下り坂の日本で密かに増殖する「富裕層」だが…普通のサラリーマンが新NISA+仕事で「資産1億円」を築く方法【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月16日 11時15分
(画像はイメージです/PIXTA)
「失われた30年」の間に、国も国民もすっかり貧しくなったと思いきや、意外にも日本の富裕層は増加傾向だといいます。最近では新NISAで資産形成を目指す人も増えていますが、実際問題、どこまで増やせるのでしょうか? FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。
老後資金として「1億円」を準備するには?
2019年6月頃に金融庁が発表して話題となった「老後資金2,000万円問題」ですが、この趣旨は「老後30年間で約2,000万円が不足する」というお話でした。つまり、ゆとりある老後生活を送るには、さらに多くの金融資産が必要だということ。
仮に、老後資金として1億円を準備しようと思ったら、いったいどうやって1億円までお金を増やせばいいのでしょうか?
筆者は仕事柄、多くの方の資産形成の相談に乗っていますが、いまの時代、最短距離でお金持ちになる人は、投資で高いリスクを取るのではなく「仕事でお金を稼ぐ→稼いだお金を投資に回す」という流れを上手につくる人だといえます。
つまり、投資などで資産を運用するだけでなく、仕事で稼ぐことが大切なのです。
人生のゴールが「幸福になる」ことだとした場合、幸福を支える土台は「お金・仕事・愛情・友情」で構成されているのが理想です。そして、そのうち最も重要なのは「仕事」であると、筆者は考えています。
高齢化が進み、平均寿命が延びるなか、今後は日本社会でも「生涯現役」という働き方が当たり前になっていくでしょう。
老後資金問題の根源は「老後が長すぎる」ことです。そのため、長く働いて老後を短くすることが、もっともシンプルな解決策だといえます。
人生100年時代、寿命が100歳だと仮定すると、60歳でリタイアすれば残り40年もありますが、80歳まで働けば老後は20年です。長く働くことができれば、老後資金問題はある程度、解消を図ることができるのです。
好きな仕事で稼ぎ、収入の一部を投資に回す!
しかし、ごく普通の能力の方の場合、仕事で無理せずに稼げる金額は限られています。家賃や住宅ローンを払い、食費をねん出し、結婚、子育てをし…といった日々の生活を営みながら、資産を1億円まで増やすことは可能なのでしょうか?
もちろん、若い時代の預貯金はごくわずかでしょう。しかし、先進国では、生涯収入として「億」のお金を稼ぐことは意外と簡単です。野村総合研究所の2023年3月のレポートによると、日本の富裕層は149万世帯、純金融資産総額は364兆円と推計され、2005年以降の最多とのこと。つまり、富裕層は増え続けています。
「自分も富裕層の仲間入りができたら…」と憧れる方も多いと思いますが、富裕層になるには、まず前提があります。それは「自分にとって最適な仕事を選ぶ」ということです。
最近は転職も一般的になり、ひとつの会社に生涯勤め続けるという考えは過去のものとなりました。向いていない仕事をガマンしてやり続けてもつらいだけですし、たいしたキャリアにもならないでしょう。それなら、試行錯誤を繰り返しつつ、自分の好きな分野や得意分野を突き詰めていく方が、よほど建設的なのです。
好きな仕事に就いたら一生懸命働き、生活コストを下げ、残ったお金を運用するだけです。20代のうちから毎月3万円でも5万円でも、株式投資をコツコツと続ければ、60歳になったときには資産が1億円くらいになっているでしょう。
これからの日本、就労者の「フリーランス化」が進む可能性も
もちろん、上記は会社員だけを前提にした話ではありません。筆者は、これから日本も「フリーランス化」が進むと見ています。わかりやすいのは映画制作です。監督や俳優から脚本、撮影、音楽に至るまで、ほぼ全員がフリーランスで、作品が完成したら解散してバラバラになります。クリエイティブな仕事は、このようなプロジェクト単位の働き方に変わっていくと思われます。
ただし、フリーランスだけで映画制作はできません。多額の資金や大勢のスタッフとの契約を管理し、映画館での上映やネットでの配信を行なうためには、バックオフィス的な事務管理を行う映画会社が必要です。このように、クリエイティブな仕事と事務管理の仕事が分離していくことでしょう。
今後、フリーランスとして働く人が増えると、従来のような人間関係には変化が生じるかもしれません。同じ企業の従業員といった連帯感や緊密な関係も、希薄になる可能性もあるでしょう。もしかしたら、今後は「友達」の概念も、大きく変化するかもしれませんね。
新NISA、銘柄研究より「インデックス・ファンド」がお勧めなワケ
資産形成の大きな助けになるのが、2024年から始まった新しいNISA制度です。最適な投資はインデックス・ファンドの積み立てでしょう。
ノーベル賞学者が提唱した現代ポートフォリオ理論では、リスクとリターンのバランスを考えれば、インデックス・ファンドがもっとも投資効率がよいと証明しています。これにタイパ(タイム・パフォーマンス)の観点を加えれば、その優位さは圧倒的です。
インデックス・ファンドの毎月定額積み立てなら、最初に設定さえすませてしまえば、以降はなにもする必要がありません。そもそも『会社四季報』を読んで銘柄研究をしたり、取引時間中にモニターで値動きを監視したりするのは、一般の投資家にとって有意義とはいえません。日々しのぎを削っているプロたちと一般人が同じ土俵に立ったところで、勝負の結果は見えているからです。
成果に一喜一憂するのはストレスですし、冷静さを失って大きな損失を出してしまう、あるいは投資がいやになってやめてしまう、といったことになれば、資産形成は実現不可能。自分にとってメリットの高い方法を、ぜひ選んでください。
岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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