首都圏在住の会社員は「地方での副業がおすすめ」といえるワケ【メガバンク出身の経営コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月6日 12時0分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
老後に向けた資産形成や生活費の担保など、さまざまな理由から「副業」を検討している人は少なくないでしょう。副業には多くの選択肢がありますが、地方創生の切り札として、いま「首都圏在住の副業人材」が注目されていると、メガバンク出身のコンサルタントで『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏はいいます。事例を交えながらみていきましょう。
「首都圏副業人材の活用」が地方創生の切り札に
私は2019年7月に伊豆に執筆の拠点を構え、埼玉と伊豆の2拠点生活を始めるようになって強く感じていることがあります。それは、静岡県内の地元企業や店舗にはICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)に強い人材が少なく、せっかくのチャンスを活かせていないということ。
私がもう1つの地元にしている静岡県の東伊豆町は、昔からの漁港、温泉宿などが立ち並ぶ伝統的な観光地でもありますが、旧態依然とした建物、店舗が多く、たまに見かけるオシャレな店舗は例外なく、移住者が立ち上げたものです。昔からある店舗では情報発信を行っているところも少ないので、外から来た観光客になかなか見つけてもらうことができないのです。また、自動車がなければ、エリア内の移動にも時間がかかる交通体系にも課題を抱えています。
伊豆半島の経営者と首都圏在住の副業人材をマッチング→驚きの結果に
そうした中で、元東急電鉄(株)・広報課長、MaaS事業責任者を歴任して独立起業した森田創氏は、まだ東急の会社員だったころに伊豆で副業を開始しました。伊豆半島の経営者と首都圏副業人材をマッチングさせるプロジェクト(2泊3日の合宿形式)を2回開催し、参加者の90%を超えるマッチング率を実現させたのです。
なぜ、伊豆半島で行ったかといえば、東急のMaaS(Mobility as a Service)事業を推進する際に、プロジェクト責任者として東急の戦略地域(伊豆急行、ホテル、観光施設等)であった伊豆半島を実証実験エリアに選定して実施したからです。
その時の奮戦記は著書『MaaS戦記伊豆に未来の街を創る』(講談社)に克明に描かれています。臨場感が伝わってくるストーリーで、副業を立ち上げるヒントとして、このプロジェクトの遂行プロセスは本当に参考になると思いますので、ぜひお勧めです。
地元経営者の“意欲の高さ”に驚いた筆者
森田氏が中心になって進めた「伊豆半島の経営者と首都圏副業人材をマッチングさせるプロジェクト(2泊3日の合宿形式)」の2回目は、下田市のワーケーション施設(下田市所有、三菱地所運営)および下田東急ホテルにて行われましたが、地元経営者および自治体、金融機関向けに行われた戦略ワークショップを私も講師としてお手伝いしました。
とくに地元経営者の首都圏副業人材に対する期待感は強く、なかなかICTスキルを持った人材の雇用は難しいが、副業人材としての活用ならコストパフォーマンスの面でメリットが大きいという問題意識で、その積極性に驚きました。
2回のプロジェクトによって実際にマッチングした副業人材を見てみると、Webマーケティング、イベント企画、社員教育など多様なニーズが存在します。とくに新規事業の企画や既存社員の活性化に期待する経営者が多かったのが印象的です。
独立後の森田氏は、行政・企業顧問、人材マッチング事業と並ぶ、もう1つの事業の柱として、地方での交通改善とコミュニティ活性化を組み合わせた取り組みを進めています。東急のMaaS事業で培ったノウハウで行政や地元社会と実証実験を行い、地方創生へつなげていく取り組みです。
人口が急減少する日本では、その流れを止めることは難しいものの、コロナ禍を経て働き方は確実に多様化しつつあり、地方もいかに関係人口を増やすかを課題として取り組んでいます。
大杉 潤 経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師
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