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【工場現場】脚立から降りた瞬間、上司が「危ねぇだろ!」…世間が知らない〈安全第一〉の切実さ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月17日 12時0分

【工場現場】脚立から降りた瞬間、上司が「危ねぇだろ!」…世間が知らない〈安全第一〉の切実さ

(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の工場や生産現場において生産ラインの設計や管理を行う仕事、「生産技術」。本稿では、生産技術職YouTuber“生産技術の馬”氏の著書『生産技術あるある』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、生産現場や工場勤務でありがちなことを紹介します。他業種の方でも思わず「あるある!」と共感してしまう内容です。

安全を舐めているとキレられる ~安全あるある

■パワハラに敏感な時代では珍しいほどの「厳しさ」

これは新入社員が特に気をつけなければならない内容です。工場では本当に怪我が多く、人が亡くなったりする事例もあるため、どんな工場も安全第一を掲げていると思います(実際には人の安全より製品の品質や納期が優先されてしまうことが多いですが)。そのため、特に現場では安全に関して非常に厳しく教育します。この厳しさが、今まで普通に暮らしてきた人にとってはギャップとなるのですよね。

私は新入社員の頃、脚立の使い方で怒られた経験があります。当時少し高いところで作業するため、脚立を用意して、脚立の一番上の平面の部分に立って作業していました。作業が終わって脚立から降りたときに、「危ねぇだろお前!」と怒鳴られました。私は当時「いやそんな危ないか?」と思っていましたが、そもそも会社のルールとして、脚立は一番上から2段目以降しか使ってはいけないということになっていました。

まずルール違反をしているので怒られて当然ですが、これは実際非常に危険なので私は現場の方にブチギレられてしまいました。今考えると、よくあんな危ないことをしていたなと思います。初めて工場に配属された新入社員は脚立を初めて使うかもしれませんし、脚立で起こった事故例なども知らないかもしれません。そういうことを教えてもらうと、いかに脚立での事故が多いかということがわかってくるので、そこからはしっかりと気をつけるようになります。

■「安全のルールを怠るとどうなるか?」をリアルに想像できる伝え方がおすすめ

私は当時「そんなキレんでもええやん…」と思っていましたが、怪我をしてからでは遅いので本気で怒られていた方がいいと思います。

本気で怒られた方が印象に残りますし、なんであんなに怒るのだろうと自分で考えますからね。あれはいい勉強になったと思います。ただ安全に関することだからといってキレまくるのもよくないですが。

私のように多少舐めてかかっている人はキレられて当然だったと思いますが、真面目に作業していてたまたま危ないことをやってしまったときにキレられると、キレられた人はキレた人に怯えて余計動きが悪くなって怪我のリスクが上がるということも考えられます。

うまく注意するっていうことはなかなか難しいですが、安全に関して教育するときは、その作業がどれぐらい危ないかということを具体的に説明してあげるのがよいと思います。一番効くのは実際に怪我をしている映像を見たり、自分で経験したりしそうになったりすることなので、その場面を鮮明に想像させるということが重要ですね。

フォークリフトが速くて危ない ~安全あるある

■原付並みのスピードで運転するベテランも。慣れた頃が一番危ない

工場ではパレットに載せた荷物を搬送するためフォークリフトを導入しています。私の勤務する工場では特に出荷部門で多くのフォークリフトが走っており、運転手は何年、何十年も運転しているベテランが多いのでフォークリフトの運転に慣れており、中には時速30kmという原付並みのスピードで構内を走っているフォークリフトも見かけます。

出荷部門にも様々な設備があるため生産技術者もそこへよく行くのですが、フォークリフトが速すぎるので若干恐怖を感じることがあります。運転手はベテランなので大丈夫だと思い込んでいるのでしょうが、全国の様々な工場でフォークリフトの事故が起こっているので、こういう慣れた人がスピードを出して事故を起こすのだろうなぁといつも見ていました。

歩行者もフォークリフトの動線を歩くときは十分注意するのですが、何回も接触しそうになったことがあります。フォークリフトにも死角があるので、たまたまそこを歩いてしまうと運転手から見えずに衝突してしまうという事故が本当に多いのです。そもそも構内では速度制限が設けられており、その制限速度は時速10kmなので時速30kmで走っていいわけがありません。ただ、早く荷物を運びたい運転手にとっては時速10kmというのは遅すぎるのでここまでのスピードを出してしまうのですね。

危ないため歩行者が通行禁止の場所も存在しますが、設備が近くにある限りはそこに行かないといけないので完全にフォークリフトと歩行者を分離することはできません。だからこそ、このフォークリフトの事故例については特にフォークリフトの運転手に改めて意識してほしいところですね。

■無人フォークリフトなら事故リスクは下がるが…

ちなみに、今はフォークリフトも無人で運転できるようになっており、私の工場も導入していました。無人のフォークリフトは人感センサーを搭載しており、人が近づいたら止まりますし、万が一接触してもその瞬間止まるようになっているため有人のフォークリフトよりは安全性が高いです。

しかし無人のフォークリフトは安全性を重視しなければならないので速度が非常に遅く、無人フォークリフトと共存していた有人フォークリフトの運転手はみんなイライラしていましたね。全て無人なら問題ないかもしれませんが、そんな莫大な投資ができる最先端の物流倉庫などそうそうありませんからね。

皆さんもフォークリフトの周辺を歩くときは十分注意しましょう。近くを通るときは運転手がわかるように声を出すのがおすすめです。

生産技術の馬

生産技術職YouTuber

大阪出身。神戸大学の大学院を卒業後、生産技術者として工場で勤務。大手電機メーカーと大手食品メーカー2社の工場で設備管理・設備更新等を行い、さまざまな規模の工場で経験を積む。2021年よりYouTubeで生産技術者へ向けて情報発信を行っている。

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