投資先の優等生「金(ゴールド)」と類似の特徴…「今、もっておくべき」“推し通貨”を、経済のプロが紹介
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月27日 8時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
投資の世界では「リスクを分散させるために、特定の商品や地域だけに投資するのではなく、複数の商品や地域に投資を行う」ことが基本セオリーです。資産の保有方法についても同じで、資産を日本円だけでなく、海外の通貨でも保有することで、資産価値が目減りするリスクを分散することができます。本記事では経済のプロがおすすめする「今、もつべき海外通貨」について解説します。
資産は「ドル」を基軸にするのが安全
私たちが海外での資産運用が望ましいと考えるのは、「日本国内だけに資産を置いておくのは危険」ということに加えて、「日本円だけで資産を持つのは危険」という意味も込められています。
もちろん、日本国内で生活している以上、日本円なしで生活することはできませんから、一定の額の資産を日本円で持っておく必要はあるでしょう。しかし、それは最低限でいいのです。ここで言いたいのは、資産のすべてを日本円ベースで持つことのリスクなのです。
世界の多くの国々は、自国通貨の価値を高めようと必死になっています。自国通貨の価値が上がれば、輸入産業が潤い、国民の生活も豊かになるからです。
しかし、日本の場合、円安が進みすぎると、自動車関連分野など一部の輸出企業は恩恵を受けるものの、そのことにより、多くの日本人が豊かになるわけではありません。輸出産業にしても、主要な企業はすでに生産拠点をアジアなどの海外に移しており、経済成長にとってはマイナスに働く可能性が高いのです。
日本のGDPはこの14年間で世界2位から5位に大転落
円安が進むということは、日本人がそれだけ貧乏になっていると考えられます。もう誰も言わなくなってしまいましたが、中国のGDPは今や日本の約5倍にまで成長しています。2009年にアメリカに次ぐGDP世界第2位の地位を中国に奪われたときは大騒ぎとなりましたが、気がつけば、すでに日本のGDPは中国の約5分の1になっているのが現実です。それどころか、2023年にドイツ、2027年にはインドにも抜かれて、日本はGDP世界第5位に転落すると予想されています。
現在の為替相場は、1ドル140円~150円ほどです。東日本大震災が起こった2011年は1ドル75円程度でしたから、あれから10数年で50%以上円安が進んだことになります。GDPはドルベースで発表されるため、中国とこれだけ差をつけられたのも納得がいきます。政府が円安を容認している限り、この動きにしばらく変化はないでしょう。残念ながら、今や円は世界の〝負け組通貨〟になりつつあるのです。
いまだ底の見えない円安…日本円をドルでもつだけでも有益
実際にはあり得ないことですが、仮に運用成績が0%であったとしても、資産を日本円ベースでのみ保有している場合と、各国の通貨に分散して保有している場合とでは、数年後の価値は大きく違ってきます。
ここで分散先の一番手に挙げられるのは、やはりドルです。2008年のリーマン・ショックから16年あまりが経ちましたが、ドルが依然として世界の基軸通貨であることに変わりはありません。今後、ドルに対して円安がさらに進むとなれば、まずは日本円をドルに変えておくだけで、為替差益を見込むことができます。
現在の為替相場について、「これ以上円安が進むことはない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、イギリスの通貨ポンドも、かつては1ポンド1,000円というポンド高の時代があったのです。それが今では1ポンド185円前後ですから、ポンドの価値は大きく下がっています。したがって、これを超える大きな変化が日本円に起きても、決しておかしくはありません。
また、ドルを保有し、ドルで投資を行えば、手数料の大幅な節約にもつながります。投資の度に日本円に替えていると為替手数料がかかるので、まずドルでリターンを得て、そのドルで投資するのを基本と考えておくとよいでしょう。
資産形成は「強い通貨」で運用するのが鉄則
ドルの次に通貨を選ぶとしたら、欧州20ヵ国で単一通貨として使用されているユーロです。2009年の欧州債務危機によって評価を下げ、2020年にはイギリスがEUから離脱する(ブレグジット)などの不安を抱えてはいますが、ドイツ、スウェーデン、オランダ、フィンランドなどは安定しています。
ドルとユーロという2大国際通貨に加えて、安定性と信頼性抜群のスイス・フランの3つの通貨へ分散しておくのが、理想的な通貨分散のスタイルだと言えるでしょう。スイス・フランは、ドルが通貨価値を下げるときにも強いと言われ、金(ゴールド)と同じように、「経済危機に強い」という特徴を持っています。
株式や債券に投資をする場合も、投資先の国や地域を分散することが大切です。
いくら新興国の経済が好調といっても、その国の企業のみに投資をするのは非常にリスキーであり、一部先進国の企業も組み入れる形が望ましいでしょう。たとえば、一時期は著しい経済成長をつづけていた新興国でも、現在では破綻してしまっている企業が少なくありません。
そうした企業に集中して投資をしてしまっていれば、資産は一挙に失われてしまいます。そうはならないためにも、その時々の経済情勢を踏まえながら、分散投資を考えていく必要があります。
どのように資産を分散させるかは、実は正解があるものではありません。なぜなら、人によってリスクの許容度が異なるからです。すでに大きな財産を持っている人であれば、リスクをとらずに財産を極力減らさないようなスタイルの分散投資でもいいでしょうし、逆に積極的に増やしていきたければ、株式などボラティリティ(値動き)の大きなものに集中して投資することも考えられます。
髙島一夫
株式会社T&T FPコンサルティング
代表取締役社長CFP
髙島宏修
株式会社T&T FPコンサルティング
取締役CFP
西村善朗
株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所
代表取締役税理士
森田貴子
株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所
パートナー税理士
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