肩こりがツラい人!…整形外科医が教える「僧帽筋」を刺激する肩トレ「うちわあおぎ」のスゴイ効果
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月15日 12時0分
(画像はイメージです/PIXTA)
現代人の多くが悩む、肩こり、そして様々な原因による肩まわりの痛み。なぜ起こるのでしょうか。そして、どんな対処方法があるのでしょうか。本連載は、整形外科医・歌島大輔氏の著書『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法』(Gakken)より、一部抜粋して紹介します。
Q 肩よりも首の左右がこって痛みます。 肩こりと首こりは違うのでしょうか?
A 肩こりと首こりは基本的に同じものです。対処法も一緒です。
肩こりと首こりは基本的に同じものです。肩こりは首・背中・肩甲骨あたりの筋肉の問題であることがほとんどです。
そのゾーンにある痛みは、すべて肩こりということになりますので、首がこっている場合も肩こりに含まれます。
同じ症状なら対処法も基本的には一緒で、肩甲骨をよく動かすことが大切です。どの筋肉がこっているかは個人によって違いますので、診察する際は丁寧に診ていく必要があります。
ですが、統計的には僧帽筋(そうぼうきん)が弱っている人が多いので、そこに刺激を加えることが基本的な対処法になります。
具体的には、下記の図表1~2の1分肩トレ「肩こりに効くうちわあおぎ」を行うといいでしょう。
◆肩こりに効くうちわあおぎ
うちわをあおいで肩こりの原因となる僧帽筋、とくに僧帽筋下部に刺激を加え、肩甲骨周囲筋のバランスを整えていきます。肩こり対策におすすめの肩トレです。
①肩が痛いほうの手で、うちわの柄ではなく頭の部分をはさむように持ち、横向きに寝て反対側の手で頭を支えます。そして、枕やたたんだバスタオルなどを脇に挟んでうちわをあおぎます。
②ゆっくりと一定のリズムで1分間あおぎ続けます。うちわをあおぐときの強さは、少し風が起こるぐらいが目安です。
Q 自律神経と肩の痛みには関係がありますか?
A 副交感神経が優位だと血流が増し、肩にも良い影響があります。
肩こりは自律神経(じりつしんけい)と関係があるということが、ある程度わかっています。自律神経失調症の患者さんの93%に首の痛みがあり、自律神経失調症以外のパーキンソン病や小脳変性症(しょうのうへんせいしょう)などの神経の病気の患者さんでは40%前後だったという研究論文※が出ています。ほかの病気よりも自律神経失調症の人が圧倒的に多いことから、自律神経と肩こりの関連性は深いことがわかります。
※ K M Bleasdale-Barr, et al. Neck and other muscle pains in autonomic failure: their association with orthostatic hypotension. J. R. Soc. Med. 1998
自律神経は身体のあらゆるバランスを調節してくれています。交感神経が優位になれば血管が収縮し血流が減ります。そして、筋肉も緊張し肩こりにつながります。反対に副交感神経が優位になれば、血管が開いて血流が良くなります。
また、副交感神経優位の場合は身体がリラックスするので、肩にも良い影響があるといえます。1日の中で副交感神経優位になる時間(リラックスタイム)をつくることが重要です。
Q 肩の痛みが強いときは冷やせばいいのですか? 温めればいいのですか? また湿布は有効ですか?
A 気持ちいいと感じるほうを選びましょう。
アイシングも温熱療法も、じつはどちらも効果があります。私は「患者さんが気持ちいいほう、楽になるほうを選んでください」とお伝えしています。
肩こりや五十肩、腱板断裂(けんばんだんれつ)の場合、腫れてしまうほどの炎症が起こることは珍しいので、冷やさなければいけないケースは少ないです。外傷がなければ血流を良くするために、温めることをおすすめします。
反対に、打撲や捻挫(ねんざ)をしている場合は温めると内出血が助長され、腫れがひどくなってしまうので冷やしてください。
湿布には消炎鎮痛剤(しょうえんちんつうざい)が塗ってあるので、それが皮膚から浸透して痛みが少し楽になったり、炎症が抑えられたりする効果が期待できます。冷湿布はメントールでヒヤッとした感じになり、温湿布はカプサイシンでポカポカした感じになります。
Q すぐに痛みをなんとかしたいとき 飲み薬や塗り薬などおすすめの薬はありますか?
A 消炎鎮痛剤がよく使われます。五十肩や腱板断裂なら飲み薬、肩こりなら湿布や塗り薬でもいいでしょう。
痛み止めには、シンプルに痛み止めの効果のみの鎮痛剤と、炎症を抑える効果もある消炎鎮痛剤があります。
五十肩や腱板断裂は炎症が起こっているので、消炎鎮痛剤がよく使われます。湿布薬や塗り薬は表面から浸透するものなので、五十肩や腱板断裂のように肩の深いところ(肩関節)が問題になっている場合、飲み薬で内側から効かせたほうがいいでしょう。
反対に肩こりは浅い位置の筋肉から痛みが発生している可能性が高いので、湿布や塗り薬でも効果が感じやすいかもしれません。
また、最近では「貼る飲み薬」と呼ばれる薬が出てきています。血液中に浸透する薬で、胃を通らないメリット(つまり胃を荒らしにくい)があります。ただ、血液中に届くという意味では、内服薬と同様に副作用に注意する必要があります。
歌島 大輔 整形外科専門医 日本整形外科学会認定スポーツ医
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