株価が下がったほうが嬉しいという「天邪鬼的な要素」も…高配当株による長期投資の魅力とは【マネックス証券チーフ・ストラテジストが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月22日 11時15分
![株価が下がったほうが嬉しいという「天邪鬼的な要素」も…高配当株による長期投資の魅力とは【マネックス証券チーフ・ストラテジストが解説】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60325_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
高配当株に投資する際のポイントの1つに「買い値は忘れる」というものがあるのですが、それはなぜでしょうか。また、通常は焦ってしまう「株価の下落」もメリットになるといいます。そんな高配当株投資で知っておくべき基本のポイントを、広木隆氏による著書『利回り5%配当生活』(かんき出版)よりご紹介します。
買い値は忘れていい。注視すべきは「配当額」
高配当利回り銘柄に投資する際のポイントとして、買ったときの株価を忘れてしまう、というのがあります。
高配当利回り銘柄投資の目的は、キャピタルゲインを積極的に狙うことではなく、インフレリスクをヘッジするために高い配当利回りを確保することにあるからです。
改めて配当利回りの計算方法である、「配当利回り(%)=配当÷株価」を思い出してください。ここで言う株価とは、自分が投資して買い付けたときの株価。仮に配当が年間200円で、買い付けたときの株価が4,000円だったら、配当利回りは5%になります。
そして、その後もその銘柄を持ち続け、安定的に200円の配当が支払われ続ければ、毎年5%の利回りを安定して受け取ることができます。
それは、株価が5,000円に値上がりしたとしても、あるいは3,000円に値下がりしたとしても、その銘柄を持ち続ける限り、自分の買値は変わりませんから、配当利回りは常に5%が維持されるのです。
したがって、もし年5%の配当利回りに満足できるのであれば、むしろ買い付けたときの株価は忘れてしまっても良いのかも知れません。そして、常に年200円の配当を維持できるだけの業績を達成しているのかどうかだけを注視するようにします。
追加投資で「利回りアップ」も狙える
また、高配当利回り銘柄投資は、株価が下がったほうが嬉しい気持ちになるといういささか天邪鬼的な要素もあります。後述するように、買い増しできるからです。
たとえば年間の配当が200円で、買い付けたときの株価が4,000円だとすると、配当利回りは5%です。
その後、株価が3,000円に値下がりしたとしましょう。配当の額は変わらず年間200円です。もし、3,000円になったとき、同数の株式を追加購入したら、配当利回りはどうなるでしょうか。そう、上がります(細かい計算は、図表1を参照)。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/5/f/800m/img_5f29fae692dd9d3c36e8b4dc563fb61e52818.jpg)
これが高配当株による長期投資の魅力です。もし、年6.66%の配当利回りをずっと長期的に受け取りつつ、その銘柄を保有していれば、この配当がどんどん蓄積されていき、いずれは投資したときの元本を上回るだけの配当収入が得られることになります。
単純に単利で計算しても、年間6.66%の利回りが得られるのであれば、これを15年も保有すれば、配当の額が、投資した元本とほぼ同額になります(税金は考慮していません)。
さらにそこから保有し続けると、投資元本を全額回収したうえに、そこから先は全額が純利益になっていくのです。
株価下落の要因によっては注意も必要
もちろん、株価下落の要因がその企業固有の問題に端を発したものだとしたら、少し慎重に状況を観察する必要があるでしょう。その原因が、経営悪化、経営破綻につながるようなものだとしたら、少しでも早く売却しなければなりません。
いくら株式投資は長期的なスタンスが重要だといっても、倒産しそうな企業の株式を持ち続けていていては、いずれ大きな損失を被ることになるからです。その企業に投資した理由が間違っていた場合、あるいは経営の存続に関わるような大問題が発生した場合は、とにかく逃げることを最優先してください。
ただ、株価はその企業に固有の材料だけで動くのではありません。市場全体の値動きに引っ張られることもあります。
株価下落が市場全体の値動きに引っ張られたものなのか、それとも企業固有の問題によるものかを判断するためには、日経平均株価や東証株価指数の下落率と、投資先企業の株価の下落率を比較すると良いでしょう。
両者の下落率がほぼ同じであれば、たとえ短期間のうちに10%、20%というように大幅に下落したとしても、「それはマーケット全体が売られているだけのこと」で済ますことができます。
でも、マーケット全体の下落率が5%程度であるのに対し、投資先企業の株価下落率がそれを超えて、たとえば10%も下げたとしたら、それは何か売られなければならない、その企業固有の問題が潜んでいる恐れがあります。
マーケット全体が値上がりしているときに、投資先企業の株価が下落しているときも、要注意です。たとえば2008年に起こった、リーマンショックのような金融不安で株価が暴落したときなどは、投資先企業に何も問題が無かったとしても、その株価は大きく下げるはずです。
そのときの株価下落率が、マーケット全体の下落率とほぼ同じだとしたら、それは自分のポートフォリオの配当利回りを大きく改善させるチャンスです。
このように高配当利回りに着目した投資を行うときには、時間を味方に付けることも大事です。つまり、若いうちから投資を始めたほうが、後々、有利な運用が出来るということでもあるのです。
広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
※本記事は『利回り5%配当生活』(かんき出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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