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50代から備えておきたい…「人生100年・現役80歳時代」を乗り切るための〈キャリア形成〉に欠かせない“最も大切なもの”とは【シニアキャリアコンサルタントが助言】 

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月20日 11時15分

50代から備えておきたい…「人生100年・現役80歳時代」を乗り切るための〈キャリア形成〉に欠かせない“最も大切なもの”とは【シニアキャリアコンサルタントが助言】 

(※写真はイメージです/PIXTA)

将来的に独立を考えているサラリーマンが今のうちに行っておくべき「学びの場」があると、行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏はいいます。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、“半”個人事業主化を成功させるために効果的な下準備の方法をみていきましょう。

“半”個人事業主化に向けて、土俵を整える

「バーチャル個人事業主」として今日から働く

「自分が提供する(仕事の)メニューを持っているか/いないか」が、サラリーマンと“半”個人事業主の決定的な差になります。

メニューができたら、それを提供できることを将来のクライアント候補に知ってもらう必要があります。自分の人柄・実力をよく知るファンを事前に作り、60歳以降の潜在クライアントを見つけておくイメージです。

“半”個人事業主では、まずは今の会社や関係の深い会社を将来の潜在クライアントとして想定しているので、今の日々の仕事ぶりがそのままPR活動になります。まずは半径5メートル以内の人たちから高い評価を得ることからスタートです。役職定年でモラルを下げ、「早く定時にならないかな」などと無為に時間をすごしている暇はありません。“半”個人事業主としての将来戦略を目指すことを決めたら周囲から「働かないおじさん」のレッテルを貼られることは致命的です。

ポイントは、今日今から気持ちの上では「すでに個人事業主として1年契約で今の会社と契約していると想定して仕事をする」ことです。来年の契約があるかどうかは、これからの働きぶりや成果で決まります。プロのスポーツ選手と同様、シーズン後に戦力外と見なされたら契約更新はありません。トライアウトに挑戦するかリーグを下げてでも違う球団を探す必要があります。

このバーチャル個人事業主として働く期間を持つことが“半”個人事業主、そしてそれ以降の個人事業主として働き続けるための重要な準備期間になります。

上司はもちろん、今まで部下だった職場のメンバーも将来のクライアントです。会社の看板をバックにお付き合いしているベンダーさんももちろん将来のクライアントです。誰1人ないがしろにはできません。

このバーチャル個人事業主の期間を働く際のポイントを挙げておきます。

・サポーターに徹して周囲の人の仕事をやりやすくすることが自分の役割と心がける

・依頼の期待値の150%のサービス提供を心がける

→依頼された納期の前での完成

・納品を心がける(スピード)

→要求事項に自分なりのプラスアルファの情報、成果を必ず加えることを心がける(付加価値)

・メール返信はクイックレスポンスで返す

・相手が嫌がる仕事を察してこちらから申し出て積極的に引き受ける

・経験・スキル・知識の周囲への提供を出し惜しまない

・業務遂行の際には、標準化を意識し徹底したマニュアル化を図る(教えるツールの商品化)

など

「自分は今日から個人事業主として1年契約を結んで働いているのだ」と仕事に対する基本スタンスを変えるだけで日々の行動が変わります。この意識を事前に持てるかどうかで“半”個人事業主としての成否は大きく変わってきます。

55歳からは社内人脈ではなく社外人脈

“半”個人事業主化の際には、当面の潜在クライアントである今の会社やお付き合いのある会社との関係が特に重要です。

しかしながら、“半”個人事業主戦略では、まず“半”個人事業主として独立を果たし、次のステップとしてはさらに今の会社や関係の深い会社以外のクライアントを広げていくことを想定しているので、サラリーマン時代から先を読んだ準備をしておく必要があります。それが社外人脈の構築です。

20代は学生時代の友人との交流もまだまだ活発ですが、それが30代後半をすぎると途端に自分の会社以外の人間との付き合いが減ります。この時期は、結婚する人も増えます。また、会社でもリーダーとして責任を持ちはじめる時期なので、体力的にも疲れ果てて、平日定時後や土日にわざわざ家を出る気がなくなります。

筆者の経験ですが、それが55歳をすぎると学校の同期会、会社の同期会などが再び増えます。30代から50代前半までは、出世や昇給のために馬車馬のように社内で成果をあげることに専念しますが、55歳をすぎると管理職は役職定年になり、60歳定年が間近に見えてきます。もはや社内飲み会や接待ゴルフなど社内営業に専念する意味も薄れてきます。

多くのサラリーマンは、社外人脈作りといってもこうした昔の旧交を温めるに留まるケースが多いのですが、55~60歳までの5年間はぜひさらに一歩踏み込んで新たな社外人脈の構築にチャレンジしていただきたいと思います。

