あれっ「ポテチ」ってこんなに高かった?手取り月28万円の40代サラリーマン「お菓子タイム」に直面した物価高の現実<br />
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月21日 14時15分
「あれっ、こんなに高かった?」「あれっ、こんなに量が少なかった?」日々、さまざまなところで感じる、物価高の影響。実際にどれほどのものなのか、「身近なモノ」で振り返ってみましょう。
40代サラリーマンが「お菓子タイム」に覚えた違和感
――あれ、ポテチってこんなに高かった?
――あれっ、しかもこんなに少ない……
――子供のころはもっと安くて、袋にパンパンに入っていたような……
会社での小休憩。なぜか無性に食べたくなり、ポテトチップスを買ってきたという40代の男性社員が違和感を口にしました。
1970~1980年代、ポテトチップスは一袋90グラムというのが一般的。それが近年は、原材料価格の高騰などにより、容量は60グラム程度に。価格もあがっています。
総務省統計局『小売物価統計調査(2024年1月)』によると、ポテトチップス一袋の値段は全国平均197円。特に2022年1月に全国平均157円だったのが、以降、グッと値上がり。「ポテトチップス一袋200円時代」に突入する勢いです。
さらに総務省『2020年基準消費者物価指数』で2020年を100とした際の価格推移をみていくと、その10年前の2010年には89.7、さらに20年前の2000年には85.7、30年前の1990年には79.1、40年前の1980年には62.1。2020年12月の価格である154.0円を基準に考えると、1980年95.6円→1990年121.8円→2000年132.0円、2010年138.1円と、確実に値上がりしていることがわかります。
――ハンバーガーなんか、俺が大学生の頃はすごく安かったけど。今は結構するもんな
ハンバーガーの2020年12月の全国平均価格は196円。これを100とすると、2010年には149.9円、2000年には148.2円。日本マクドナルドが「平日65円」という衝撃的な価格で世間を驚かせたのが2000年2月のこと。確かにこのときを基準に考えると、高くなった印象をもつかもしれません。
――牛丼だって、すごく安くなかったか?
牛丼の2020年12月の全国平均価格は444円。これを100とすると、2010年には398.3円、2000年には403.6円。そして2024年1月は515円。確かにこの最近、牛丼1杯の値段はグッと上昇しました。牛丼チェーン大手の吉野家、牛丼1杯の価格は2001年に280円。このころはライバルも次々と値下げ。ランチに牛丼を食べたうえにコーヒーを飲んでもワンコインで済んでしまうほど。このころの記憶が強く残っているからでしょうか、昨今の値上げは、さらに厳しいものに感じてしまいます。
40代サラリーマンの平均月収は37.0万円。手取りにすると28万円ほどです。月のお小遣いは、平均4万円弱。決して十分とはいえない小遣いから、捻出して買ってきたポテトチップス。そこで改めて感じた物価高の現実に、思わず肩を落としてしまったといいます。
失われた30年に終止符…賃上げの動きは広がるか?
バブル経済崩壊後、日本経済は落ち込み、「失われた30年」と呼ばれる低迷期に陥りました。日本人の消費力が落ちるなか、価格改定の際に行われたのが「内容量を減らし価格は据え置き」といったものでした。しかし昨今の物価高では「これ以上内容量を減らすのは……」となり、価格を引き上げ。結果、冒頭のように「昔はもっと量が多くて安かったのに……」と違和感を覚えることに繋がったのでしょう。
またバブル崩壊以降、経済はデフレ状態に。特にハンバーガーや牛丼などの外食では、私たちも驚くような値下げ合戦が行われ、ワンコインランチは当たり前。通常700円以上のランチメニューが500円で食べられるお得なランチブックが話題になったのも、もはや遠い記憶です。
そんななか、私たちの給与の推移をみていくと、いまいちさえません。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によると、2023年の日本人の平均月収は31万8,300円。2013年29万5,700円、2003年30万2,100円、1993年28万1,100円と、多少の増減はあるものの「この30年ほぼ変わっていない」という状況。
そんななか、昨年内閣府が公表した『経済財政白書―動き始めた物価と賃金―』では、「我が国は依然としてデフレから脱却したとは言えない状況ですが、モノだけでなくサービスについても価格が改定される頻度が上昇しているなど、企業の価格設定行動に変化が見られ始めており、今の日本経済で注目するべき動きとなっています。」と述べているとおり、「物価上昇」、さらには「賃金上昇」の好循環となるのでは、と期待感が高まっています。
実際に今年の春闘では、物価上昇分を上回る回答が相次ぎ、期待通りの展開に。ただ懸念点をあげるとすれば、賃上げの動きはまだ限定的であるということでしょうか。
城南信用金庫と東京新聞が中小企業に対して行った賃上げに関するアンケート調査によると、2024年3月調査で「賃上げ予定あり」は36.0%で、前回1月調査よりも5ポイントほど改善。一方で「賃上げの予定なし」は30.9%と、以前として3割の中小企業は賃上げの余裕すらないという実態が浮き彫りになっています。
賃上げの動きをさらに大きく、強いものにできるのか……いまが正念場だといえそうです。
[参考資料]
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