年金支給額が少なくて老後が不安です…50代でもまだ間に合う!「年金支給総額を増やす」3つの方法【家計再生コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月23日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
日本の年金制度は何度も改定されて非常に複雑なため、すべてを把握することは至難のワザでしょう。ただ、せめて「自分がいくら年金をもらえるのか」や「年金支給額を増やす方法」などは知っておきたいところ。そこで、『老後のお金、本当に足りますか?』(オレンジページ)著者の家計再生コンサルタントの横山光昭氏が、年金制度の基本と支給額増額のテクニックを解説します。
「国民年金」か「厚生年金」かで大きな差が
まずは「ねんきんネット」で確認
年金の受給額は、「どんな種類の年金をどれだけかけたか」で変わります。そのため、受け取れる年金の金額を知るには、まずは「年金」の仕組みについて理解しておきましょう。
日本の年金制度は、建物に例えると「3階建て構造」になっています。
まず1階部分に、すべての国民が加入する基礎年金である「国民年金」があります。2階部分は、会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。3階部分は、確定給付企業年金(※)や確定拠出年金、厚生年金基金などの企業年金や国民年金基金、iDeCo(イデコ)などの個人で加入する年金だと考えてください。 (※)確定給付企業年金:厚生年金の適用事業所において、事業主が従業員と給付の内容をあらかじめ約束し、高齢期において従業員がその内容の給付を受けることができる企業年金制度。
国民年金のみ加入している人は、受給できるのは国民年金の金額のみとなります。厚生年金に加入している人は、国民年金に加えて厚生年金の金額が上乗せされます。企業で加入する年金やiDeCoはそれに加えて給付される、という仕組みです。
年金の額は、計算式で決まっている
1年にもらえる年金額は、下の式で概算を出すことができます。こちらは2023年分を基準にした計算です。
①国民年金6万6,250円(2023年年金月額)×(※保険料納付月数÷480ヵ月)×12
※保険料納付月数の計算が必要なのは、480ヵ月未満の場合のみ。
②厚生年金自分の平均年収×加入年数×0.005481
年金額や年収は変動するため目安ではありますが、国民年金のみ払っている自営業の方は①の6万6,250円(年79万5,000円が満額)。会社員の方は①+②が受け取れる年金額となります。
仮に、大学卒業後に23歳で就職し、65歳で定年を迎えたとすると、厚生年金の加入期間は42年(504ヵ月)。男性の平均報酬額は2020年度末のデータで月額約35万円(年収約420万円)、女性は月額約24万円(年収約288万円)ですから、計算すると
男性年間約176万円
女性年間約146万円
となります。
「計算が複雑でよくわからない」という人は、日本年金機構が開設している「ねんきんネット」にアクセスしてみましょう。マイナンバーカードとメールアドレスを準備して登録をすれば、自身の年金の記録や、将来もらえる見込額を計算することができます。マイナポータルからも確認できますよ。
50代でも間に合う!「年金支給額を増やす」3つの方法
年金支給額を試算→少なくて老後が不安です…
国民年金の場合、トータルの年金支給額を試算して不安に思った方もいるのではないでしょうか?
しかし、今すぐ対策を始めれば、しっかりと備えることが可能です。もらえる年金の額を増やすには、大きく3つの方法があります。
①国民年金基金や私的年金などの制度を併用する
②受給年齢を繰り下げる
③未納分を追納する(満額に近づける)
①は国民年金基金やiDeCoなどを使い、掛け金自体を増やすという方法。②は「受給年齢を遅らせることでもらえる年金を増やす」という方法です。実は国民年金も厚生年金も、66歳以降に「繰り下げ受給」をすることで受給額を増やすことができます。
③はこれまでに年金の未納期間がある人の場合、追納をすることで支給金額を増やすことができます。ただし、納付期限から10年過ぎた場合、追納はできません。
年金の掛け金を増やすと、メリットがたくさん
年金には、「掛け金を多くすることで将来の受給額を増やす」さまざまな仕組みが用意されています。
■国民年金基金……自営業やフリーランスなど、国民年金の被保険者が利用できる制度。国民年金に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度で、掛け金の額により将来の年金額が決定します。終身年金が基本で、遺族に一時金が支給される「A型」か、一時金が支給されないが掛け金が抑えられる「B型」のいずれかを選ぶ
■iDeCo……国民年金や厚生年金に上乗せした年金を受け取るための「個人型確定拠出年金」で、金額に条件はあるものの誰でも加入可能。自分で運用商品を選ぶ必要がある
■付加保険料……国民年金の加入者が、毎月の保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めることで、将来受け取る年金額を増やすことができる仕組み
これらは、トータルとして年金の支給額を増やすことができるだけでなく、所得控除を受けられるというのが最大の特徴です。住民税や所得税を軽減することができるので、将来に備えながら節税した分を貯蓄に回す……ということも可能に。特に国民年金基金やiDeCoの場合は金額が大きくなるため、節税効果が見込めるでしょう。
それぞれの特徴を把握し、自分に適した方法で始めてみましょう
横山 光昭 株式会社マイエフピー代表 家計再生コンサルタント
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