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ただの片づけとはまったく違う!…おひとりさまの「人生を楽しむための片づけ」のポイント6つ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月1日 11時15分

ただの片づけとはまったく違う!…おひとりさまの「人生を楽しむための片づけ」のポイント6つ

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の「おひとりさま」が自宅を片づけようとする際、知っておいたほうがいいことがあります。それは、一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事の杉之原冨士子氏によると、「人生を楽しむための片づけ」だそうです。杉之原氏の著書『おひとりさま最後の片づけ やるべきこと・やらなくてもいいこと』より、詳しくみていきましょう。

「人生を楽しむための片づけ」とは何か?

おひとりさまで、最後の片づけを始めようとして「さあ、片づけるぞ! まずは何から捨てよう」と、意気揚々と取りかかろうとされる方もいるかもしれません。

その前にこれから行う「人生を楽しむための片づけ」と「今までの片づけ本で説明されていた片づけ」の違いを知ってもらいたいと思います。

皆さんは「プレシニア」「アクティブシニア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉は国土交通省の資料(「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(平成31〈2019〉年3月28日公表」)の中で用いられた言葉で、プレシニア(50~64歳)、アクティブシニア(65~74歳)と記載されています。

今50歳の方が「プレシニア」の枠に入るなんて! とショックを受けるかもしれません。また、お孫さんのいる60歳以上の実に65%以上が「高齢者ではない」と思っており、「人生を楽しむための片づけ」、つまり老後を楽しむための片づけと言ってもピンとこないと思います。

けれども、これからの片づけは高齢期に入る前に意識することと、準備することがとても重要なのです。

住まいは人が生きていくための基盤です。幸せになるための条件です。日々買い物に行き、食事をつくり、掃除をする。普通の日常生活を送ることのできる暮らしの中で、夢や希望は生まれてきます。それは、住まいが快適な状態であるからこそできることなのです。

高齢期の住まいは安心・安全で快適な部屋であることがベースになります。そうでないと、家の中でケガをして入院したり、ゴミ屋敷化して最終的に空き家になったりという最悪のケースにつながるのです。だからこそ「プレシニア」の段階での快適な暮らしを意識した片づけが「シニア」世代の、豊かで自分らしい暮らしにつながるのです。

重要なのは、何も置かない殺風景な部屋にすることではありません。

シニア世代を見据えつつ、本当にやりたかったことが今こそできる、ポジティブな部屋にしていきましょう。 まずは「人生を楽しむための片づけ」のポイントを6つにまとめてみました。

ポイント(1)片づけなくていい場所を把握する

突然ですが、おひとりさまになったときにあなたは「これからどんな部屋で、どのように過ごしたい」と思いますか?

自分好みの部屋を想像するとワクワクして、自然とニヤニヤしてしまいますよね。もちろん、その部屋の中に、使っていないモノやあなたが好きではないモノは決して存在していないはずです。

あなたの部屋の中で、気になっている場所はありませんか? 誰にでも片づけたいモノや片づけたい場所があるものです。思い浮かんだモノや場所があれば、まずはそこから片づけましょう。きっとそれは、自分の理想の部屋にするために必要な作業なのだと思います。

もし、どこから片づければいいかわからない場合、最初に片づけるのは、いつも使っている場所です。使っていない場所を、わざわざ片づける必要はありません。

また、天袋は数年間まったく使わなかったモノが入っていることが多いです。つまり、これまで開けなくてもまったく不自由を感じなかったわけです。

このような場所は、片づけなくていい場所と言えます。せっかくモノが収まっているのに、天袋からわざわざすべて引っ張り出して、整理し直す必要はないのです。

理想の部屋にするためには、すべての場所を整理する必要はありません。

おひとりさまの片づけは、重点的に片づけるべき場所や、わかりやすく整理するべきモノがあり、そこを抑えて片づければいいのです。

ポイント(2)何よりも「安心・安全」が大切

おひとりさまの片づけのそもそもの目的は何でしょうか? それは、シニア世代に向けて「ずっと元気で楽しく暮らせる部屋にすること」です。そのためには、安心して暮らせる、安全な部屋にすることが大切です。

「安心・安全な部屋」と聞くと、「うちは危険な部屋なんかないから大丈夫!」と思われるかもしれません。けれども、実は、多くの高齢者が自宅内で転んで救急搬送されているのです。

「ころぶ(転倒)」「落ちる」「おぼれる」「やけど」など、日常生活の事故の理由を調べると、高齢者では「ころぶ(転倒)」が約8割を占め、発生場所は「居住場所」、つまり自宅内59.4%と6割近くに及んでいます。私が「おひとりさまの片づけでは、何よりも安心・安全が大事です」と口を酸っぱくしてお話しする理由は、こうしたデータが根拠になっています。

高齢になると、体力や筋力の低下により敷居などのほんの小さな段差でもつまずいて転んでしまいます。このほか、コタツのコードやコタツ布団、階段など、家の中には実は危険なものがいくつもあるのです。しかも、高齢者の「ころぶ」事故で怖いのは、大腿骨骨折など大きなケガにつながりやすく、入院しなければならなくなることです。

2020年のデータでは、救急搬送された高齢者の38.3%と4割近くが、入院の必要がある「中等症以上」と診断されています。

歳をとるとケガの治りも遅くなります。入院生活が長く続くと、心身の機能が一気に衰えるため、「ころぶ」事故がきっかけで車イス生活になったり、寝たきりになったりしかねません。

