シニアの頭を悩ませる「葬儀の参列」「お金の貸し借り」…心を軽やかにする「人づき合い」の考え方【精神科の名医が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月22日 7時0分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
シニアになっても人間関係での悩みは尽きないもの。冠婚葬祭で声がかかると「義理もあるし行かなければ…」と思いつつ、気が重くなることもあるでしょう。また、年金暮らしの中で「お金の貸し借り」に悩むこともあるかもしれません。そんなとき、いったいどのように対処すれば心が軽やかでいれるのでしょうか。今回は、シニア世代の名医・保坂隆氏の著書『お金をかけず気軽にできる 「ひとり老後」が楽しい77の習慣』(KADOKAWA)から、老後の「人づき合い」のコツをご紹介します。
冠婚葬祭も「義理欠く」でいい
夏目漱石は『吾輩は猫である』の中で、合理的な人づき合いについて「義理をかく、人情をかく、恥をかくの『三欠く』を実行すべし」と書いています。シニアにとっては、これはまさに名言といえるのでないでしょうか。
日本では冠婚葬祭が重んじられ、多くの人が成人式に出席し、20代〜30代は結婚式、40代〜50代は親世代の葬儀、60代以降になると同世代の葬儀と、それぞれの年代で慶弔(けいちょう)ごとがあります。
しかし、お祝いごとはともかく、たとえば葬儀に関しては、お世話になった相手や、その親族でもないかぎり、参列を遠慮して弔電を打つことにしても失礼にはあたらないのではないでしょうか。
遠方だったら一日がかりになるケースもあり、交通費だけでも負担になりますし、そもそも自分自身の体調がよくなかったり、持病をかかえたりしていれば、身動きがとりにくいことも考えられます。
じつは、知り合いが父親の葬儀で喪主を務めたあとに「おいでいただいた方に対しては、ありがたい気持ちでいっぱいでしたが、受け入れるほうとしても、なかなか大変でした」と話していました。
なるほど、お通夜があり、告別式がありとなると、親御さんを亡くした悲しみにくれる時間などなく、次から次へと対処しなければならないことがあり、苦労したようです。
そういえば「葬儀で慌ただしい思いをしなければならないのは、悲しみにひたる時間をつくらないようにするためかもしれない」と聞いたこともあります。
お別れの席に足を運ばなかったことが気になる人、あるいは遺族の方が気を悪くしたのではないかと不安に思う人は、丁重な手紙を送ってみてはどうでしょうか。さすがに電話やメールでは、軽々しく思えますので。
老後のつき合いは、人からどう思われるかと考えるよりも、虚礼は廃止、無理はしないと考えるのが楽だと思います。
「お金は貸さない」と決めれば気が楽
仲のいい友だちにお金を貸したために絶縁したというケースは世間にたくさんあります。「お金を貸すのなら、あげたと思え。戻ってくると思うな」という言葉があるように、金銭の貸し借りにはトラブルがつきものです。
大切な関係を続けたいと思う人には、お金を貸さないほうが賢明なのですが、「あなたにしか頼めない」と頭を下げられたり、相手の困った状態を知っていれば、なんとか力になりたいと思うでしょう。
しかし、きちんと返されればいいのですが、返ってこなければ、お金を返さない=信頼を裏切った、となります。
私自身は、借金は試金石だと思っています。食事代の立て替えのような少額の貸し借りは別ですが、借金の申し込みを断ったために、その後のつき合いが断絶するような人は、いつかは自分から離れていく人だったと思えばいいのではないでしょうか。
「苦しいときに手を差し伸べてくれないなんて、本当の友だちじゃないな」というのは、借金する側の勝手な論理だと思います。
どんなに頼まれたとしても、「お金は貸さない主義」を一貫させて、断ればいいと思います。本当の友だちであれば、断る側の気持ちもくみ取ってくれて、苦しい思いを理解してくれるでしょう。
心豊かな老後を過ごすためには、「人にお金は貸さない」と決めてしまうと心が軽くなるでしょう。
保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
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