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不動産保有と家賃収入はインフレにも強い? 持ち家を売却した方がよい目安と、それでも持ち家〈維持〉の選択肢を残しておきたいワケ【専門家の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月18日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

持ち家を賃貸に出しても、採算がとれなければ売却した方がもちろん得策です。しかし、それでも持ち家を維持する選択肢は残しておいた方がいいと、麗澤大学工学部で教授を務める宗健氏はいいます。宗氏の著書『持ち家が正解!』(日経BP)より、持ち家が資産運用に一役買う可能性と、インフレ時の影響について見ていきましょう。

持ち家を売却してしまうのが正解の場合とは

売却を選択すべきケースもある。一つは、家賃収入で住宅ローンの返済などが賄えない場合だ。賃貸収入でどの程度キャッシュフローのプラスが必要かについては様々な計算方法があり、ここでは詳細には触れないが、住宅ローンの返済に加えて固定資産税や管理委託費などを支払った後に、最低でも家賃収入の1割程度、できれば2割が残ってほしいところだ。

もう一つは、売却予想価格が住宅ローン残高を下回っている場合だ。日本は長年の経済の停滞と異次元緩和といわれる金融抑圧政策によりインフレが起きず、不動産価格も都心のマンションなどを除けば、現状維持か緩やかな下落傾向が続いてきた。そのため家の資産価値も緩やかに下がっているケースがある。

住宅ローン残高を下回るほど、すなわち担保割れになっているということは、世の中の水準以上のスピードで資産価値が下落していることになる。そういったケースでは今後もその含み損が拡大していく可能性が高い。

資産価値が大きく下落しているということは家賃水準も緩やかに下落していくことを強く示唆しており、借り手を安定して見つけ続けることは難しい可能性がある。借り手が見つからなければ、住宅ローンの返済で家計に大きな負担をかけることになるため、売却して損切りすることも検討すべきだろう。

現実には、こうした担保割れの状態であっても、銀行が一括返済を求めるケースはほとんどないようだが、担保物件の価値までしか返済義務を負わないノンリコースローンは日本ではほとんど普及しておらず、物件の売却損は所有者が負うことになる。

不動産保有と家賃収入はインフレにも強い

もちろん、今までの話は経済合理性を優先した話であり、お金を借りること自体に不安感が強く、気になって仕方がないなら売却を選択することを否定するものではない。

ただ、家を担保に借りている住宅ローンは使い込むことができないが、いざ売ってしまって現預金になれば、意外と使ってしまうものだ。

さらにインフレになれば、現預金の価値はどんどん目減りしていくが、株や不動産、金などはインフレに強いといわれている。家賃もインフレ時にはどんどん上がっていくが、持ち家の場合はインフレによる価格上昇に比べて金利上昇が遅れる傾向があることから、住んでいても、貸していても有利に運用できる可能性がある。

有利な資産運用の機会をみすみす見逃すのは得策ではない。持ち家から住み替えるときには、売却だけでなく貸すことも選択肢に入れるべきなのだ。

宗 健

麗澤大学工学部教授/AI・ビジネス研究センター長

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