国内企業の「2024年度業績」見通し ~引き続き「増収増益」を予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月1日 13時55分
(※写真はイメージです/PIXTA)
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
●TOPIXを構成する3月期決算企業は直近で増収増益のまま2023年度を終えるとの見方を示す。
●企業数の違いで単純比較できないが、弊社も調査企業の2023年度の業績は増収増益を予想。
●弊社調査企業は今年度も増収増益へ、3月期決算企業の予想は4月下旬から公表で、要注目。
TOPIXを構成する3月期決算企業は直近で増収増益のまま2023年度を終えるとの見方を示す
東証株価指数(TOPIX)を構成する3月期決算企業(金融とソフトバンクグループを除く)が公表した2023年度4-12月期の決算によると、前年同期比で売上高は4.1%増、営業利益は20.6%増、経常利益は9.3%増、純利益は10.1%増でした(2024年2月22日時点、企業数ベースの開示率99.8%)。円安の進行や供給制約の改善、国内で新型コロナウイルスの5類移行に伴う人流の回復、値上げの浸透などを背景に、業績は総じて良好です。
一方、企業自身による2023年度の通年度の業績予想を確認すると、前年度比で売上高は4.1%増、営業利益は14.2%増、経常利益は9.9%増、純利益は5.7%増となっています。2023年5月16日(2022年度本決算終了時点)以降、四半期の決算ごとに、業績予想はおおむね上方修正が進み(図表1)、直近では増収増益のまま2023年度を終えるとの見方が示されています。
企業数の違いで単純比較できないが、弊社も調査企業の2023年度の業績は増収増益を予想
2023年度の企業業績に関し、4-9月期の実績と通年度の予想は株価の支援材料と考えられますが、市場の関心は、すでに2024年度の企業業績に移行していると思われます。そこで、アナリストが予想するTOPIXの12ヵ月先予想1株あたり利益(EPS)の伸び率をみると、足元では9%程度となっており、現時点で市場は先行きの業績について、安定推移を見込んでいる模様です。
なお、弊社では調査対象としている企業の業績見通しを公表しており、以下、2023年度と2024年度の数字をみていきます。金融とソフトバンクグループを除く主要企業372社について、2023年度は前年度比で売上高は3.0%増、営業利益は12.8%増、経常利益は12.4%増、純利益は10.0%増での着地を想定しています(図表2)。企業数が違うため、前述の企業自身の予想と単純比較はできませんが、2023年度は増収増益との見方は同じです。
弊社調査企業は今年度も増収増益へ、3月期決算企業の予想は4月下旬から公表で、要注目
そして、2024年度について、弊社は前年度比で売上高が2.4%増、営業利益は9.1%増、経常利益は6.1%増、純利益は7.5%増を予想しています。2023年度に比べ、売上高、利益の伸びともに鈍化するものの、引き続き増収増益を見込んでいます。なお、2023年度1-3月期以降、前提となる為替レートは、ドル円を1ドル=148円、ユーロ円を1ユーロ=161円としています(それ以前は、順に150円、159円)。
2024年度は、半導体供給不足の解消による生産回復の持続や、半導体サイクルの底打ちなどが、自動車、通信、化学・繊維、自動車部品・ゴム、半導体関連などの追い風になると考えます(セクターは弊社の31分類による)。なお、3月期決算企業自身の2024年度の業績予想は、2023年度本決算が公表される4月下旬以降から順に明らかになりますが、業績の回復傾向が続くか否が焦点で、株高の持続性を見通す上でも重要なイベントです。
(2024年4月1日)
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『国内企業の「2024年度業績」見通し ~引き続き「増収増益」を予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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