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利回りが高くても暴落してしまう高配当株「5つ」の共通点【2万人を指導した投資研究家が助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月12日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

株の配当利回りが高ければ、その企業の経営状態も安定していると考える人は多いでしょう。しかし実際は、高利回りでも経営難に陥っている企業などもあり、ただ「高配当だから」という理由で選ぶと思わぬ落とし穴にハマることもあります。そこで本記事では『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)から、著者の〈児玉一希 氏〉が高配当株選びで注意すべき点を解説します。

投資初心者が選んではいけない高配当株の共通点

利回りの高さにつられて投資したものの、株価が暴落してしまう高配当株には、大きく分けて5つの共通点があります。思わぬ損失を防ぐためのポイントをまとめました。

① 売上や利益が頭打ちになって業績が伸びなくなる

株価が伸びる基本は業績です。高配当であっても株価が下落したり将来配当を減らしてしまう企業は、やはり数年単位で売上・利益が頭打ちになります。

業績が下がっていれば今この会社は調子が良くないのだなと想像がつくのですが、厄介なのは頭打ちのパターンです。

たとえば米国の化学・電気素材メーカーであるスリーエム(MMM)は半世紀以上も増配を続ける伝統的な高配当株として有名です。ポストイットなどの身近な製品や、人々の生活に欠かせない素材を多数提供しています。

そんなスリーエムは米国を代表する優良企業として高い利益率を誇ってきましたが、近年は売上高が頭打ち。2022年は物価高や化学製品における訴訟などで利益を大きく減らしてしまっています。

株価も2018年の高値から66%下落。2023年10月時点で配当利回りは6%を超えていますが、60%下落していると配当金10年以上分の損を出している計算です。株価「急落」が顕著になったのは2021年からですが、2018年ごろからじわじわと高値を切り下げています。

スリーエム自体は素晴らしい企業ですが、売上や利益が伸びないまま投資家の評価が低くなり、更に利益が大きく上がっていないのに連続増配や自社株買いを続けることによって配当の安全性も年々低くなってきています。

このように、業績頭打ちの状況で何か利益を減らすようなイベントが起こると、株価は大暴落し、最後は減配してしまうことがあります。

そのため私としてはどんなに成熟した企業でも売上・営業利益・最終利益が少しでも前年を上回るように推移している方が望ましいと考えています。

② 借り入れが多く利払いが利益を圧迫している

財務状態の悪化も見過ごせません。借り入れ=利息のついている借金のことを有利子負債と言います。この有利子負債が多い企業ほど株価下落のリスクがあります。

特に近年は世界中の国でインフレを抑えるために金利高が続きました。米国は2022年から23年の夏までに1年半で0%から5%に政策金利を引き上げてようやく止まりそうな気配に。

日本も長らく続いたゼロ金利政策を修正する流れになっています。金利が上がると企業が抱える借金の利息も上がりますので、それが利益を圧迫します。

高い配当を出す企業は、ただでさえ企業の外に出て行くお金が多いので、さらに負債の負担まで増えると株価下落のきっかけになります。一例をあげますと、日本の不動産REITがあります。

私が実際に投資していたヘルスケア&メディカル投資法人(3455)という銘柄があります。4%以上の配当利回りがあるのですが、2022年12月に日銀が低金利政策を見直す少し前から下げ始め1年間で33%も下落してしまいました。

不動産は事業の性質上、多額の借り入れをして収益を出していくビジネスモデルですので、どうしても負債割合が高くなります。ヘルスケア&メディカル投資法人も有利子負債が自己資本(=自分の元手資金)とほぼ同じくらいあり、これは不動産投資法人の中でも高い方に入ります。

実際に金利上昇に伴って創業以来初めて物件を売却するなどマイナス材料もあり、本書執筆時点では株価が大きく下がりました。

ただ、借り入れが多いこと自体は必ずしも悪いことではありません。借金をしてまでも会社の事業を伸ばすチャンスなのであれば、借り入れが必要な時もあります。

ただし、さほど業績が変わっていないのに借り入れが増えている場合、事業が苦しい可能性もありますので注意が必要です。

その有利子負債が本業の収益の何年分に相当するか見るのが「有利子負債倍率」です。有利子負債倍率は次のような計算式になります。

有利子負債倍率 = (有利子負債 ー 現預金) ÷ (営業利益 + 減価償却費)

この指標は借金の返済能力を表しており、倍率が低いほど返済能力があり余裕があるということです。

業種によって違いますが、個人的にはこの有利子負債倍率は1倍未満が望ましいです。もし今すぐ借金を全額返さなくてはいけなくなっても、理論上は手元資金の方が多ければ返済能力があると言えるからです。

