したたかにキャリアを積み上げる若手はすでにやっているが…シニアも〈転職サイト〉に登録したほうがいい、意外なワケ【シニアキャリアコンサルティングが助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月6日 11時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
これからの時代、若手からシニアまでサラリーマンの誰もが転職サイトに登録し、人材市場の風を直接感じるべきだと、行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏はいいます。今回は、木村勝氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、定年前後の働き方を考えるうえで、まずやっておくべきことを見ていきましょう。
会社のニーズを知る
「“半”個人事業主化」戦略では、まずは「今いる会社」(あるいは今いる会社と関係が深いグループ会社など)と雇用ではなく、独立して業務委託契約を結び仕事をしていくことを目指します。そのためには、今の仕事でどのようなニーズがあるかをあらかじめ徹底的にリサーチしておく必要があります。ここではそうしたニーズを見つけるためのポイントを解説します。
今の職場で「こういう仕事をしてくれる人がいたらいいな」を徹底的に考える
今いる職場の困りごとを一番わかっているのは、まさに今そこで当事者として働いているあなたです。今の職場を外部コンサルタントになった気持ちで客観的にながめて「今の職場の課題を解決してくれるこんな人がいればいいな」を書き出してみます。
・外注できるほどの定型業務ではないが、誰かが毎日やらなければいけない仕事がある。この仕事を担当してくれる人はいないかな?
・標準化されておらずマニュアルもない仕事。派遣社員を新たに契約して一から説明するだけで時間がかかる。本当は自分がやったほうが早いんだけど。
・古手やうるさ型の関係者が多く、その人たちと人間関係がある人でないとうまく仕事が進まない。新たに人を雇ってもうまくいかないのは目に見えている。
個人事業主を「スペシャリスト型」と「リリーフマン型」に分けてその特徴を考えた場合、上記のような悩みは、「スペシャリスト型」では解決できません。
「スペシャリスト型」は、一般的に「やるべきことが明確でパッケージ化が可能な仕事」であり、現時点でも外注化が可能な仕事です。具体例を挙げると研修講座の特定領域の講師を頼むようなケースであり、社内に対応できる講師がいない場合には、外部講師を依頼することはよく行なわれています。
また、コロナ禍では、どうしても出社して対応しなければならない、いわゆるエッセンシャルワークの重要性に改めて焦点が当たりました。逆に多くのサラリーマンが担っていたオフィスワークは、テレワークでも可能であることが明らかになりました。オフィスワークに関しては、2023年に登場したChatGPTなどAIの進展により、今後さらに価値が下がっていくことは否めません。
自らの首を絞めることになるため、大きな声では誰も言いませんが、「今のオフィスワークは、社員として雇用し、無理に職場に出社してもらわなくてもできる」ことが明らかになりました。書類作成や企画立案、会議などのいわゆるオフィスワークにこだわることなく、「一見、地味な仕事だけれども外部の人ではおいそれと対応できない業務」という視点も会社ニーズを探るポイントの1つです([図表])。
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今外注している業務を取り込むことを考える
多くの日本企業で業務の外転化(企業内で行なっていた仕事を外注化すること)が進んでいます。今までは企業内で行なっていた給与計算などのオペレーション業務があっという間に中国の大連などに移管されるケースがその典型です。
こうした業務請負は「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」とも呼ばれますが、筆者もサラリーマン時代の最後は、こうしたBPOを担う外資系企業に勤務していたので、その拡大状況はよく理解しています。
オペレーション業務の外注化により、費用の低減と、工数を事業運営のコアとなる業務によりシフトさせることがBPO化の目的です。しかし、なかなか想定していた品質や原価低減効果が出ないケースも少なくありません。
海外などの移管先では、決められたマニュアルに従って業務を進めるので、非定常作業にはなかなか対応できません。また、委託先オペレーターの突然の退職などにより品質レベルが下がったりすることもあります。「自前でやればもっと融通が利くのに!」と皆さん心の中では思っていますが、オペレーションノウハウはすでに移管されており、また、委託元にはそれに対応する工数はもはやありません。
