当てはまったら要注意…「60代」で加入しては“いけない”3つの保険【CFPが警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月11日 11時30分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
年齢とともにケガや病気のリスクは高まります。医療費が大きくなると老後の生活に響きそうで心配になりますが、そんなときに安心させてくれるのが「保険」の存在でしょう。しかしなかには、60代で加入すべきではないものも存在します。本記事では、具体的な理由とともに「60代が加入すべきでない保険」について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
ずっと未加入だったが…老後を見据え、保険について検討
都内近郊で、夫と二人暮らしのAさん。現在はメーカー企業でパートとして働いています。夫は数年前、無事に定年退職を迎え、退職金で住宅ローンを完済。2人の子供も結婚し、独立を果たしました。子供の独立、住宅ローンの完済と、夫と二人三脚で頑張ってきたAさん。その甲斐もあってか、大きな不自由のないセカンドライフが過ごせそうです。
ただ、Aさんにはひとつ心配事があります。
「これまで無事にやってこられたからいいものの、この先なにかあったときのために保険に入っておいたほうがいいのかしら」
Aさんはこれまで保険に加入せずにいたのでした。幸い、大きな病気やケガもなくいままで暮らしてこられたのは素晴らしいことですが、年齢とともに病気やケガ、万が一のリスクは高くなっていきます。
保険に加入することで、保障を得て安心するのはよいことです。しかし、保険のなかには60代で加入するべきでないものもあります。Aさんのケースを踏まえて「60代で加入してはいけない保険」について見ていきましょう。
Aさんの保険に関する希望について
・この先、病気やがんになったら治療費が心配 ・老後への蓄えについて備えることも検討したい ・子供はすでに独立しているので大きな死亡保障は必要ないが、葬儀代は保険で準備しておきたい ・なるべく保障内容や、保険料がずっと変わらないようなわかりやすい保険がいい
60代が入ってはいけない民間の保険
個人年金保険
個人年金保険は、60代の方が加入するべき保険ではありません。
「老後の備えのために、個人年金に加入するのはよいことなのでは?」とお考えの方もいるかもしれません。
確かに、年齢の若いうちから加入することには意味があります。たとえば20代で加入して、60代から年金を受け取るという契約内容は一般的です。
個人年金保険などの積立型の保険は、加入から受け取りまである程度の期間を必要とするため、60代で加入すると年金受取開始の年齢が高齢となってしまうことがあるのです。
保険会社にもよりますが、たとえば64歳のAさんが個人年金保険に加入すると、年金の受取開始は80歳からとなってしまうケースが多くみられます。
80歳から年金を受け取るという考えのもと加入するのであれば問題ありませんが、もっと早く受け取りたいといった場合は、希望を満たすことができなくなります。
収入保障保険
収入保障保険は、生命保険の一種です。被保険者に万が一のことがあった場合には、年金のような形で毎月、受取人へ保険金が支払われます。
比較的安い保険料で大きな保障を得ることができるので、子供のいる家庭や扶養親族が多い家族の世帯主に好まれている保険です。
そんな収入保障保険ですが、生命保険のなかでは定期保険に分類されます。定期保険とは期間の定めのある保険のことで、一生涯の保障ではありません。加えて商品の特性上、満期が近づくにつれて保険金額は減っていき、満期を迎えると契約は終了となります。
2024年4月現在、収入保障保険の満期は最長80歳までとなっています。(保険会社により長短あり)そのため、Aさんのように「一生涯の保障を得たい」という考えには合わない保険となります。
変額保険
変額保険は、保険料を投資信託などに充て、保険会社に運用をお任せすることができる保険です。運用の間は万が一の死亡保障がついており、運用の成果次第で解約したときに返ってくるお金が変動します。
最近は株式の相場が好調なこともあり、「積立」と「死亡保障」が同時に備えられる保険として人気があります。
ただ、変額保険は積み立てたお金が支払った保険料を上回るまでに相応の期間を要します。選ぶ運用コースと経済情勢によっても増減はありますが、支払った保険料を上回るためには10年以上は見ておいたほうがよいでしょう。
また、運用にはリスクがあるため、支払った保険料を割り込む可能性があることも理解しておく必要があります。
Aさんのように、老後のために資金準備をしたいという解約のゴールが近づいていて、かつ効率的に保障と貯蓄の両方の希望を叶えたいのであれば変額保険を選択することはお勧めしません。
両方とも希望するのなら積立と保険は切り離して検討してみましょう。
掛け金が安くても…
共済
保険と似たもののひとつに、都道府県民共済に代表される「共済」があります。共済には、比較的安い掛け金で病気やケガ、障害や死亡を保障してくれるプランがあります。
安い掛け金で幅広い保障を提供してくれる共済ですが、契約者の年齢と保障内容については確認しておく必要があります。
一般的に契約者が60歳未満、60〜65歳まではほぼ同じ掛け金と保障内容ですが、65歳になると「熟年型」という保障内容に移行します。熟年型になると保障内容がそれまでのおよそ半分となり、65〜70歳、70〜80歳、80〜85歳と進むにつれて保障は減っていき、85歳以降は契約終了となるのです。
一生涯変わらない保障をお考えの方には向かない保障内容となります。
自分に合った保険を選ぶ
60代のAさんのようなお考えの方にとって、加入してはいけない保険について解説しました。ただ、なかには「保障の期間は〇歳まででもよい」や「いまはまだ働いているから、積立のゴールは80歳くらいでも十分」という方もいるかもしれません。そんな方には解説した保険が有効なケースもあります。
万人に合わない保険は存在しないのと同時に、万人にピッタリの保険も存在しません。
自分だったらどんな保険があっているかという考えを大切にしていただき、自分に合った保険を選んでいただけたらと思います。
伊藤貴徳
伊藤FPオフィス
代表
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