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「税金対策」以外にもメリットあり…〈年収800万円超〉なら“ひとり社長”がおすすめなワケ【税理士・公認会計士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月3日 9時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏は、個人事業主がタイミングよく「法人化」することでさまざまなメリットが受けられるといいます。今回、法人化する際の「ベストなタイミング」と、法人化による「いくつかのメリット」を具体的にみていきましょう。

法人化することで得られる「7つ」のメリット

――普段、わたしは法人だけでなく個人事業主から節税の相談を受けることもよくあるんですが、個人での節税にはどうしても限界がありますよね。

黒瀧氏(以下、黒)「そうですね、法人を設立して“ひとり社長”になることで、節税可能な範囲が大幅に広がります。また、節税以外に非常にも重大なメリットがついてきます」

――どんなメリットですか。

法人化する「節税以外の」メリット

黒「それは、『社会的な信用』です。個人よりも法人のほうが信用度は高いですし、金融機関から借入を行ったり補助金を申請したりする場合に有利です」

――たしかに、取引先を法人に限定している企業も結構ありますし、コロナ禍のような不測の事態が起きた場合、資金調達できるかどうかは非常に重大ですよね。

黒「そのほか、採用面でも、個人事業より法人化したほうが優秀な人材を確保しやすくなりますよ」

法人化するベストタイミングは「800万~900万円」

――法人化するかどうか迷っている個人事業主は、いまの事業規模だと、法人化で得られるメリットより、法人化することでかかる費用や手間が上回ってしまうんじゃないか、ということを心配している人が多いです。目安として、利益がどのくらいになったら法人化を検討すべきでしょうか?

黒「個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになったら、法人化を検討するベストなタイミングといえます」

――それはなぜでしょうか?

黒「個人事業主として利益を伸ばしていき、ある一定の利益を超えると、法人化したほうが税金を抑えることができます。

日本の所得税は累進課税ですが、税率は900万円を超えると33%となるため、個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになったら、法人化を検討するといいでしょう。

それ以下の利益でも節税は可能ですが、できても数万円程度です。したがって、法人化の手間と比較するとあまりメリットはないかもしれません」

――法人化の手続きは書類の作成など大変で面倒な作業が多いですよね。もし手伝ってほしい場合、誰に相談したらいいんでしょうか。

黒「法人化の手続きを相談できる専門家には、司法書士や行政書士、税理士、社会保険労務士がいます。それぞれ専門領域によって依頼できる内容が変わってきます。こうした専門家に相談するといいでしょう。

“ひとり社長”の圧倒的な節税メリット

所得が分散できる

――ここからは、ひとり社長が個人事業主よりも優位な節税メリットを紹介していきます。1つ目は「所得が分散できる」です。

黒「先述のとおり、所得税は累進課税で、収入が多ければ多いほど税金も高くなります。ということは、所得を分散して所得税率が下がれば税金は安くなります。

個人事業主の場合には所得を分散できませんが、法人の場合、社長と会社に所得を分散することができます」

――個人事業主のときは自分1人だけだったのが、法人になると自分と会社の2人になるようなイメ-ジですね。

黒「そのとおりです」

給与所得が控除される

黒「まずは個人の場合の控除を確認していきましょう。個人事業主の場合、青色申告特別控除制度と電子申告または電子帳簿保存を適用しても、控除額は最大65 万円程度です。 それに対し、法人にして給料をもらった場合、『給与所得控除制度』を適用して、所得税を節税できます。 

[図表2]は収入金額別の、給与所得控除額を表しています。法人化すれば最大195万円の控除を受けることが可能です」

――同じ所得の控除が、個人は最大65万円、法人は最大195万円なんですね。かなり金額に差がありますね!

前年度の赤字を長期繰越できる

黒「法人化すれば、個人事業主よりも長く、欠損金を繰り越すことができます。欠損金の繰越期間は、個人事業は最大3年間ですが、法人は最大10年間です」

――法人のほうが期間が3倍以上長いんですね。そもそも、欠損金を繰り越すことはなぜメリットといえるのでしょうか?

黒「利益が大きいほど、税金は高くなります。そのため、赤字が発生した翌年度以降の黒字の年に、繰り越している赤字を使って利益と相殺すれば、利益が少なくなって税金が安くできます。

たとえば、ある会社で1,000万円の赤字が出たとします。それ以降毎年100万円の黒字が出た場合、10年後まで黒字を消すことができ、節税になります」

――向こう10年間、ずっと赤字を持ち越せるということなんですね。

「繰戻還付」は税務署に目をつけられる!?

前年度の税金を繰戻還付できる

黒「法人化のメリット6つ目は、青色申告をしている法人の場合、前年度の赤字を繰戻還付できるという点です」

――「繰戻還付」というのはどういう制度ですか。

黒「欠損金の繰戻還付とは、前年度は益金が出ていて、今年度は欠損金が出た場合に、前年度に納付した法人税の一部について還付を受けることができる制度です」

――前の年に納めた税金が一部戻ってくるんですね、これはいいですねえ!

黒「ただし、戻ってくるのは法人税だけです。地方税、消費税は含まれないため、前年に納付した税金すべてが戻ってくるわけではありません」

――法人税だけなんですか。それにしても、そんなお得な制度があったんですね。

黒「そうなんです。この制度、意外と知られていないんですよね。クライアントにも『え? そんな制度があるの』ってよく言われるんですよ」

――こんなにお得なのに、なぜ知られていないんですか?

黒「都市伝説とはいかないまでも、『繰戻還付をすると税務調査が入る可能性が高くなる』という話があり、税理士があまり伝えていないこともあるようですね。

ただ、調査といっても、調査官が来るケースももちろんあるものの、電話だけのこともありますし、根拠資料を提出して終わりということもあります。もちろん特になんの連絡もなくスルーされることだってありますし、過剰に恐れる必要はないといえます」

決算期を自由に決められる

黒「個人事業の場合は1月から12月までが事業年度で、翌年2月16日から3月15日までが所得税の申告期限となっています。

法人の場合は、決算から2ヵ月以内が法人税等の申告期限です。決算期は自由に決められるので、繁忙期を事業年度の最初に、閑散期に決算期を持ってくるといったことができます」

――それによってどんなメリットがあるんですか?

黒「売上や利益の上がるタイミングを期首に持ってくることによって、計画的に節税することが可能です。

また、3月決算や12月決算だと会計事務所なども忙しく、監査法人が見つからないことも多くありますので、あえて時期をずらして税理士さんと密に連携がとりやすいタイミングに決算期を設定することができます」

――なるほど、それはいいですね!

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

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