日本の「超お金持ち」の生活実態…拠点は海外、日本ではタワマン滞在、高級外車をブイブイ乗り回しってホント?【元メガバンカーが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月10日 11時15分
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(画像はイメージです/PIXTA)
平成バブル崩壊後、日本経済は勢いを失い、国は坂道を転がるように貧しくなっています。しかし、そんな日本にも資産200億円超という「超富裕層」が存在します。彼らはいったいどんな日常を送っているのでしょうか? メガバンクで富裕層を相手にビジネスをしてきた、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が実情を解説します。
超富裕層のほとんどは、企業の経営者!
平成バブルの崩壊以降、日本の国民生活は次第に二極化が進み、いまとなっては埋められない大きな差となっています。
筆者は以前メガバンクに勤務していましたが、そこでよく出会っていたのが、総資産10億円くらいの一般的な富裕層でした。この方たちは、ご自身の親御さんから不動産や金融資産を相続したケースが多いのですが、一方で、総資産200億円以上の「超富裕層」の場合は、ほとんどが現役の企業経営者か、過去に企業経営者だった人々です。
なかでも、親から承継した事業を売却して優雅なリタイア生活を送るシニアの方々は、多額の現預金を持っていることから、金融機関では「ハイエンド」「ウルトラ・ハイネット・ワース」と呼んでいます。
貧しい日本に見切りをつけ、海外移住しているの?
みなさんもマスコミ報道等で「日本の富裕層が、貧しくなった日本に見切りをつけて海外移住をはじめている」といった報道を見聞きしたことがあるかもしれません。しかし実際には、完全に移住するケースはそこまで多くはないという印象です。なぜなら、海外に拠点を移してしまうと、国内に暮らす子どもたちや孫たちと会う機会が減ってしまうからです。家族との接点を減らしてまで、お金を優先する人は多くありません。
ですが、海外移住は相続税の節税になるケースもあるため、心惹かれる富裕層もいます。
お子さんやお孫さんと一緒に、10年間、相続税ゼロの外国に住むことができれば、海外に持ち出した財産に相続税はかからなくなります。しかし、アメリカにも相続税はありますし、「相続税ゼロ」を目的とした移住先となると、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、カナダなど、選択肢は限られてしまいます。
子弟への教育のため海外へ…拠点は「ハワイの超高級リゾート地」
お子さんやお孫さんの教育を考えた場合、10年間もシンガポールやマレーシアで生活するのはあまり現実的とはいえません。しかし、お子さんたちを世界的な一流大学に進学させるためステップとして、アメリカへ留学させるケースは多く、その点から、アメリカ不動産購入のニーズは一定数あるといえます。
そのような場合でも、アメリカ本土に不動産を購入することは少なく、どちらかというと、ハワイに別荘を持つというパターンが多い印象です。その場合は、現地の不動産業者に紹介された物件を購入します。また、そのタイミングで、ついでにハワイの銀行に預金口座を開く人が多いのです。もちろん、生活の利便性を高めるためです。
人気が高いのは、オワフ島よりもマウイ島、ワイレアなどの高級リゾート地のエリアです。ちなみに、そのエリアでビーチに近い物件なら、中古の別荘1棟でも10億円程度します。
超富裕層は、ヴィンテージ・マンション、都内の戸建てがお好き
そんな超お金持ちの日本での暮らしぶりを見ていきましょう。
東京出身者のお金持ちは、親から相続した不動産を持っていることが多く、たいていは23区内の一戸建てで暮らしています。
地方出身の場合は、港区のマンションに住んでいるケースが多いのですが、有名なタワーマンションより、麻布、赤坂、三田などの超一等地にあるヴィンテージ・マンションがお好きなようです。
タワマンを好むのは、高所得サラリーマンのパワーカップル、あるいは総資産10億円程度の一般的な富裕層でも、自力でビジネスを立ち上げるなどした、一代目の社長が多く、代々の資産家出身者はあまり見かけません。
タワマンに暮らす「成功者」は、精力的なタイプが多いのですが、なかには並外れて自己顕示欲が強い人や、アグレッシブな人も散見されます。個性の強い人同士がぶつかるせいか、共用部の利用にまつわるマナー違反や騒音問題といったトラブルも少なくありません。
静かな生活を好む裕層は、そのような背景があるせいか、タワマンは避けがちです。カンタンにいうなら、住環境が合わないのでしょう。また、近年では投資目的で購入する外国人オーナーが増え、環境が落ち着かないことも、超富裕層が敬遠する理由となっているようです。
たまに超富裕層の子弟がひとり暮らしをしていますが、数年でひっそりと退去し、やはり、ヴィンテージ・マンションや超高級住宅街の一軒家へ転居していきます。
行動は地味だが、自由を存分に謳歌…これが日本の超富裕層の生活実態
そんな超富裕層の日常はというと、夫婦で外食に出かけたり、近隣の有名ホテルに立ち寄って軽くお酒を飲んだりと、意外と普通で地味な印象です。
しかし、健康にはかなり気を遣っていて、定期的にスポーツクラブに通う人が多く、休日もゴルフに出かけるなど、体を動かす趣味を持つ人が多くいます。
所有する車も意外と地味です。メルセデス、BMW、ポルシェ、レクサスあたりが多め。プリウスに乗っている人もいます。逆に、人目を引くようなスポーツカー、たとえば、フェラーリやランボルギーニを誇示するように乗り回す人はまずいません。
また、金融機関との付き合い方ですが、金融資産が数十億円規模のマス富裕層の場合は、スイスやシンガポールのプライベートバンクに証券口座を持ち、投資一任勘定で運用している人が多く、金融資産が200億円超の方々の場合は、ほとんどが国内のメガバンクと証券会社で取引しており、積極的な資産運用はあまり行っていません。
これらのことから、超富裕層の生活ぶりを総括すると、一般の方が想像するより地味で目立ちませんが、自由に好きなことを楽しんでいるといった姿が浮かび上がってきます。
岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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