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助けて!老人ホームで暮らす年金月23万円・87歳母の悲鳴…55歳長男が施設で目にした「まさかの光景」【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月24日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

総務省によると、日本の人口のうち65歳以上の高齢者は29.1%と、過去最高を更新したそうです(2023年9月時点)。このように、「超高齢化社会」の日本に欠かせないのが「介護施設」です。しかし、人手不足が深刻なこの業界、サービスの質は玉石混淆だと、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはいいます。そこで、事例を交えながら「失敗しない施設選びのポイント」をみていきましょう。

87歳のAさん…息子の説得で「老人ホーム暮らし」を決断

現在87歳のAさん(女性)は元小学校教員で、その時代には珍しく、校長まで勤めた人物です。退職金は2,500万円、年金は23万円と、金銭的な不安はほとんどありません。数年前に夫を亡くしてからは、広い戸建てにひとりで暮らしていました。

そんなAさんには、同じ県内に暮らすひとり息子のBさん(55歳)がいます。Bさんは定期的にAさんの様子を見に実家へ帰るなど、高齢の母親を気にかけていました。

特に、父親が亡くなって以降、Bさんは「こんな広い家にひとりで暮らすのも大変だろう。専門の職員がいる施設に入ったら?」と、母親であるAさんに介護施設への入居を勧めていました。

「まだまだ大丈夫。あんたには迷惑かけないよ」と強がっていたAさんでしたが、あるとき鍋を空焚きし、ボヤ騒ぎを起こしてしまいました。

「やっぱり危ないよ。家事は大変だから施設へ入って俺を安心させてくれ」と長男が伝えると、Aさんはしぶしぶ納得。施設への入居を決断しました。

「老人ホームは介護が必要な人しか入れない」と勝手に思い込んでいたAさんですが、長男いわく、いまはさまざまな種類の施設があるといいます。そして長男からおすすめされたのが、県庁所在地に新しくオープンした綺麗な有料老人ホームでした。

AさんとBさんが施設見学に行くと、職員たちは笑顔で迎えてくれました。設備は新しく充実しているほか、オープンしたばかりということもあり、入居者の数もそこまで多くなく、穏やかでゆとりのある良い雰囲気でした

Aさんは早速ほかの入居者と談笑するなど、すっかりこの施設を気に入っている様子。一緒に見学していたBさんも「ここなら職員の雰囲気も良いし、建物もきれいだから大丈夫だろう。なにより家から近いのがありがたい」と、ひと安心でした。しかし……。

Aさんが老人ホームに入居して約1年後、Bさんのもとに「助けて!」と電話がありました。 なにごとかと思い理由を尋ねると、Aさんいわく「男が部屋に入ってくる!」とのこと。いったいどういうことなのか、Bさんにはわかりません。

「まさか認知症になったのか? この前会ったときは元気そうだったが……」Bさんは不安に思いながら急いで施設に向かいました。

なにやってんだ!Bさんが目撃した「まさかの光景」

急ぎ施設に向かったBさん。その目に飛び込んできたのは、母親の部屋でタンスを開けている高齢者の男性でした。

まさかの光景に絶句するBさん。ハッと我に返り、「おい、なにやってんだ! あんた誰だ!」強い口調で問いかけます。その男性は一瞬Bさんのほうを見たものの「いや、あれっ、ちょっと」などとつぶやきながら、タンスのなかを覗き込んでいます。

Bさんはその男性の腕を引っぱり、強引に部屋の外へ連れ出しました。

「いったいなにがあったの?」BさんがAさんに尋ねると、「ここ最近、あの人が私の部屋に入ってくるようになったの」とのこと。Aさんいわく、何度「入ってこないで」と注意しても、男性は聞いているのかいないのか、まったく改善されなかったそうです。そんな状況が続き、どうしたら良いのかわからず長男に連絡したとのことでした。

長男は早速、施設の職員に「いったいどうなっているんだ!」と問いただしました。

職員がBさんに告げた施設の実情

職員は申し訳なさそうに「こちらの施設では認知症の方も受け入れています。あの男性は最近入居されました」「以前は入居者が少なく職員にも余裕があったため、手厚く対応できていたのですが……。入居者が増えていく一方で、最近は離職する職員も多く、深刻な人手不足なんです」とBさんに説明しました。

