務先(以下「X社」とします)以外に、T社、A社、P社、L社の5社が大手として君臨していました。これらの創業社長は当時の日本の長者番付にも載るくらいでしたので、いわゆる「飛ぶ鳥を落とす勢い」だったといえます。

当時の出資法の上限金利はいまでは考えられない「年利29.2%」! 朝から晩までテレビCMが流れ、「借りることがかっこいい」みたいな風潮もあったように見えます。筆者が勤務していたX社も、消費者金融ブームの波に乗って業績は非常に好調。仕事は厳しいものの、新卒の筆者でも初年度の冬のボーナスが額面で60万円はもらっていたと記憶しています。  

そしてX社の主力商品は、

1.通常の貸し出し 2.不動産担保ローン 3.連帯保証人付きのローン

の3つ。不動産担保ローンは、不動産の評価によっては1,000万円まで融資ができるため、特に会社から営業強化の対象となっていました。

ある日訪れた22歳の派遣社員

ある日、いつもの電話を取ると若い男性の声。

内容は、「いろんなところから借りているところ、最近不動産を相続したから低利の不動産担保ローンで1社にまとめたい」という相談でした。

当然、筆者としてはありがたい申し出です。不動産の内容や、相続の状況もヒアリングし、いざ来店予約。そして、申し込みの来店時、本人を見て驚愕しました。

まさかの高校の同級生A君。A君は、うぶな生徒が多い男子校のなかでも目立つ存在で、文化祭ではダンスホールを企画するほど、おしゃれな青年でした。もちろん、クラスも違う地味な筆者のことなどは知っている由もなく、筆者が一方的にA君を知っているにすぎませんでした。

そのおかげで来店したときも初対面としてビジネスの話ができました。A君の背景や不動産を相続した経緯を聞くと、以下のとおりでした。

・A君の仕事は家電量販店の派遣社員 ・亡くなったのは「父」 ・現在の家族は、母、妹の3人 ・相続財産は、江東区の自宅と、それ以外に土地・建物1軒 ・相続人はA君が単独相続 ・すでに遺産分割協議も完了している

つまり、A君は自由に不動産を担保に入れることができる権利があったということになります。

その後、着々と事が進み、いよいよ審査も終了。そして、融資した金額は、自宅+自宅とは土地・建物を担保に、X社の融資上限の「1,000万円」。金利はいままでの半分以下の12%。

筆者にとっても、入社初の不動産担保ローンの融資。最高の融資金額となりました。普段からピリピリしている支店長から賞讃されたことは20年以上経ったいまでも覚えています。そのくらい、不動産担保ローンを取り扱っていたX社とって、高額の融資実行は大きな功績だったといえます。

その後、A君から他社のローンはすべて返済したとの連絡を受けました。

ただそのとき、自分と同じような進路をたどった22歳のA君が、なぜ消費者金融で250万円もの借入を作ったのだろう……違和感は感じていました。

ものすごい勢いで1,000万円を使い切ったA君

そのとき感じた違和感は見事的中することに。

融資から3ヵ月後、先輩からまさかの一言が。

「Aさん、自宅じゃないほうの不動産を売却して1,000万円を完済するんだって」

「え?」筆者は耳を疑いました。どう考えても、X社と他社の返済に使ったお金はせいぜい250万円。700万円の融資枠は残っているはず。

すぐにA君の利用履歴を見てみました。すると、ATMから頻繁に50万円を借りていることがわかります。そして、借入残高もあっという間に上限の1,000万円に……。

しかし、A君の仕事は年収350万円の家電量販店の派遣社員。頻繁に50万円が必要となる仕事ではないはずです。推測するに、22歳の若者が「1,000万円」という高額の融資枠を持ってしまったがために、散財してしまったのでしょう。

3ヵ月後、追い打ちをかける出来事が…

その3か月後、今度はA君の返済遅延が始まったのです。

A君は、前に不動産を売却して1,000万円を完済したはずです。しかし実は、最初の完済時に自宅に付いていた担保を外しておらず、1,000万円の融資枠を残していたのです。そして、また借り始めたようでした。

さすがに、自分と家族が住んでいる家をすぐに売却するわけにはいきません。回収担当者には、「カーナビを売ってどうにかする」と返済の猶予を申し出ていたようです。

売っても何万円にしかならないカーナビ。対して、毎月の返済金額は約20万円。まったく足りません。

結局、X社の不動産部門に「任意売却」という手段で残りの1,000万円も完済し、家を手放したとのことです。父が亡くなってから、1年足らず。

遺してくれた自宅と土地・建物。計2軒の不動産を担保に2,000万円借りて、短期間で溶かしてしまった22歳のA君。

住む家を失くした母と妹さんの詳細はわかりませんが、当時、筆者と同い年でお金で失敗したかつての同級生に気の毒と思わずにはいられませんでした。

「任意売却」とは?

支店勤務の筆者は聞いた程度にしか知りませんが、不動産担保ローンで借りた人の多くは返済がままならず、最終的には不動産を手放すことになるそうです。

多くの場合に採用されるのが、先述の「任意売却」です。

通常、支払いができなくなれば「競売」にかけられますが、競売になると高値で売れません。そこで、バンザイをする前に、X社の不動産買取部門が安く買い叩くわけです。具体的には、融資金額の残高くらいです。

そして、X社は安く買った不動産を不動産市場にて時価で売ります。そうすれば、それなりに金利で儲け、最終的に不動産売却益も取ることで二重に儲かるわけです。

教訓として、一番大事なことは、消費者金融で借りないことだと痛感しました。  

鄭 英哲

株式会社アートリエールコンサルティング

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