社外人脈はサラリーマン時代がポイント

社外人脈作りのポイントは、まず会社という組織の看板があるサラリーマン時代に始めることです。

多くのサラリーマンの皆さんは、「サラリーマン時代の人脈なんか会社の看板での付き合いだからお互い会社を離れたらそれでおしまい。本当の人脈は会社を離れてから作る必要がある」と思っていますが、そうではありません。お互い組織の看板を背負ったサラリーマン時代こそチャンスです。

筆者は52歳で独立して個人事業主となりました。この個人事業主という立ち位置は、サラリーマンからすると異質であり微妙な存在です。名刺交換するにしても「何か売り込まれるのではないか?」と本能的に疑うところから始まります。筆者も30年間サラリーマン生活を送ったのでその感覚はわかります。

これがお互いサラリーマン同士では会社の看板があるので、安心してつながることができます。ファーストコンタクトは、個人事業主よりもサラリーマンのほうがお互いのハードルははるかに低いのです。ポイントは、サラリーマン時代に一度つながった関係をその後も維持することです。そうすることで、個人事業主として独立後も今までと同じような間柄を維持できます。

独立した方は経験したことがあると思いますが、独立当初にはかなりの確率で異業種交流会のお誘いがかかります。朝に開催されるケースが多いですが、ネットワーク作りを目的に1分間自己紹介や名刺交換が行なわれます。個人の性格や業種などによるところも大きいと思いますが、筆者の場合は、こうした異業種交流会では長く続く人脈は作れませんでした。会場ではお互いに商売のネタを探そうというギラギラとしたものを感じ、「サラリーマンの方が本能的に感じる違和感もこうした雰囲気なのか?」と思ったものです。

いずれにしても、独立後はどうしても商売がらみの人脈が増えるので(これはこれで重要ですが)、長く続くニュートラルな人脈はサラリーマン時代に作っておくのが鉄則です

効果的な「社外人脈」構築の方法

サラリーマン時代の人脈作りも利害関係のからまない関係のほうがうまくいきます。経験上、一番強く長い結び付きになるのは、関心のある領域・自分の専門領域の勉強会、趣味の集まり、会社を横断した業種団体の委員会活動などです。こうしたつながりは、同じ志を持った人たちが集まるので、今までの付き合いとは違う種類の人たちとつながることができます。

また、友だちの友だちといった形で急速にネットワークが広がるのもこうした勉強会などを通じたネットワークの特徴です。筆者は2021年から東京都主催の東京セカンドキャリア塾(プレシニアコース)の講師を務めていますが、受講者同士が研修期間を通じて自主的に全員が友だちになり、同期だけでなく別の期の受講者ともさまざまなルートを通じてすぐにつながっていく様子を目のあたりにしています。シニアからのこうした会社以外の人脈は貴重です。筆者もサラリーマン時代にこうした講座があれば間違いなく参加していたと思います。

今シニアからのリカレントが話題になっていますが、これから研修受講を検討する場合も人脈作りの観点が重要です。研修受講にあたっては、もちろんそのコンテンツ(内容)をメインに選ぶことになりますが、シニアからの学びにおいては、「コンテンツ」だけでなく「参加者のコミュニティ」を“買う”視点も重要です。研修でコミュニティを“買う”ためには、次の視点が判断基準になります。

・1時間2時間、1日の研修ではなく、複数日同じメンバーが参加する研修

・話を聴くだけでなく、グループワークなど参加者同士のコミュニケーションの機会が設けられている研修

・研修終了後のエクステンションセミナーなど継続学習の機会が設けられている研修

・受講メンバーの同期会(自主的なものも含む)的なつながりがある研修

手前味噌になりますが、筆者が修了者の会の世話人代表を務めている一般社団法人ビューティフルエージング協会のライフデザイン・アドバイザー(LDA)養成講座(6日間、継続学習の機会あり、同期会あり)や筆者が講師を務めるライフシフト大学(株式会社ライフシフトが運営)なども期間も長く受講者間のネットワークが構築できる「コンテンツ&コミュニティ」を兼ね備えた学びの場です。

繰り返しになりますが、利害関係のからまないコミュニティで培ったサラリーマン時代からの社外人脈が「人生100年・現役80歳時代」の貴重な変身資産になります。実際に独立すると独立当初は金銭的にも時間的にも余裕がなくなるので、安定した定期収入と時間的な余裕があるサラリーマン時代にこそ、こうした学びに積極的に自己投資をすべきです。

木村 勝

行政書士

リスタートサポート木村勝事務所 代表  

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