皆さんの職場でも同様な事態が起こってはいないでしょうか? 「高い委託料を払って業務委託しているが、提供されるサービスのレベルにはとても満足できない。実は契約を解除したいのだが、社内にそれを担える人材がいない」といったジレンマです。
「社内に担える人材がいない」と思いがちですが、実はいます。それはシニア社員です。シニア世代は、先輩からOJTで徹底的に一からこうしたオペレーション業務を叩き込まれている最後の世代です。残念ながら今の若手は自分の手で業務を完遂することはできません。やっていることは「ベンダー調整役」というケースも多くなっています。
筆者は人事畑ですが、若い頃は給与計算に間違いがあった場合には手計算で修正するのが当たり前でした。人事だけでなく営業でも総務でも多くのシニアの皆さんは同様な体験をされてきていると思います。
製造現場で問題を解決する際によく言われる三現主義(「現場で」「現物を(見て)」「現実的に」)に「原理」「原則」「原点」を加えた「ロクゲン主義」で仕事をしてきたのがわれわれシニア世代です。
「なぜこの処理を行なうのか?」「何を根拠にしてこの処理が工程に入っているのか?」「どの法律に基づいてこのような判断しているのか?」など、オペレーションの背後にある意味や目的を理解して仕事をしているシニア社員は会社にとっても実は貴重な存在なのです。
「今は外注化しているが、現状のサービス水準には満足していない。値段も高い」業務もシニア“半”個人事業主にとっての“ブルーオーシャン”です。今の職場のこうした不満も隠れた会社ニーズを探る視点になります。
転職サイトに登録して今のニーズを知る
転職サイトでは、今企業から求められている旬の人材情報を得られます。
コロナ禍以降「大転職時代」と呼ばれるように人材流動の激しい時代になっています。たとえば、筆者が長年携わってきた人事領域では、採用業務経験に対する人材ニーズが高まっていることが転職サイトをのぞいていると気がつきます。ぜひ、一度ご自身の職種を転職サイトに登録してみてください。自分の専門領域でどのような人材が求められているのかがわかります。転職サイトは、今の会社ニーズを把握するための貴重なのぞき窓になっているのです。
転職サイトの「ビズリーチ」のPRコピーに「転職する・しないにかかわらず自分の市場価値を知ることが大切です。あなたもビズリーチで自分の市場価値を確かめてみませんか?」というものがありますが、まさにこの考え方です。
とはいえ、新卒一括入社で大企業に入り、一度も転職経験のないシニアにとって、転職サイトに登録すること自体に抵抗を感じる方もいるかもしれません。「転職サイトに登録したことが会社にバレるのではないか?」「個人情報が洩れるのではないか?」など、終身雇用を前提として新卒から社会人生活を始めたシニア層の中にはこうした意識を持った人がまだいます。
その一方でコロナ禍以前から若手の就労意識の変化は進んでいます。そのことを指し示す調査として日本能率協会が2019年度の入社半年・2年目の若手社員に行なった意識調査を紹介します。超若手社員の職場や仕事内容に対する考え、現状の満足度を探るための調査ですが、結果は次の通りです。
・約半数が転職を検討・活動中で、転職サイトにも登録済み。定年まで勤めるつもりの社員でも6割が転職サイトに登録済み・約3割が「副業・兼業している」と回答。定年まで勤めるつもりの社員のほうが実施率約5割と高い・副業・兼業に興味がある/行なっている理由は、「収入を上げるため」が多数
すでに若手は、「転職前提」で自らのキャリアをしたたかに考えているとともに常に時代のニーズに向けたアンテナを立てているのです。
シニアも同様な行動を取る必要があります。これからの時代は、今転職をする/しないにかかわらず、サラリーマンの誰もが転職サイトに登録し、人材市場の風を直接感じることがデフォルトの行動になっています。
今、世の中で求められている役割に直接的な経験がなくても問題はありません。同じ職種の仕事であれば長年の経験で鼻が利くので、容易に対応スキルの獲得は可能です。再び人事の例で恐縮ですが、今まで採用を主担当として経験していなくても、採用活動のどこがキーポイントであるかは勘が働きますし、どうしても必要な知識・スキルに関しては、意識的に社内でその領域の経験を積むことでほかの職種のシニアが対応するよりも容易に対応が可能です。
今までの自分ができる仕事を少し改良すれば対応できる仕事はいくらでもあります。
木村 勝
行政書士
リスタートサポート木村勝事務所 代表
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