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「2型糖尿病」が改善する可能性も?…「3ヵ月で10kg減量」を達成する〈5つの極意〉とは【専門医が推奨】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月13日 11時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

糖尿病を防ぐには、脂肪を落とすことが重要です。脂肪を落とす手段として「運動」が思い浮かびますが、「減量するには運動だけでは難しく、食事から見直すことが大切」と、肝臓外科医の尾形哲氏は言います。尾形氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)より、実際のエピソードとともに見ていきましょう。

3ヵ月で「10kg減量」を目標に

【登場人物】 ・前田 広人(会社員)……20代から10kg以上太ってしまった30代の会社員。健康診断により「肝機能」と「糖代謝」で要精密検査となり、スマート外来へ。スポーツドリンクの大量摂取が一因となり、「境界型糖尿病」と「脂肪肝炎」との診断が下される。  

・前田 美希(主婦)……広人の妻。妊娠5ヵ月。  

・尾形 哲(医師)……肥満・脂肪肝専門外来「スマート外来」担当医。外来患者の8割以上を3ヵ月で5kg減、脂肪肝改善に導くメソッドを確立する。

 「こんにちは。このイスで座りにくくはありませんか? 気分が悪くなったりしたら、すぐに教えてください。今日はお2人そろって来てくださって、ありがとうございます。広人さんから、話は聞かれましたか?」

「はい。夫を学生時代から知っているので、体型がずいぶん横に大きくなったと感じていました。仕事も忙しいようで、どうしても夕飯が遅くなっていることが気がかりでもありました。ただ、糖尿病に片足を突っ込んでいる状態までとは思っていなくて……。先生、何が悪かったんでしょう?」

「大切なのは、今日からどう生活して体を改善していくかになります。それを、一緒に考えていきましょう。失礼ですが、奥さんのお名前も教えていただけますか」

「はい。前田美希と申します」

「先ほど美希さんも気にされていましたが、広人さんは20歳のときと比べて10kg体重が増えたということですね。前回の計測結果では、広人さんは身長175cm、体重90kg、骨格筋量31kg。体脂肪率28%。肥満度の指標になるBMIは29.4。骨格筋量は30代男性の平均よりも多いですが、中等度の肥満です。ここで、3ヵ月後の目標体重を設定しましょう。広人さん、何kg痩せたらいいと思いますか?」

「とりあえず、少し運動量を増やせば、5kgくらい減らせるでしょうか……」

と、不安げに答えた。

2型糖尿病患者も「減量」で治る可能性がある?

「今からあることを説明します。その後、改めて同じ質問をしますので、よく聞いていてください。脂肪肝がある人は、体重やBMIが今どれだけあろうと、5%減量すると体調がよくなります。7%以上の減量で、肝細胞の脂肪化や、脂肪肝炎が軽減します。10%の減量で、肝臓が固く変化していく組織の変化、肝線維化も改善することが知られています。

減量の程度によって、どこまでが改善していくかの答えがすでに出ているのです。広人さんは、この数年、脂肪肝による慢性肝炎が続いていたと考えられます。広人さん、何kg減を目標にしましょうか?」

「……9kgですか?」

先生は微笑んだ。

「伝わってよかったです。やみくもに減量を始める前に、動機づけになる明確な目標を立てることが実現への近道です。広人さんは筋肉量も多いので、体重を落としやすいと思います。20歳のときより10kg増えたようなので、最終目標は1kg上乗せして、10kg減にしましょう。広人さん、2型糖尿病の診断がついている人でさえ、減量で治る可能性があるんです。

スコットランドで行われたDiRECT研究によると、内服薬で治療中の2型糖尿病患者さんのうち、1年で体重が15kg以上減った方の86%は、完全に糖尿病の薬をやめることができたそうです」

「わかりました!」

返事をする声に思わず力が入った。隣で妻もゆっくりうなずいた。

「1ヵ月3kg減量のペースで、まずは3カ月9kg減を目指しましょう。その後は体重をゆるやかに減らして80kg以下で6ヵ月キープしてください。広人さんの脂肪肝炎と境界型糖尿病は、どちらも必ずよくなっていきますから」

