【ベトナム】1-3月期GDPは市場予想を下回るも、年後半に「経済成長の加速」が期待できるワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月18日 14時50分
![【ベトナム】1-3月期GDPは市場予想を下回るも、年後半に「経済成長の加速」が期待できるワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_59730_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
--------------------------------------------------------
【“プロ”に聞く!ベトナム経済】
~年後半に成長率が加速する季節性に注目~
国家主席辞任も政治不安には至らない見込み。
--------------------------------------------------------
24年1-3月期の成長率は市場予想を下回ったが…
ベトナムの2024年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.7%と、市場予想の同+6.4%を下回り、2023年10-12月期の同+6.7%から鈍化しました。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/800m/img_f487553380903baddaf2b4fcf02814fe103529.jpg)
ただし、ベトナムの実質GDP成長率は年前半から年後半にかけて加速しやすいという季節性があります。コロナ禍による行動制限があった2020年から2022年を除くと、このような季節性が確認できます。2024年もよほど特殊な事態が発生しない限り、年後半に成長率が加速するという季節性が機能すると想定した方が良さそうです。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/e/6/800m/img_e6bbd087d5df2021600dcc4f3bfad02e125882.jpg)
ベトナム政府が設定した2024年の実質GDP成長率目標+6.0~6.5%と比較すると、1-3月期の成長率は低いような印象を受けますが、懸案だった不動産業が2四半期連続でプラス成長になったことも併せて考慮すれば、過小評価すべきではないと思われます。
国家主席が1年余りで辞任
ベトナムの国会は3月21日に臨時国会を開催し、ボー・バン・トゥオン国家主席の解任を決定しました。ベトナム共産党は前日の20日に臨時中央委員会総会を開催し、国家主席、政治局員、中央委員、国防安全評議会議長を辞任するというトゥオン氏の申し出を承認しました。
トゥオン氏の辞任理由は党規約に違反し党の信用を損ねたとされていますが、汚職防止委員会が調査に関与していたことから本人または部下の汚職が背後にあったと推察できます。前任者のグエン・スアン・フック氏は、部下の汚職事件の責任を取る形で2023年1月に国家主席を辞任しています。
ベトナムでは党序列1位が書記長、2位が国家主席、3位が首相、4位が国会議長に就任する慣例があります。国家主席は国家元首ですが、政府のトップは首相であるため、行政の実権は首相が握っています。序列2位とはいえ国家主席は政治面では名目的な位置付けにあるともいえます。その意味で、国家主席の辞任は、政治面での衝撃はさほど大きくないともいえます。
汚職撲滅を通じた権力闘争との観測も
ベトナムの汚職防止中央委員会は設立当初の2005年には政府の管轄下にあり、首相が委員長を務めていましたが、2013年に党の管轄へ移行し、書記長(党の最高ポスト)が委員長を務めるようになりました。グエン・フー・チョン書記長は汚職撲滅を通じて権力闘争を展開してきたという観測があります。皮肉なことに、チョン書記長の後継者候補とみられていたトゥオン氏も汚職撲滅の流れで辞任に至ったとも考えられます。
チョン書記長は2021年1月に党規約に反する形で3期連続で書記長に就任しました。チョン書記長は党内では保守派とみられており、以前には改革派のグエン・タン・ズン前首相と確執がしばしば伝えられました。チョン書記長は2026年には書記長を退任するとみられますが、トゥオン氏の辞任を契機に党内の改革派の勢力が相対的に強まるようになれば、長期的にはベトナム経済にはポジティブに作用する可能性もありそうです。
(2024年4月18日)
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【ベトナム】1-3月期GDPは市場予想を下回るも、年後半に「経済成長の加速」が期待できるワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。
外部リンク
- 【ベトナム】1-3月期GDPは市場予想を下回るも、年後半に「経済成長の加速」が期待できるワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
- イスラエルが報復に踏み切れば「原油価格急騰」「日本株安」も…中東情勢の要点を整理する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 【加速する円安】「1ドル=155円」まで接近…最近の「円売り・円買い」要因とは?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 「円安・米ドル高」に連れて「豪ドル/円」も上昇 ~ここ2週間のオーストラリアマーケット動向【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
- 30~50代の5人に1人が「新NISAを始めました!」でも…「新NISAはやめておけ」といわれる7つの理由
この記事に関連するニュース
-
上海株、中国景気への懸念から下落 ~アジア・マーケット動向の振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月5日 9時10分
-
またベトナム政治局員辞任 1年半で異例の7人目
共同通信 / 2024年6月21日 23時0分
-
プーチン大統領、ベトナムに到着 首脳会談や献花式など予定
ロイター / 2024年6月20日 6時10分
-
【インド】モディ政権、3期目入り 単独過半数を逃すも「強い政治指導力」は健在とみる【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月18日 11時30分
-
米ドルの「緩やかな下落」でいくつかのアジア通貨は為替レート上昇 アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月7日 10時20分
ランキング
-
1妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
2今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
3勢いづく出社回帰 テレワークは消えゆく運命なのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 6時35分
-
4宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
5「NHK受信料がいらない」チューナーレステレビ 山善があえて“アフターサービス”に注力するワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月3日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)