しかし、Bさんからしてみると、その説明には到底納得できません。職員に対して「そんなことは知ったことではない。こちらはお金を支払っているのだから、しっかり対応してください」と厳しく伝えました。

母親には「職員にきちんと伝えておいたから。またなにかあったらすぐに連絡してくれ」と言ったBさんでしたが、「まさかこんなことが起こるなんて思わなかった」「オープンしたばかりの綺麗な施設だと思っていたのに、こんなことが起きるなんて」「施設選びを間違えたのか」などと、とやりきれない思いを抱えながら自宅へ戻ったのでした。

「介護職不足」が深刻な日本

厚生労働省の「介護人材の処遇改善等」によると、介護サービス事業所における介護職員のうち、69.3%は「従業員が不足している」と回答しています。実際、令和4年度における全業種の有効求人倍率「1.16倍」に対して、介護職は「3.71倍」と、いかに介護職が不足しているかが読み取れます。

離職の理由としては、「職場の人間関係に問題があったため」が27.5%で最も多く、次いで「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため」が22.8%、「他に良い仕事・職場があったため」19.0%、「収入が少なかったため」18.1%、「自分の将来の見込みが立たなかったため」15.0%です。

また収入に焦点をあてると、全産業の平均年収(役職者抜き)約433万円に対して、介護職は約351万円と、近年処遇が改善されてはいますが、いまだ約80万円の差があります。

介護職の深刻な人材不足について、現時点で抜本的な解決策はなく、子の状況は今後も続くことが見込まれます。高齢者の増加で需要があるにもかかわらず、人手不足が原因で休業、廃業に追い込まれる事業所も少なくないのです。

慢性的な人手不足の状態でサービスを提供している介護施設もありますが、介護の質が低下して事故が増えたり、職員の負担が増えることで離職率が上がったりと、悪循環に陥ってしまう場合が大半です。

このように、施設によってアタリ・ハズレの激しい介護施設(老人ホーム)。大切な家族のためにも「失敗しない施設選びのポイント」をおさえておきましょう。

失敗しない施設選びのポイント

介護施設を選ぶ際、最低でも次の4つのポイントはみておきましょう。

■ICTの導入実績

■職員の勤続年数

■資格を保有している職員の数

■設備だけで判断しない

まず、離職が多い施設には何かしらの問題があることが多いです。離職の理由には「人手不足による残業の増加」「余裕がなく職場の人間関係が悪化」「研修の不足」などがあります。

一方、ICT(情報通信技術)の導入による業務の効率化や積極的な採用活動により人材の確保ができており、充実した研修と具体的なキャリアパスの設定で優秀な介護職を育てている施設もあるため、入居を検討している施設の設備や業務環境についてもチェックしてみると良いかもしれません。

また、重要事項説明書の『職員欄』で、長く勤めている職員が多いか、入れ替わりが多くないか、有資格者が多いかなど確認をしましょう。

勤続年数は長い職員が多ければ職場が安定していると受け取れます。もっとも、Aさんが入居した老人ホームのように、オープンしたばかりの施設の場合、職員の勤続年数は短くなります。その際は、資格保有者の人数が判断基準の1つになります。

介護サービス施設・事業所に実際に配置されている介護職員のうち、介護福祉士の割合は全体で約54.7%となっています。重要事項説明書などで在籍の職員の勤続年数と資格保有者を確認する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

そのほか、事例のなかではBさんが施設の設備に魅力を感じていましたが、介護はあくまでも人が中心です。そのため、施設に勤めている職員によって大きく左右されます。設備よりも職員の入居者に対する接し方に違和感がないか、しっかり確認しておくことが大切です。

施設の入退去は、本人だけでなくその家族にとっても大きな負担となります。入居を決断する前にしっかりと情報収集を行い、上記①~④の観点から複数の施設を比較したうえで、適切な施設を選びましょう。

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