【自覚なし】課長「部長がそう言うから、やっておいて」…まるで“上層部の伝書鳩”。〈部下のやる気を奪う上司〉の典型例
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月4日 8時0分
![【自覚なし】課長「部長がそう言うから、やっておいて」…まるで“上層部の伝書鳩”。〈部下のやる気を奪う上司〉の典型例](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_59500_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
社員の「やる気」が出ないのは、個人の努力が足りないからだと考える人も多いかもしれません。しかし実際は、上司や周囲との関わりや、会社の制度・処遇などの影響によって「やる気が下がってしまう」ケースも少なくないのです。松岡保昌氏の著書『こうして社員は、やる気を失っていく』(日本実業出版社)より一部抜粋し、「社員がやる気を失っていく上司」の典型例とその改善策を見ていきましょう。
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【上司タイプ】双方向のコミュニケーションがとれない上司
⇒指示が一方通行。
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「部長がそう言うから、やっておいて」――伝書鳩上司
課長がやって来て、「悪いけどこの案件、急ぎで取りかかってくれるかな」と言ってきた。課長に理由を聞いても、「部長がそう言っているから頼むよ」と言うのみ。
課長の口癖は、「上で決まったことだから」。課長は現場の状況などはお構いなしで、とにかく上層部の言いなり。新しい仕事の進め方などを提案しようとしても、「そういうの、今はいいから。とにかく、まずは上の言うとおりやっておいてくれる?」と話にならない。
自分では何も考えず、ただ上の判断を伝達するだけの伝書鳩上司。無責任で、コミュニケーションを拒絶する態度とも言えます。
そんな上司の下につくと、部下のいらだちは増し、仕事へのモチベーションも低下する一方です。部下からは、「頼りない上司」とのレッテルも貼られてしまうでしょう。
「任せたから、適当にやっておいて」――丸投げ上司
無責任ではないけれど、一緒に頑張るという一体感を持ちづらい上司もいます。たとえば、新規案件が発生したこんな場面。
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上司「この案件、決まったことは知っているよね。君に任せるからさ。頑張ってやってみて」
部下「わかりました。決まるまでにけっこう時間がかかりましたが、何か注意点はありますか?」
上司「いや、とくにないと思うよ。いつもどおりにやっておいてよ」
~後日~
部下「先日の案件で、この部分、どうしたらいいのかアドバイスをいただけますか?」
上司「うーん…。そのくらい、自分で考えてよ」
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放任主義の丸投げ上司にありがちな態度です。
「任せた」という言葉は部下を信頼しているようにも聞こえますが、部下からすると、本当に信頼されて任せてもらったのだろうかという不安感や、上司への不信感が募る態度とも言えます。
【改善策】対話を重ね、信頼感や一体感を醸成する
■コミュニケーションによる信頼関係の構築が大前提
人は1人ひとり価値観も違い、それぞれ違う意見を持ち、正解も人によって異なります。だからこそ、相互理解のためのコミュニケーション=「対話(ダイアローグ)」が不可欠です。しかも、新しい業務に取りかかる際には、まず業務の背景や目標・目的、判断基準などを共有するための「対話」が欠かせません。
対話において大切なのは、単に何を考えているかを話し合うだけでなく、なぜそのように考えているのかという思考のプロセスである「推論のはしご」を共有することです。
「推論のはしご」のわかりやすい例を挙げます。二組の夫婦が、ほぼ同時に同じ場所に引っ越してきました。それぞれの夫婦がふと窓から外を見ると、道端で近所の奥さんたちが井戸端会議をしています。
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【Aさん夫婦の会話】
夫「ちょっと見て。あの体格のいい人がこのあたりを仕切っているみたいだね」
妻「ということは、あの人にうちのことを知られると、あることないこと言いふらされるかもしれないから、あの人と付き合うのは慎重にしたほうがいいわね」
夫「たしかにそうだね。噂話のネタにされるのは嫌だし、尾ひれがついて広がると怖いからね」
⇒Aさん夫婦の結論:仕切っている体格のいい人とは慎重に付き合う。積極的には関わらない。
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<Bさん夫婦の会話>
夫「ちょっと見て。あの体格のいい人がこのあたりを仕切っているみたいだね」
妻「本当だ。ということは、娘をどこの塾に通わせるといいかなど、ご近所の情報を一番持っているのかもしれないわね」
夫「そうだね。あの人に相談に行くのが早くて確実そうだから、早速明日、菓子折りでも持って挨拶に行ってみようか」
妻「そうね。賛成。そうしましょう」
⇒Bさん夫婦の結論:仕切っている体格のいい人と積極的に付き合う。
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このように、同じ事実や事象を見ても、どうとらえたか、何に着目したか、どのように考えたかで結論は大きく異なります。だからこそ、対話のなかでは、お互いの考えたプロセスを「聴き合う」ことが大切になるのです。
そうすることによって、「意見が合わない」と思っていた相手でも、その考えに共感できたり、より深い理解につながったりします。そして、対話が刺激となり、当初なかった新しいアイデアや物の見方が生まれるなど、創造性が発揮されるのです。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/800m/img_048d9366718ba24fb9f5902b9079aadb86433.jpg)
松岡 保昌
株式会社モチベーションジャパン 代表取締役社長
1963年生まれ。1986年に同志社大学経済学部卒業後、入社したリクルートで「組織心理」学び、ファーストリテイリング、ソフトバンクでトップに近いポジションで「モチベーションが自然に高まる仕組み」を実践。
現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、個人のキャリア支援や企業内キャリアコンサルタントの普及にも力を入れている。著書に『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)がある。
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