「PERが低いから割安だ」→買いは危険?…株式投資でお金を減らさないために必須の〈ある行動〉とは【投資のプロが助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月22日 10時0分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
投資はなるべくローリスクで行いたいもの。銘柄を選択する際におさえておくべきポイントとはどのようなものなのでしょうか。ファイナンシャルアドバイザーである長谷川伸一氏の著書『お金の動きに強くなる投資の入口』(総合法令出版)より、お金を増やすための正しいルールについて見ていきましょう。
銘柄選択時に「PER」にこだわる投資家は多いが…
株式投資でお金を減らしてしまう人の多くは、たった一つの指標に固執しています。
たとえば、PER(株価収益率)という数値があります。この数値が低いほどその株が割安であることがわかる便利な指標です。標準的なPERは約15倍。これよりも低ければ割安な株で「買い」、これよりも高ければ割高な株で「売り」となります。
そのため、銘柄選択時にPERにこだわる投資家は多いのです。PERは、次の公式で計算します。
時価総額÷純利益=PER時価総額とは、「その日の株価」×「発行済みの株数」で計算する、企業価値を評価する数値です。日本で一番時価総額が高い企業はトヨタ自動車で5兆円を超えています。
利益がたくさん出ているのに、時価総額が低い場合、PERの数値は低くなります。つまり、「業績がいいのに株価は安い」=「割安」となるのです。
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しかし、PERだけを見て「PERが低いから割安だ」と買い注文を入れるのは、あまり得策ではありません。
お金を増やしていく人はPERに固執せず、複数の情報を集めてから銘柄を決めるのです。
なぜなら、PERは万能ではなく、思わぬ落とし穴があるからです。たとえば、その企業が持っている不動産を売却すれば一時的に利益が出ます。本業の売上が下がり業績は赤字だったとしても、一時的にPERが割安な数値を示すことはあるのです。こういった株は、その後急激に株価が下がる可能性があります。
PER数値が低いのには「理由」がある
逆に、PERの低い企業ばかり探していると成長率の高い企業を見落としてしまうことがあります。たとえば、新しい分野の企業で、設備投資にかなりの資金が必要な場合、PERの数値は割安にはなりません。
しかし、高い確率で成長が見込まれる分野だとしたら、株価のさらなる上昇が予想されます。PERに固執していると、こうした銘柄を買えません。
Amazonなどは、創業当初は赤字が続いていました。しかし、売上は確実に伸びていましたし、成長分野の事業ですから株価はどんどん上がっていきました。赤字では、PERの数値が算出されません。PERという指標しか見ていなければ、こうした高成長銘柄を選べないのです。
PERが低い場合、その理由を調べることです。「どうしてこんなにPERが低いのだろう?」と考える癖をつけることが大切です。
たとえば、「不人気業種ではないか」「業績が頭打ちで成長性がないのではないか」「地味でアピール不足の会社の可能性はないか」などです。
株式投資は人気投票の一面があります。そもそも人気がわかりづらい業界だったり、成長性がないと思われる会社はなかなか買われません。アピール不足の会社も結構あります。
こうした会社の株を買ってしまうと、長期保有してもまったく上昇しないこともあります。ただし、配当金が高く、過去に配当の減額もない会社の場合、長期保有であれば検討してもよいといえます。配当利回り5%の会社の株を10年持てば、50%の配当金を受け取れます。2割下落しても30%儲かり、年利回り3%の金融商品を持ったことになります。
こうしたことをなくすには以下の行動も一手です。
まず業績を見ます。「株探」というサイトの例で説明すると、企業名か証券コード(銘柄コード)を入力すれば、その会社のページが出てきます。そこに業績推移の表があるので、売上が伸びているか、利益が出ているか、配当が出ているかなどをチェックします。
証券コードとは、すべての上場企業についている識別番号のことです。トヨタ自動車は「7203」、ソフトバンクグループは「9984」というように識別するための番号があります。
「株探」の、会社ページには、その会社に関連したニュースが掲載されています。「会社開示情報」を見れば、その会社が発表した資料を閲覧できます。そうした資料に目を通し、業績が上昇している理由や逆に悪くなった理由などを見つけるのです。
次に、事業内容をチェックします。その企業のHPに行くと、どのようなサービスを展開しているか、どのような商品が発売されているかがわかります。そこで、同業他社との差別的優位性があるか、将来有望かを考えます。
PERが低く、業績も伸びており、将来有望な会社の銘柄は「買い」です。
日本経済全体は低成長の時代ですが、僅か2年間で、株価が10倍に上昇した例もあり、伸びている会社もあるのです。
長谷川 伸一 ファイナンシャルアドバイザー
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