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来たる〈人生100年・80歳現役〉時代…新しいキャリアに挑む中高年が知っておきたい、自分の「意外なセールスポイント」【シニアキャリアコンサルタントが助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月13日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

心もとない年金、止まらない物価の上昇……。先行き不安な現状を前に、定年退職後の「身の振り方」について、思い悩む人も少なくありません。定年後の働き方として、行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏は、再雇用ではなく、勤務先との間で業務委託契約を結ぶ「“半”個人事業主」という働き方を推奨しています。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、“半”個人事業主を始めるにあたって欠かせない「自己分析」のしかたについて、詳しくみていきましょう。

自分の武器(商品)を磨き上げる

“半”個人事業主として活動するために必須な提供サービスの明確化

これから“半”個人事業主として踏み出していくためには、次の事項をはっきりさせておく必要があります。それは、“半”個人事業主として、「①誰の問題を解決するか?」「②どんな問題を解決するか?」「③どのように解決するか?」です。

この3つの問いに対して答えをはっきりさせることにより、「“半”個人事業主としてクライアント(会社)に対してどんなサービスを提供するのか」という自分の売りものが明確になります。

サラリーマン(雇用)の場合には、会社が社員に対して「この仕事をやってくれ」という上から下への業務命令に基づき仕事がアサインされ、管理職の指揮命令を受けながら業務を遂行します。サラリーマン側から自分は何ができるかを自ら「見える化」し積極的にPRする必要はありません。

これに対して、“半”個人事業主は会社と対応な関係で契約を結んで仕事を行なうので、個人事業主側から「私はこれができます」と商品・サービスを提案していく必要があります。会社と対等な立場で契約を結んで働く“半”個人事業主は、自分が提供できる商品を明確にしていく必要があるのです。会社が個人事業主からの提案を了承し、「それではあなたに仕事をお願いします」ということで契約を締結するイメージです([図表1])。

上の図([図表2])は、筆者が現在担っている個人事業主としての2つの役割を3つの問いに答える形で整理したものです。これが現在、筆者が個人事業主としてクライアントに提供しているサービスそのものであり、そこに冠された肩書は筆者のキャッチフレーズにもなっています。

“半”個人事業主としてその提供サービスを担える力があることの明確化

提供サービスを明確化する必要性を解説しましたが、そのサービスを担える力が自分にあることを会社に納得してもらう必要があります。今までと同じ会社で“半”個人事業主として働くケースでは、会社は自分の実力、経験を知っています。しかし、これから“半”個人事業主からステップを踏んで個人事業主として幅広く活躍していくためにも、きちんと自分のできること・得意とすることを「見える化」していくことが必要です。

その際にまず行なうべきことは徹底的な「キャリアの棚卸」です。キャリアの棚卸とは、「ある時点における自分に身についたスキル、知識、経験、資格、ノウハウ、マネジメント力など、保有する自己資産の種類・数・レベルを確認し、その価格を評価する」ことです([図表3])。

キャリアの棚卸のやり方は、2019年に出版した拙著『知らないと後悔する定年後の働き方』(フォレスト出版)で具体的に解説しています。ぜひご参照ください。ポイントは次の通りです。

①その時々の具体的なタスクと成果・業績を可能な限り数字で表現すること

②仕事だけに限らず、取得資格・表彰歴・社内外活動(サークル・趣味・自己啓発など)を含めて幅広く棚卸すること

③成功事例だけでなく、失敗事例も含めて棚卸すること(失敗事例にシニアだけが持つ強みが隠されています)

「人より苦にならないこと」はあなたの売りになる

「人生100年・80歳現役」時代に個人事業主として新たなキャリアを歩んでいくことを目指す際、「イヤなこと」「苦手なこと」では長くは続きません。

“半”個人事業主として働くコンセプトを改めてまとめたのが上の図([図表4])です。「人」「時間」「場所」に拘束されずに「好きなこと」「得意なこと」「苦にならないこと」をマネタイズすることを考えます。なかなか気づきづらいのですが、「苦にならない」ことにお宝が眠っていることが多いです。