③ 異常に高い配当利回り

配当利回りが異常に高い場合も注意が必要です。配当利回りの計算は次の通りです。

配当利回り(% ) = 配当金額 ÷ 株価 × 100

配当利回りが高くなるためには、配当金が上がる、または株価が下がるのいずれかのパターンになるのですが、「株価が大きく下げて利回りが急上昇」している場合は注意が必要です。

高配当株のランキングを見てみると、上位には利回り10%を超えるような銘柄もあったりしますが、その銘柄の株価チャートを見てみてください。たいていの場合、長期間にわたって株価が下げ続けているケースが多いはずです。

高配当の定義は曖昧ですが、私としては利回り4%以上と考えています。その水準をはるかに上回る10%を超えるような高配当株は気をつけた方がいいでしょう。

本当に増配を続けていて業績に問題がなく、たまたま今の株価水準から利回りが高騰している場合もありますが、いずれにせよ、その背景を考えなければなりません。

高利回りでも株が買われていないので、それだけ企業に対する評価が良くないと言えます。先に紹介したスリーエムやAT&Tのように、配当利回りが10%近くなっていたとしても、株価の暴落や無配転落が危惧されます。とにかく利回りの高さだけで投資判断をしないでください。

④ 業績が良くても低時価総額

長年割安に放置されてきた日本株には、企業として素晴らしい製品を提供していて業績もいいのになぜか買われていない優良株が多数存在します。ただし、時価総額の低い銘柄は注意してください。

大前提として、長期的に株価が上がっていくには何百億円、何千億円という資金を投じる大口投資家の参加が欠かせません。ただ、数億〜500億円といった低時価総額の銘柄ですと、そもそも大口資金が入らず、長年株価が上がらないままということになってしまいます。

会社の資産よりも時価総額の方が低い=「PBR1倍割れ銘柄」が東証の半数を占めていることもあり、2023年3月に東証がその是正に乗り出したくらい、時価総額の低さは問題視されています。

2022年に急騰した三ツ星ベルト(5192)は、決算で配当性向を100%に引き上げるという大幅な増配で、それがサプライズとなり急騰しましたが、それまでは企業として業績が良くてもほとんど買われず、長年株価は停滞したままでした。

この時の三ツ星ベルトの時価総額は22年4月時点で614億円、中小型株の部類に入ります。株の取引数を示す出来高は2022年の4月まで5年間で毎月70万株から150万株程度、月間の売買代金も15億円程度でした。

1日に換算すると7,500万円程度の売買代金ですので、個人で動かしてしまえるぐらい小さく、ほとんど参加者がいない状態です。こうなると株価はなかなか上がりません。

しかし、2022年5月の決算で、配当性向100%という大幅な株主還元を発表し、その後出来高は最大で7倍、2023年9月の売買代金は245億円と以前の水準の10倍以上になっていますので、結果、株価対策に成功しました。

日本の時価総額が小さい高配当株の中には22年4月以前の三ツ星ベルトのように、会社としてしっかり業績を上げていても、配当利回りが高くても、将来性の不透明さや利益率の低さなどで投資家から評価されず、時価総額が小さいまま全然上がらない銘柄も多数あるということを覚えておきましょう。

⑤ 業績好調が長続きしない

長期投資ではやはり安定して業績を残す企業に投資しなければなりません。しかし、高配当株の中には一時的に業績が好調になっても続かないケースが多々あります。

代表的なのが近年の海運株。新型コロナウイルスの影響で港の港湾員とコンテナが不足し、運賃が跳ね上がったことによって業績が急上昇しました。代表的な日本郵船(9101)は、配当金が3年間で40倍になり、一時期は配当利回り15%を超えることもありました。

しかし、コンテナ船の混雑が解消され、運賃と市況が低下すると、以前のような配当を出すのは難しく、2024年3月期は前年の配当金の1/4である130円、利回りも3%程度に落ち着きました。

このように、運賃や資源価格など外部環境によって業績が推移する銘柄を「市況株」と言いますが、ビジネスモデル上、どうしても好不調のアップダウンが激しく、配当もそれに連動します。

そうなると、当初見込んでいた利回りを実現することができなかったり、安定しなかったりすることがあります。

また、企業によっては、創立○○周年や好業績などで通常の配当に上乗せする「記念配当」を出すこともあります。その場合、翌年は記念配当の上乗せがなくなり、減配となります。

近年だとNIPPON EXPRESSホールディングス(日本通運)(9147)が22年12月期に記念配当を実施しましたが、翌年はその分が削減され、300円に減配しています。

記念配当自体は悪いことではありませんが、大幅な増配があった場合、それが一時的なものではないか確認しましょう。

児玉一希

株式会社RES 代表取締役 

※本記事は『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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