「女房が先に逝っちゃったら僕はどうするのだろうか?」26年ぶり映画主演の岩城滉一、愛妻に先立たれた主人公を演じて考えたこと
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月3日 10時15分
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俳優の岩城滉一さんが26年ぶりに主演を務めることでも話題の映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』(久万真路監督)が5月10日(金)に公開されます。定年退職し、認知症だった愛妻に先立たれ、静かに暮らす主人公・福山健二を演じた岩城さんにお話を伺いました。
「女房が先に逝っちゃったら……」岩城滉一が考えたこと
――岩城さんと言えば、ワイルドでアクティブなイメージがあったので今回の健二のような役はこれまでとは違った面が見られた気がしました。
岩城滉一さん(以下、岩城):家だと健二のような人間ですよ、僕。女房(結城アンナさん)と一緒のところを見たらわかりますよ。だから、今回も脚本を読んで、「僕が健二と同じ状況・立場になったら、どんな健二になるんだろう?」というところから入りました。
だから、20代の頃と今とを比較して振り返ってみれば、「あの頃と生き方変わったなあ」と思うし、世の中でいろんな知恵をつけてきたり、家族のありがたさを知ったり、女房の大事さをわかったりして、そういう中で人間て変わっていくんですよね。
僕は50年近く女房といるわけだけれど、やっぱりリスペクトするところはたくさんあるし、「この人じゃなかったら俺どうだったんだろう?」とかいろんなこと考えると、大事にしていかなければいけないなって思いますね。まあ、当たり前のことを当たり前のようにやって生きてきたってことだけなんですけれど……。
――健二と重なる部分がありますね。
岩城:そうですね、健二は最愛の女房を亡くしてしまったけれど、僕も「万が一、女房が先に逝っちゃったらどうするんだろう?」と思いました。そして「僕が健二だったらこうなんじゃないかな」と思って演じたのが今回の役だと思います。
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人とのつながり方がわからない人へ
――G60を読んでくださっている人たちは60代が中心なのですが、「退職したらつながりがなくなってしまった」という声をよく聞きます。もちろん、一人が好きという人もいると思いますが、高齢者の社会的孤立も社会問題となっています。
岩城:人間ってさ、ちょっと付き合いたいなと思っても、相手の気持ちがあるわけじゃない。嫁さんをもらうのと同じだよね。 ――恋愛もそうですね。
岩城:うん。でも、自分を持ってちゃんと接していれば「お前、気に入った」って言ってくれる人、絶対に出てくるから。そういう人がなかなかできないって言うんだったら、やっぱり自分を変えるしかないと思うし。自分を変えたくないんだったら、友達がいなくても自分で生きていける方法を考えないと、しょうがないでしょ? だからそんなに深く考えるようなことじゃないと思うよ。
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新しい環境に飛び込んだばかりの人へ
――4月から新生活がスタートして、環境がガラリと変わって新しい場所になんとか慣れようとしている人も多いと思います。俳優さんは毎回新しい現場でそこから関係を構築していく場面が多いのかなと想像するのですが、新しい場所に馴染むコツのようなものってありますか?
岩城:そうだなあ……。とにかくよく見たり聞いたり話したり、先輩とか元からいる人の働きや仕事の内容をよく見たり、そういうことの積み重ねが大事なんじゃないかな。人間ってさ、その人のことを知ったり、入り込んだりしていくと最初の印象や見た目と違うことってよくあるでしょう? 「いいやつだな」とか「意外と真面目なんだな」とか、いろいろな形容詞や名詞がついてくる。そして「この人信頼できるな」って思えば自然に深くなっていくよね。
「人間関係」って言うけれどさ、そんなに人間関係って大事かな? 何が心配なんだろう? 「こいつとは合わないな」って思えば付き合わなきゃいいのにって思うよ。それでもつながっていくやつはつながっていくし……。だからそこはシンプルに考えればいいと思うよ。
<プロフィール> 岩城滉一(いわき・こういち) 1951年生まれ。1975 年に俳優デビュー。以後数多くのドラマ・映画・CM・歌などで活躍。特に『北の国から』の北村草太役は、広く知られる。 俳優以外にも、バイク・車・飛行機・スノーボード・ゴルフ・射撃など、多彩な趣味を持ち、今年は5年ぶりに、自らライダーとしてレース参戦を予定している。 ■映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』ストーリー 定年退職し、認知症だった愛妻(も看取り、ひとり静かに暮らす福山健二。最近物忘れに不安を覚えめた健二は、残りの人生を、息子家族にも誰にも迷惑かけずに過ごすため、健康維持を意識する。その一つとして、市のコミュニティクラブに参加した健二は、同年代の橋本と出会い、さまざまな場所に出かけ、友好を深めていく。ある日、橋本は水泳教室に健二を誘う。全く泳げない健二は躊躇するのだが、橋本の「出来ない事を出来るようになるのは愉快じゃないですか?」という言葉に後押しされ、参加を決める。その教室には、夢破れ、若くして「残りの日々」を過ごす、香里がコーチとして勤めていた。水泳を大切な「挑戦」であり「目標」だと考えはじめた健二に、次第に変化が訪れーー。この記事に関連するニュース
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