先生の言葉を、心に刻もう。

「では、どうやって減量していくか話し合いましょう。先ほど広人さんから、運動という発言がありました。でも、運動だけで痩せるのは難しいんです。これはさまざまなデータから明らかです。痩せるには、まず食事から見直しましょう。食事で体重を3~5kg減らしてから運動を始めると、体が軽くなって続けやすいです」

<先生からの処方箋>

体重が減っていく食事量を知ることが優先! 減量してから運動すれば、体が軽く続けやすい。

減量作戦を成功に導く「たすきの法則」とは?

「では、広人さんと美希さんによる、3ヵ月10kg減量作戦の実践に向けて、『極意5ヵ条』をお伝えしましょう」

「減量作戦……。何かゲームみたいですね」

「楽しんで取り組むほうが続けやすいし、達成感も得られますからね。さっそくですが、第1条は『毎日体重と食事を記録する』こと。後ほど体重記録表をお渡ししますので、毎日体重を量って記入してください。食事内容も記録して。スマホで写真を撮れば5分もかかりません。次回、記録したものをお持ちください」

「わかりました」

第2条は『甘い飲み物をやめる』。前回お話ししたとおりです。野菜ジュースは? カロリーゼロ飲料なら飲んでもいい? などと尋ねられることがありますが、私の回答はいつも同じ。飲んでいい飲料は、水、お茶、ブラックコーヒーです」

「スポーツドリンクを見ると、シュガースティックが浮かぶようになりました」

「それはすばらしい。第3条は『野菜を増やす』ことです。1日あたり350gの野菜を食べましょう。両手いっぱいにのる量が目安です。1日5皿の小鉢を目標とするとよいでしょう。生野菜でなくてもかまいません。具だくさんみそ汁をお椀に1杯なら1皿分、ジャーポット(350g)1回分の野菜スープなら2皿分の野菜が摂れますよ。野菜は食事の最初に食べると、血糖値の急上昇を抑えてくれます。特に緑黄色野菜はたっぷりと」

残りの2つは以下だ。第4条は「糖質(精製穀類)を減らす」ことで、第5条は「加工食品を減らす」こと。カップ麺やスナック菓子は、つい口にしてしまうことがある。まずは買わないことから始めよう。そして、先生から2枚の紙を渡された。

「1枚目は先ほどお伝えした体重記録表です。毎日記録して、グラフにしてください。こちらの紙は、広人さんに今、記入してもらってから読み上げてもらいます。次回、1カ月後の目標と最終目標を書き込んでください」

紙には、「私のスマート宣言」と書かれてある。なるほど、そういうことか……。僕は空欄部分を埋めて、読み上げた。

「私のスマート宣言。私は今90kgです。これから4週間、9月12日までに86kgになります! 目標体重80kgまで通院します! 20XX年8月12日 前田広人」

そして、立会人としてO先生も署名欄にサインをしてくれた。「これから3ヵ月、いろいろな不安や葛藤もあるかもしれません。『たすき』が広人さんの体を変えてくれることを信じて取り組んでみてください」

「たすき……?」

「はい。『た』は短期間、『す』は数字にして、『き』は記録するの頭文字です。スマート外来で減量に取り組む方に、『たすきの法則』としてお伝えしています。3ヵ月と期間を限定し、10kg減を実現する。そのために、毎日の体重や食事を記録、見える化するのです。広人さんの体には、すでにたすきがかけられました。美希さんは伴走者です。心強い伴走者もいることですし、しっかり完走して、そのたすきを勲章として掲げられる日を楽しみにしています」

「ありがとうございます。がんばります」

〈先生からの処方箋〉

危機感が爆発力を生む。今日からの自分は、昨日までの自分ではない。

尾形 哲 長野県佐久市立国保浅間総合病院 外科部長/「スマート外来」担当医

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