日経平均、「上値の重さ」の根本原因。今後の展開は【ストラテジストが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月16日 9時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
本記事は、マネックス証券株式会社が2024年4月12日に公開したレポートを転載したものです。
本記事のポイント
・日経平均上値の重さが目立つ ・日米ともにしばらく方向感のない展開続く日経平均の本日(2024年4月12日)の下げは調整局面の動き
新年度に入ってから日経平均の上値の重さが目立つ。日経平均のローソク足チャートを見ると8日まで連続して陰線であった。
この背景は機関投資家の期初の益出しという日本特有の要因があるものと思われる。特に昨年度は記録的な相場上昇を経験したため、含み益もたっぷり乗っているのだろう。そのため例年に比べて益出しが長引いているのではないかとの見方もある。実際、東京証券取引所が11日発表した4月第1週(1~5日)の投資部門別売買動向によると、信託銀行の現物株の売越額は7,887億円と過去最大だった。
それが今週9日(火)にようやく陽線となった。翌日の寄り引け同値の十字足を挟み、米国のCPI(消費者物価指数)ショックで大幅安で始まった11日(木)は下げ幅を縮め、再び陽線で引けた。TOPIXに至ってはCPIショックを跳ね返して小幅高で終えた。日本株もかなりしっかりしてきたように思えたが……。
日米ともにしばらく方向感のない展開続く
それでもやっぱり上げきれないところに、まだ弱さがみられる。米国の半導体株の大幅高を受けて高く始まった日経平均株価は上げ幅を縮め、また陰線を引いた。
25日移動平均線でしっかりと頭を抑えられている。この程度のテクニカル的な抵抗線をうわ抜けられないのは、まだ相場が弱い証拠。下値は堅い、しかし、上値も重いという状況だ。
日経平均の足を引っ張っているのが大幅に3日続落しているファーストリテイリング(9983)だ。昨日11日の決算発表で2024年8月期(今期)の純利益を前期比8%増の3,200億円と従来予想(5%増の3100億円)から上方修正した。日本経済新聞は「ファストリ最高益」と報じたが、営業利益は前期比18%増の4,500億円と従来予想を据え置き、QUICKコンセンサスを下回った。期待に届かなかったとして、株価は4%を越える大幅安となった。
一方、東京エレクトロン(8035)など半導体株は買われ上昇した。しかし、チャートが示すとおり、ほぼ横ばいでもみ合いを離れていない。実はエヌビディア[NVDA]も同様である。
11日の米株式市場でナスダック総合株価指数が3週間ぶりに最高値を更新とはいうものの、ほとんどボックス圏の動きにとどまっている。
結局、日米ともに株価が上放れてくる兆しとそのきっかけが見えない。もうしばらく方向感のない展開が続きそうだ。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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