「不適切にもほどがある」けど、ゼイゼイしながら走る姿もカッコいい…タカ&ユージの〈老い〉をありのままに描いたワケ【『あぶ刑事』Pに聞く】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月23日 11時15分
![「不適切にもほどがある」けど、ゼイゼイしながら走る姿もカッコいい…タカ&ユージの〈老い〉をありのままに描いたワケ【『あぶ刑事』Pに聞く】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60551_0-small.jpg)
(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会
1986年にテレビドラマが放映されて以来、多くのファンに愛されてきた『あぶない刑事』シリーズの最新映画『帰ってきた あぶない刑事』(原廣利監督)が5月24日(金)に公開されます。1987年の劇場版第一弾から制作宣伝、96年からはプロデューサーとして『あぶ刑事』を世の中に送り出してきた近藤正岳さんにお話を伺いました。
「今が一番新しい」タカ&ユージの”老い”もテーマの1つ
――今回のストーリーで意識したことは?
近藤正岳プロデューサー(以下、近藤):世代間の話というのは頭のどこかにありましたね。
――タカ&ユージの「老い」もテーマだったのかなと思うのですが、年の重ね方も軽妙でカッコよくて2人らしいなと印象に残りました。
近藤:そう、それをサラっとやってのけるというか、終盤でユージが「1日1日生まれ変わって今が一番新しいんだ」という内容のセリフを言っているんですけれど、恭兵さんが考えてきてくださったセリフなんです。そのコンセプトははこちらも考えていたことだし、恭兵さんも肌で感じていたことだし、それがあのセリフに込められていて見事だと思います。
――G60は60歳の読者が中心の媒体なのですが、まさに『あぶ刑事』を見ていた世代だと思うので、すごく勇気づけられるんじゃないかなと思います。
近藤:そう思ってくださったらうれしいですね。やっぱりお二人と同世代は元気づけられるし、ちょっと下の60歳世代は「あんなふうにかっこいい70代になれたらいいね」と思ってもらえると思うし、もっとずっと下の世代は「なんであのおじいちゃんたちあんなにカッコいいの?」って感じるかもしれない。そんなふうに見えればいいなと思います。60歳と言ったら、(仲村)トオル君が今年58歳なのでまさしくトオル君の世代ですね。
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「不適切にもほどがある」けど…ゼイゼイ言いながら走るユージもカッコいい
――仲村トオルさん演じる町田透はタカ&ユージの後輩のイメージなので、意外というかもっと若いイメージがありました。60歳と言えばバブル世代真っ只中ですね。
近藤:まさしくバブルを象徴するようなドラマで、主演2人のキャラクターがカッコいいんだと思うんですよね。所轄の刑事という公務員にもかかわらず、生活感がゼロで……。
――そういうカッコよさって今の時代においても求められているような気がします。
近藤:基本的にリアリティとかコンプライアンス的な観点からは、最近の言い方で言ったら「不適切極まりないキャラクター」ですよね。それでも60代バブルを過ごした人たちにとっては、「やっぱりあの頃って1番面白かったよね」という部分はあると思うんですよね。あの時代のお祭り感が作品のオシャレ感に通じているところがあって、一見向こうみずな「あぶない」ところが決して後ろ向きな意味ではなくて、イキイキとした時代性を感じさせるのだと思います。それを体現できているのがタカ&ユージだし、作品の魅力にもつながっているのです。
――やっぱり2人をカッコよく見せるというのは変わらないんですね。
近藤:そうですね。ただ、「老い」というか、年を重ねた姿をあまりごまかさずに見せようというのは意識しました。舘さんも恭兵さんも昔みたいに速く走れなくても、ゼイゼイするのもそれはそれでカッコいいじゃないっていう……「老い」と「オイルショック」をかけたセリフも登場するのですが、昭和のダジャレっぽいギャグも味があるんじゃないかなと思って。そこはあまり若い世代におもねらずに、言っていこうぜというのはあったと思います。
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――「老い」をないことにしないというかそのまま受け入れている姿がカッコいいなと思いました。
近藤:カッコいいものは時を経てもカッコいいじゃんということですよね。
――浅野温子さん演じる薫も相変わらずで安心したというか面白かったです。
近藤:悩みどころとして、どうやって薫を登場させるかというのもあったんです。年齢を重ねた壊れ方をどうするかという……タカとユージがニュージーランドに行って帰ってくる理由は簡単だったのですが、2人を追いかけてニュージーランドに行った薫はどうするんだ? というのは結構頭をひねったのですが、そうおっしゃっていただけて安心しました(笑)。
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『あぶ刑事』と「ずっと一緒に年を取ってきた」
――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
近藤:まさしく皆さんの映画ですよということですよね。若い頃から『あぶ刑事』を楽しんでくださっていて、ずっと応援してくださった人たちにぜひ見ていただきたいし、この年だからこそ楽しんでいただける映画になったと思っています。もちろんそれ以外の世代の人たちにも見てもらいたいですね。
――近藤さんは『あぶ刑事』の映画第一作目から……。
近藤:映画から関わっています。だから、ずっと一緒に年を取ってきたんです。『あぶ刑事』とずっと一緒にやってきたので、これだけ長く続いていることに感慨深いものがありますね。
8年ぶり新作『帰ってきた あぶない刑事』
軽妙なトークと激しいアクションでほかの刑事ドラマとは一線を画すオリジナルな世界観で世代を超えて愛されてきた「あぶ刑事」シリーズ。本作は2016年の映画『さらば あぶない刑事』から8年ぶりの新作で、定年退職して刑事を引退し、ニュージーランドで探偵として第二の人生をスタートさせたタカ(舘さん)&ユージ(柴田さん)が、8年後にヨコハマに戻って探偵事務所を開業するシーンからスタート。記念すべき依頼⼈第1号としてタカ&ユージの前に現れたのは、「ふたりの娘!?」かもしれない彩夏(土屋さん)という女性だった……というストーリー。
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配給:東映 コピーライト:(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会
<プロフィール> 近藤正岳(こんどう・まさたけ) 株式会社セントラル・アーツ 映画「あぶない刑事」プロデューサー。1960年生まれ。83年、大学卒業後、東映株式会社に入社。映画『ビー・バップ・ハイスクール』『あぶない刑事』などの制作宣伝を担当。96年からは企画製作部プロデューサーとして、『あぶない刑事フォーエヴァー』はじめ、『スペーストラベラーズ』『69sixty-nine』『僕たちは世界を変えることができない』『苦役列車』『さらば あぶない刑事』『終わった人』等、数々の作品を世に送り出す。本作のノベライズ(講談社刊、5月24日発売)も執筆。
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