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年収800万円の40代会社員、5,500万円の“住宅ローン審査”を無事通過!6ヵ月後の引き渡しを心待ちにするも…一転「やっぱり貸せません」のワケ【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月29日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンの審査には事前審査と本審査があります。事前審査に通過し、手付金等を支払っても、本審査で謝絶されたり、融資限度額が減額されたりするケースは少なくありません。具体的にはどのようなケースでしょうか? また、そうした場合に備えた対策はあるのでしょうか? 本記事では、Mさんの事例とともに不住宅ローン審査における注意点について、FP事務所・夢咲き案内人オカエリ代表の伊藤江里子氏が解説します。

少し遅めのマイホーム購入を決断

住宅購入は人生の一大イベントですが、家族のライフイベントにあわせた資金計画と住宅ローンの概要をしっかり把握しておかないと、落とし穴にはまってしまうことがあります。

本記事では、Mさん(43歳、会社員)の事例を通して、住宅ローン審査や売買契約書の「ローン特約」について理解しておくことと、資金計画の重要性ついてお伝えします。

<事例>

Mさん:43歳 会社員 (年収800万円)

家族

・妻:42歳 無職(今後パート勤務予定、年収見込み120万円)

・長男:14歳 (中学2年生)

・次男:13歳 (中学1年生)

購入住宅:中古戸建て(築2年)

・計画:5,500万円 35年ローン利用予定 土地・購入価格5,500万円

(諸経費 約400万円は自己資金で賄う)

賃貸住まいから、マイホームへ

Mさんは全国に拠点がある企業に勤務する会社員です。転勤があったため賃貸住宅に住んでいましたが、老後のことも視野に、住宅購入を検討しました。

子どもたちも中学に入学したので異動で転居はしたくない、住宅ローンを利用することを考えても、44歳までに購入したい。そんなタイミングで条件に合った築浅の中古物件が見つかりました。

「私の場合、いくら借りられるだろうか?」と考えたMさんは、金融機関のサイトから事前審査を利用しました。 その結果、借入れ可能金額は6,200万円で35年間ローンの利用も可能ということがわかりました。

5,500万円のローンで、仮に金利が1%になったとしても月々の返済は15万円台(ボーナス払を併用しない場合)。実際は、もっと低金利で借りられそうです。諸費用・引越代の400万円は自己資金で賄うという資金計画をたて、売買契約を締結。引き渡しは売主の都合により、6ヵ月後となりました。

ほ、欲しい…

そのころ、ちょうど車検のタイミングもあって、車を買い換えるかどうか迷いながらも販売店に見に行ったところ……欲しくなってしまったそうです。車の購入にかかる費用は約320万円……。

住宅購入の手付金で、まとまったお金を出したばかりで、長男が目指している高校は私立です。なにかと入り用のなか、Mさんと妻は、子ども達の教育資金はしっかり確保しておきたいと考えています。

しかし、車の販売担当者が紹介してくれた金融機関のオートローンも金利は1.5%と低く、妻もパートの仕事が決まったので、5年間だけ車のローンが5万円ほどあっても問題ないだろうと思いました。Mさんは、NISAで資産運用を始めていたこともあり、低金利のいまは借りられるなら借りたほうがいいと考えたのです。

「6,200万円まで借りられるのだから、5,500万円の住宅ローンに300万円の車のローンがあっても大丈夫だろう」と、車もローンを利用して購入しました。

住宅ローン本申し込みの審査結果は融資金額減額!

その後、5,500万円のローンで本申し込みをすると、「5,500万円の借入れはできません。5,000万円までの借入れが可能です」と融資金額が減額された結果が帰ってきました。

事前審査で、住宅ローンは購入物件価格が借入金額の上限だとしても、Mさんの年収では6,200万円まで借りられるはず。それにもかかわらず1,200万円も減額されたのはなぜなのでしょうか? 

「車のローンは、4分の1の300万円なのに……」Mさんはこのタイミングで車を買ったことを悔やみつつ、資金計画を見直さざるを得なくなりました。

「本審査」は事前審査よりも厳しくチェックされる

「ローン特約」もしっかり理解しておきましょう。

事前審査では自己申告で済ませられた年収の金額も、本審査では公的書類の収入金額を基に審査を進めます。そのため、事前審査と本審査で申込内容(年収・勤務先・ほかの借入れなど)に変更があった場合は非承認や減額されることがあります。

Mさんの場合

事前審査:ほかの借入れ なし

本審査 :ほかの借入れ あり 車のローン(年間返済金額 62万円)

と、返済比率に変更があったのです。返済比率とは、年収のうち、すべての借り入れの年間返済金額合計が占める割合のことで、下記の計算式をもとに算出します。

(当該住宅ローン年間返済金額+そのほかの借り入れの年間返済金額)÷年収

たとえば、「フラット35」(住宅金融支援機構)の場合、年収400万円以上の場合、返済比率は35%以下であることとしています。また、返済比率を算定するための「借入れ」は、今回申し込む住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含む)など指すとあります

「返済比率」は年収によって審査基準を変えるなど金融機関によってはさまざまですが、おおむね30~35%となっています。住宅ローンは将来の変動に備えて適用する金利よりも高めの「審査金利」を使って返済比率を算出しています。この「審査金利」も金融機関によって異なりますが非公開とされています。

ローン特約の重要性

Mさんの車のローンは5年間で終了しますが、本審査に大きく影響してしまったようです。ほかの借入れがあれば返済期間が残りわずかであっても、審査に影響があるので注意が必要です。

ローン特約……住宅ローンの審査が通らなかった場合には、契約を解除できる、とする特約条項。

(売買契約書では、「融資利用の特約」「融資に関する事項」などと記載されます)

契約後に買主から解約する場合は、すでに支払っている手付金の放棄、状況によっては相手への損害賠償が発生することもあります。

しかし、買主が金融機関の融資を利用して住宅を購入する際にローン特約をつけていれば、融資承認が得られない場合、手付金も返還してもらい違約金を支払うことなく売買契約を解除できます。これは、買主保護の特約ですが、売主のために融資承認を取り付ける期日を設けていることがほとんどです。

期日を設けるとはいえ購入の意思がなくなった買主が、この特約を悪用して故意に住宅ローンの承認が得られなくなるような行動をするかもしれません。このようなトラブルを避けるため、

・自己都合による転職または退職 ・融資承認条件の不履行 ・ローン関係書類への不実記載、必要書類の未提出 ・売買契約締結以降に、当該住宅ローン以外の借入れ、保証の引き受け

といった買主の行為によってローンが不成立になった場合はローン特約による解除を適用しない、と明記している場合もあります。

ローン特約による契約解除ができないのであれば、融資承認期日までに5,500万円の融資してくれる金融機関を探すか、手元の資金から出すなど資金計画を見直す必要があり、教育資金準備にも影響があります。住宅ローンの事前審査と同じ金融機関に車のローンを申し込んでいれば、住宅ローンの本審査に影響があることにMさんは気づけたかもしれません。  

<参考>

※ 住宅金融支援機構「フラット35」ご利用条件より(2024年5月21日現在)https://www.flat35.com/loan/flat35/conditions.html#conditions04

伊藤 江里子

FP事務所 夢咲き案内人オカエリ 代表

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