「新宿区」よりも「横浜市」のほうが圧倒的に少ない…デイサービスの利用者数、市区町村ごとに大きな差が生じる根深い原因【理学療法士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月12日 10時15分
![「新宿区」よりも「横浜市」のほうが圧倒的に少ない…デイサービスの利用者数、市区町村ごとに大きな差が生じる根深い原因【理学療法士が解説】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_59728_0-small.jpg)
※画像はイメージです/PIXTA
訪問介護サービスを「要介護状態」にならないと受けられないと思っている人は少なくないでしょう。国が定める「事業対象者制度」を使えば、早期から様々な介護サービスを受けることができます。しかし、その利用状況は自治体によって異なるようで……。本記事では、理学療法士の上村理絵氏による著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)から、事業対象者制度について解説します。
事業対象者認定※の取り組みや扱いは自治体で異なる
事業対象者認定は必ずしも積極的に活用されているとはいえないのが現状です。その理由の1つには、要介護認定が国の制度であるのに対して、事業対象者認定が市区町村の事業であることが挙げられます。
※基本チェックリストを実施した結果、日常生活における何らかのリスク(危険)があると判定された方を、市区町村が「事業対象者」として認定されます。 認定された方には、「事業対象者」と印字された介護保険被保険者証が発行されます。
市区町村の事業であるがゆえに、それぞれの自治体によって事業対象者認定に取り組む姿勢や扱いが異なり、なかには事業対象者認定にまったく前向きでない自治体もあるのです。
「新宿区」と「横浜市」の格差
たとえば、私たちが運営するリハビリ特化型のデイサービスリタポンテの店舗は、新宿区と横浜市に計3店舗があります。新宿の店舗では、事業対象者認定を利用して、介護予防のためにリハビリに通われる方が大勢いらっしゃるのです。ところが、横浜市の店舗のご利用者には、事業対象者認定を利用している方がどなたもいらっしゃいません。
新宿区とのあまりの違いに驚き、このことについて、何人かのケアマネジャーと話をしてみると、「絶対に何かよくないところがあるはずだから、最初から要介護認定を申請すればいいんですよ」「えっと……事業対象者認定っていうのは……そういう制度があることは知っていますけど、実際に利用したことは一度もないんですよね……」などという言葉が返ってきます。
高齢者のご家族が、直接、区の窓口で事業対象者認定について尋ねても、「いや、それはできません。どこか悪いところがあるはずですから、要介護認定の申請をしてください」と、窓口の担当者に対応をされたそうです。
事業対象者認定は国が定めた制度
事業対象者認定は市区町村の事業とはいえ、その制度は、厚生労働省、国によって定められたものです。しかも、平成26年の法改正で、要支援状態のさらに手前の未病の高齢者を対象に、介護予防を行う意義を認めて制定された経緯があります。
それにもかかわらず、市区町村の行政が独断で事業対象者認定を活用していない可能性があるかもしれないのです。行政の対応に差を感じる出来事でした。
何よりも、事業対象者認定によってリハビリが受けられれば、身体機能の維持・改善に直接的に役立つのはもちろん、高齢者が早い段階で自分の体の状態や動かし方について理解を深められます。それが日常生活にも生かされることで、要介護状態、寝たきりの防止によりつながりやすくなるはずです。
リハビリのハードルを下げるためにも、ケアマネジャーや市区町村の担当者には、事業対象者認定の積極的な活用をして、要介護者を増やさない、寝たきりを予防していくことを強く望みます。皆さんも、活用ができないかどうか、ぜひ自治体に聞いてみてください。
上村 理絵 理学療法士 リタポンテ株式会社 取締役
外部リンク
- 孤独を愛する年収690万円・貯金4,000万円の独身男性、事故物件の隣室に住まう徹底ぶりも…齢49歳、「最高のおひとり様人生などない」と悟った瞬間【FPが解説】
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
- 年金月10万円、子のいない78歳伯父逝去で警察から連絡が来て…甥が直面した、まさかの事態。「まるで夏場の生ごみ袋に顔を突っ込んだよう」【FPが解説】
- やっちまった…64歳「月収28万円」の非正規男性、年金機構からの「緑色の封筒」ポイッと捨てて大後悔
- 68歳で失業した貯金ゼロのおひとり様男性、収入は“年金月6万円のみ”…「もう限界」でも、生活保護申請を断られたワケ【FPが解説】
この記事に関連するニュース
-
要介護認定がなくても利用できる高齢者支援サービスを知っておく【親を要介護にさせたくない】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月2日 9時26分
-
全国でも珍しいワンストップ眼科往診サービスが好調!山口医院が提供するシームレスな医療とは?
PR TIMES / 2024年6月27日 13時45分
-
高齢化が進み、高くなる「介護保険料」。所得額や居住地でかなりの差がある?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月24日 3時20分
-
厚労省が推進するエイジフレンドリー補助金を活用した「労災対策サービス」を提供開始。腰痛や転倒など労災を防ぐ運動指導や、医療専門職によるウェビナー等で心身両面からケア
PR TIMES / 2024年6月21日 17時15分
-
認知症になると「認知症保険」は請求できない…「老後の備え」をうたう人気商品のとんでもない落とし穴
プレジデントオンライン / 2024年6月16日 9時15分
ランキング
-
1知っていたらもっと早く仕事を変えたのに…65歳以上も働き続けることで減額されてしまう「年金の落とし穴」
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 9時15分
-
2ソニーが録画用ブルーレイディスク生産終了へ、光ディスクの記録メディアから完全撤退「市場が縮小」
読売新聞 / 2024年7月5日 18時12分
-
3「楽天ブラックカード」これまで招待のみだったが、申込受付を開始 特典は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 13時7分
-
4愛・地球博から約20年“夢の道路の続き”ついに動く 「名古屋瀬戸道路の“側道”」東名の南側へ
乗りものニュース / 2024年7月6日 8時12分
-
5妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)