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4人に1人が65歳超え…“超高速高齢化”日本を待ち受ける、2040年、まさかの光景【経済のプロがシミュレート】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月25日 8時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

日本は本記事では<株式会社T&T FPコンサルティング>の髙島一夫氏・髙島宏修氏、<株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所>の西村善朗氏・森田貴子氏らによる共著『富裕層なら知っておきたいスイス・プライベートバンクを活用した資産保全』(総合法令出版)から一部抜粋し、日本経済が抱える「借金問題」が解決しない理由について解説します。

人類史上初の猛スピードで進行する「日本の高齢化」

内閣府の発表によると、2019年10月1日現在における総人口に占める65歳以上人口の割合は28.4%です。つまり日本は「4人に1人が65歳以上」という超高齢社会に突入しています。高齢化の勢いはとどまることがなく、今後50年以内に「3人に1人が65歳以上」になるとの予測も出ています。

こうした事態を受け、現在の社会保障制度を維持するのはすでに限界が来ているとの指摘もなされています。働き手が減り、給付を受ける高齢者が増えるわけですから、当然のことです。

もちろん、社会保障制度はその時々の状況に合わせて見直されていくものであり、それなりの改正は行われるでしょう。事実、厚生年金の受給開始年齢は制度が始まった1942年には55歳だったものが、現在は65歳まで伸びています。2022年4月からは、年金の受給開始年齢を繰り下げられる上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、政府は高齢者が働き続けられる社会を目指す姿勢を見せています。

しかし、このような対応も十分だとは言えません。なぜなら日本が迎えている少子高齢化は、人類史上どの国も経験しない速度で進行しており、制度改正では現実に追いつけないからです。

ここで、日本の高齢化がどれくらい速いのかを、他国と比べてみましょう。高齢化率(65歳以上人口の割合)が7%から21%に上昇するまでの年数で比較します。

日本の場合、高齢化率が7%を超えたのは1970年のことです。その後、21%に達したのは2007年。つまり、日本の高齢化率は37年かけて7%から21%に上昇しています。

日本は世界初の“超高齢化社会”を迎えた~世界各国の高齢化率と比較~

次に、他国において高齢化率が7%から21%になるまでにかかった、もしくは人口動態統計上かかると見込まれる年数は次のとおりです。

  • フランス:161年(1865年~2026年)
  • スウェーデン:136年(1890年~2026年)
  • ドイツ:82年(1932年~2014年)
  • 韓国:28年(1999年~2027年)
  • 中国:33年(2002年~2035年)

このとおり、欧州諸国において高齢化はゆっくりと進んでいます。このため、国民の意識改革や社会保障制度の改革にも時間をかけることができているようです。

たとえば、ドイツでは2013年以降、社会保障制度改革が進められ、介護保険や年金制度の見直しなど、安定的かつ持続可能な社会保障制度に向けた運用が行われています。

一方、アジアに目を向けると、韓国や中国も日本に劣らないスピードで高齢化が進展していることがわかります。しかし、高齢化率21%を迎えるのはまだ先のことです。日本の高齢化率がすでに30%に迫ろうとしていることを踏まえると、やはり日本が世界で最初に、しかも急速に超高齢社会を迎えていることは間違いありません。

今後、日本が移民を増やす方向に転換したり、AI(人工知能)などのイノベーションにより労働力を補ったりできる可能性はゼロではありません。しかし、そうした変化の効果が現れるまでには数十年単位の時間を要します。今の日本を生きる私たちは、やはり人口減少を前提として、資産を守る手段を考えていく必要があるのです。

日本の“超高齢化社会”の実態~国の経済成長に影響する「3大要素」~

高齢化が経済成長にとってマイナスになる理由は、成長会計から説明することができます。成長会計とは、GDP成長率の内訳に注目して成長の要因を明らかにしようとするもので、次の3つの要素が経済成長に影響すると言われています。

  1. 労働投入
  2. 資本投入
  3. 生産性

1:労働投入

人口が減少する影響として、最初に思い浮かぶのが「労働力の低下」ではないでしょうか。高度成長期の日本は人口増加によって労働力人口(15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの)が増加する「人口ボーナス期」にありました。

人口ボーナス期では、多くの人々が働き収入を得ているわけですから、年金などの社会保障費の負担は少なくて済みます。政府は、国家予算をその分経済政策に重点的に充てることができるため、ますます経済成長が加速します。

一方、現在の日本は人口減少が続く「人口オーナス期」に突入しています。人口減少と高齢化が同時に進む日本では、「支えられる高齢者」の数が「支える現役世代」の数を上回るため、どうしても社会保障費は重たくなってしまいます。これは、現状の日本の財政状態を見れば明らかでしょう。

2:資本投入

人口が減少すれば、住宅へのニーズや、企業による資本設備への投資も比例して減ります。したがって、市場に投入される資本は減少し、やはり経済成長にはマイナスにはたらきます。貯蓄する若者は減り、高齢者は貯蓄を取り崩すため、日本社会で使える資金は減ることになるでしょう。

3:生産性

昨今は、デジタル化や働き方改革などが進められ、生産性の向上が図られていますが、実は生産性を高める一つの要素に「人口」があると言われています。なぜなら生産性向上には、既存のやり方を打破するイノベーションが必要であり、新しいアイディアをもつ若い世代が増加して、経験豊かな世代と融合することによってイノベーションが促進されることが期待できます。人口が少なくなれば、多様性が失われ、イノベーションにつながる種が少なくなってしまうかもしれません。これは、生産性の向上が停滞することにつながります。

2040年には現役世代1.5人が1人の高齢者を支えることに

このように、成長会計の3つの要素それぞれにおいて、鍵となっているのは「人口」なのです。経済成長のためには人口増加が望ましく、少子高齢化時代を迎えた日本が不利であることは否めません。

人口構成が変化するのはどの国も同じですが、日本は変化の速度が速いことも問題です。2022年には1人の高齢者を現役世代がほぼ2人で支える構造でしたが、2040年にはこれが1.5人で支えることになると予測されています。このような状況では、社会保障などの旧来のしくみが変化に対応しきれず、若者は将来の展望を描きにくくなり、持続的に経済活動を行っていくうえではマイナスになり得ます。  

髙島一夫

株式会社T&T FPコンサルティング

代表取締役社長CFP

髙島宏修

株式会社T&T FPコンサルティング

取締役CFP

西村善朗

株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所

代表取締役税理士

森田貴子

株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所

パートナー税理士

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