その際の基本方針は、「細く・長く・エイジレス」と「キャリアの複線化」です。

「細く」「長く」とは、一時的な高収入を目指すのではなく、収入は低くとも長く続けることで「高さ」ではなく「面積」で稼いでいく戦略です。

「キャリアの複線化」とは、1カ所に依存することなく、拠り所を複数確保することでストレスフリーな状態を維持することです。

こうしたキャリアの方向性を見定めるためにぜひおすすめしたいのが「ブレインダンプ」という思考整理法です。「ブレインダンプ」とは、谷澤潤さんが著書『ブレインダンプ―必ず成果が出る驚異の思考法』(東洋経済新報社、2010年)で紹介している思考法ですが、自分のキャリアの方向性を「見える化」する際にも有効な手法です。簡単に言うと自分の頭の中身をどさっと一気に書き出すことです。

最初はあまりキャリアだけにこだわらなくてもいいかもしれません。自分の頭の中にある悩みや気にかかっていること、自分の夢や目標、やりたいこと、今すぐにやらなければならないこと、など自分の頭の中身を最後の一滴まで絞り出すように、そして「これ以上は出て来ない。頭の中はもう空っぽだ」と自分自身が観念するくらいに、すべて紙の上に書き出します。

ブレインダンプの効果ですが、今まで重くて気になっていたものがきれいに清算されるかのように頭の中がすっきりします。頭が軽くなり、前に進むために必要な次のアイデアや、次の行動イメージが出て来るようになります。

キャリアに特化してブレインダンプを行なう場合には、まず、これまでの自分の経験をすべて書き出します。仕事だけでなくプライベートに関しての経験も何も制限をつけずにどんどん書き出していきます。

次は自分の好きなこと、好きなもの、興味関心があることを、これも何も制限をつけずに書き出しています。最後に自分が今までお金をかけたこと、時間をかけたことを書き出します。一過性で終わったものもあるかと思いますが、その時点では“熱くなったこと”なので、制限しないで書き出します。

この中に共通するものがあれば、それはまさにこれからあなたが“半”個人事業主として目指すべき方向になります。

また、どうしてもさまざまな現実的な制約が自由な発想を妨げているので、これを取り払うために以下のような質問を自分に投げかけてみることもブレインダンプには効果的です。「制約を取り払ってどんな状態だと自分がワクワクするか・ストレスを感じずに穏やかな気持ちでいられるか」を考えるイメージです。

・高年齢者雇用安定法により65歳まで今の会社で働き続けることで自分の人生に満足できるか?

・医者から余命1年の宣告を受けたら何をするか?

・超高額の宝くじが当たり、まったくお金の心配がなくなったら何をするか?

・今の会社で「こういう状態になったらもう我慢できない」という事態を想定し、そうなったらどう行動するか?

ブレインダンプを効果的に行なう際は、時間と場所を確保することがポイントです。日常生活の場を離れ、ホテルや温泉旅館などにこもって実施することをおすすめします。

いわゆる「一人合宿」です。

自分の家で行なうと、どうしても途中で何かしらの邪魔が入り、ようやく波に乗ってきた頭の中の吐き出しが中断されがちです。ブレインダンプは、連鎖反応的に思いを引き出していきますので、これではせっかくのブレインダンプの効率が大幅に落ちてしまいます。

また、頭の中味を書き出すカンバスは、できる限り大きな紙をおすすめします。私の場合は、写真([図表5])のようなフランスのメモ帳ロディア(RHODIA)の超巨大版(A3サイズ)を使います。私の頭の容量サイズにぴったりのサイズ感です。もちろん、ロディアでなくてもかまいませんが、サイズはできるだけ大きなもののほうが制限なく頭に詰まったモヤモヤを吐き出せます。

木村 勝

行政書士

リスタートサポート木村勝事務所 代表  

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