ラーメン店を「バズらせる」には?味の紹介動画ではダメ。「斜め上の工夫」をYouTube・TikTok登録者数100万人超の経営者が伝授
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月5日 14時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
さまざまな企業で活用されているYouTubeやTikTokのショート動画。しかし、業種によってはバズる動画をつくることがなかなか難しいケースもあります。本稿では、YouTubeチャンネル登録者数100万人超えの株式会社リンクロノヴァで代表取締役社長を務める長野雅樹氏と、株式会社リセンダーの社員としてSNS企画・演出などを担当する鈴木啓太氏による著書『結果を引き寄せる完全版YouTube TikTokビジネス活用術』(KADOKAWA)から一部抜粋し、企業のショート動画活用における失敗パターンとその改善策について解説します。
相性が悪い「ショート動画」と「建設業」
企業がSNSを運用していくうえで、どのように売上につなげていくか、ということが課題の大半を占めます。今では、それがショート動画でなくても、写真、文章のみでInstagramやX(旧Twitter)を運用している企業も多いですよね。多くなってきた分、差別化もしづらく、さらに大きな成果を得たいからこそショート動画に挑戦するということだと思います。
私たちは建設業の会社です。もちろん建設業の売上を上げたいという目的もあり、SNSを運用してきました。しかし正直、ショート動画と建設業は相性が良くないのです。相性が良くないというのは、動画を視聴していただいて、弊社のサービスに興味を持ってくれて、仕事の依頼が来て、実際に仕事をさせていただき、代金をいただくまでの流れが遅いことと、私たち自身がしっかりお客様を選ばなければいけないということから来ています。
建設業のサービスというのは、新築したい物件、または改修したい物件があった場合、現地調査をして、見積もりを出して、価格交渉を行ったうえで受注し、工事をはじめ、納期までに納めて代金をいただきます。物件の大きさにもよりますが、動画視聴から受注ま で2~3か月程度はザラにかかります。
TikTokはバズりやすく、YouTubeはファンがつきやすいという特徴があります。ショート動画によって起こせる購買意欲はそれほど高くありません。人の購買意欲は動画を見ているときがピークでそこから下がっていくので、受注までに時間がかかる業態はあまり向いているとは言えません。
さらに建設業は大きな金額が動きます。何千万円というお金が動くことも珍しくありません。そのため、私たちも動画を見て仕事を依頼していただいたクライアントに支払い能力があるかをしっかり見極めて、受注をしなくてはなりません。そうなると、完全に新規の県外など私たちが不慣れな地域のクライアントから仕事をいただくということはハードルが少し高くなります。
このように、ショート動画を活用していくうえでも、業種の特色によって、売上が上がりやすい上がりにくいということは大いにあります。
売上が上がりやすい例で言えば、スナックやキャバクラ、美容室などです。パターンとしては集客の営業ツールの一環で、実際に接客をするスタッフが演者となり、その人柄にファンをつけることにより、「この人に会いたい」という動機から集客をします。ある程度客単価も高く、受け入れ人数も多いし、リピート率も高いので、建設業のような業態と比べると、売上が上がるスピードも早いです。
よくある失敗パターン
初期の段階で陥りやすい失敗の例も紹介します。それは「自社の商品やサービスの紹介をし続ける」、「専門知識を紹介し続ける」パターンです。自社商品やサービスの紹介は悪いことではないのですが、基本的に商品・サービス自体に驚異的な魅力があるか、商品・サービスが流行しているかのどちらかでなければ、失敗しやすいです。
例えばラーメン屋さんが自社商品の紹介をするとします。でも、自分で自分たちのラーメンを紹介しているアカウントより、ラーメン紹介専門アカウントが紹介している方が信憑性が高いと思いませんか? そうなると視聴者の意識的にもいいプロモーションになりません。この場合はラーメン以外で人にキャラクターをつけるか、ラーメン屋を題材にエンタメを掛け合わせて視聴者を楽しませ、行ってみたいと思わせるのがいいでしょう。
また「専門知識を紹介し続ける」パターンですが、これは私たちが初期の頃に陥ったパターンです。その業種に興味がある人が少なく、いくら有益な情報でもバズりづらいのです。
YouTube開設当初、設備工事に関わるエアコンなどの家庭用電化製品について、一般でも多くの方が抱く疑問を題材にし、役立つ情報を発信していました。当時はYouTube Shortsもなかったため、横動画で発信していましたが、再生数が伸びることはほぼありませんでした。
長野 雅樹
株式会社リンクロノヴァ
代表取締役社長
鈴木 啓太
株式会社リセンダー
社員
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