そうならないためにも、「安心・安全」を第一に部屋を点検することはとても重要です。

ポイント(3)完璧を目指さない

おひとりさまの片づけを始めるにあたり、ぜひ知っておいて欲しいことがあります。

この時期の片づけは、若い頃の片づけとは大きく違うことです。それは、すべての場所を整理して、完璧な片づけをする必要はなく、今、「使っている場所」と「使いたい場所」を優先して片づければいいのです。

すぐに始めなければと焦りがちですが、まずは優先順位を決めて、片づけることがポイントです。おひとりさまの片づけに、新しい収納のノウハウなどは不要です。これまで長い間こなしてきたあなた流のやり方でいいのです。「きれい」かどうかではなく、「あなたが使いやすい」かどうかで整理すればいいのです。

この記事を読んでいる今、あなたは片づけをしようと前向きな気持ちになっているはずです。けれども、モノと向き合うには、時間がかかり、途中で面倒になるかもしれません。

だからこそ大事なことは、すべての部屋を完璧に片づけることではなく、自分のために自分の好きな場所を片づけることだと知って欲しいのです。

面倒だと思う方はできる場所からでかまいません。この段階でいやになり、片づけを投げ出してしまうことのほうが問題です。

おひとりさまの片づけは、使っているモノをざっくり残すだけ、収納するだけと大雑把でかまいません。 使っていないモノは処分や移動をして物量を減らします。

たとえば、カトラリーは種類やサイズなどをきっちり分けて収納しなくても、大まかに分けられていればOK。 衣類もあなたのたたみ方で引き出しに収納します。それでは片づかない……と思うかもしれませんが、実は、使っているモノはそれほど多くはありません。量をしっかり減らせば、収納術など気にしなくても、何がどこにあるかわかるように収納できます。

片づけをスムーズに進め、途中で投げ出さないためには、「完璧を目指さないこと」が大切です。

ポイント(4)「いる」「いらない」をわかりやすく分ける

おひとりさまの片づけで意識して欲しいのは、次の3つです。

(1)転んでケガをしないよう、床に置いてあるモノを取り除く (2)必要なモノがどこにあるかわかり、すぐに取り出せるようにする (3)思い出の品を整理して、すぐに見られるようにする

1.「いる」モノについて

(1)の「転んでケガをしないよう、床に置いてあるモノを取り除く」ですが、敷居、絨毯など段差でつまずく、玄関のマットで滑る、浴室で滑る、階段・脚立からの転落、布団やコードに足がからんで転倒するなど、実は、自宅の中には危険がたくさんあります。

それだけではありません。日常生活をする上で住まいの中を動く線をつないだものを生活動線と言いますが、特に頻繁に移動するリビングやキッチン、トイレなどの生活動線上にモノが置いてあると、転倒の可能性が高くなります。

おひとりさまの片づけは床面をできるだけ広くすることで、動線をスムーズにすることが重要です。使用しているモノや大事なモノ、これら「いる」モノは動線上から移動させます。(2)の「必要なモノがどこにあるかわかり、すぐに取り出せるようにする」ですが、ここで言う「いる」モノは主に2種類あります。

一つは、「日常生活に必要なモノ」で、キッチン用品や生活雑貨、衣類など、生活の中でよく使うモノです。 もう一つは「重要なモノ」で、通帳や印鑑、契約書類、保険証書、年金手帳、マイナンバーカードなどです。こうしたモノを必要なときにすぐに取り出せるようにしておきます。

(3)の「思い出の品を整理して、すぐに見られるようにする」ですが、「思い出の品」とは、「自分にとって大切なモノ」のことです。これまでの人生の中でさまざまな思い出のモノ、大切なモノがあるはずです。

ちなみに、私は息子が幼稚園に入園するときにパッチワークで作ったレッスンバッグを思い出のモノとして箱に入れています。

ボロボロだし息子はもういらないと言っていましたが、これは私にとっての大切な思い出のモノ、頑張って子育てをしていたときのことを思い出し幸せな気分になるモノなのです。その箱を開ければいつでも見ることができます。

あなたは大事な写真をどのように整理していますか? アルバムに整理していますか? お菓子の箱などにそのまま保管している方も多いと思います。スマートフォンに保存している人も多いでしょう。

大事な写真のはずですが、整理していないと取り出して見ることも少ないでしょう。厳選してポケットアルバムに入れたり、写真をフォトフレームに入れて飾ったりして、お気に入りの写真を手元に置いていつでも見ることができるようにするのもいいでしょう。

2.「いらない」モノ―最終的に処分してもいいモノについて

現在使っている場所と使いたい場所を優先して片づけると、最終的に処分していいモノも明確になってきます。

もう何年も使っていないモノ、見ていないモノ、着ていない服などは最終的に処分するモノになります。最終的に処分していいモノとは、どういうモノなのか?

最近、一人暮らしのお母さまが高齢者住宅に入居した息子さんの話しを紹介します。

高齢者住宅には、一般的に生活用品以外はあまり持っていくことはできません。特に、入居に伴い自宅を売却したり賃貸に出したりする場合には、大半のモノを処分することになります。今回お話を聞いた息子さんは、お母さまの入居までに時間がなく、「思い出の品など残したいモノを、ちゃんと母に聞いてあげられなかった」と大変後悔されていました。

最終的な片づけを行うタイミングは、このお母さまのように、高齢者住宅などに引っ越すときか、あなたが亡くなるときにやってきます。そのときの片づけは、お子さんや親族が行うことが多く、「重要なモノ」と「思い出の品」以外は処分するのが一般的です。その際に、今回の息子さんのように後悔したり、「本当に自分が捨てていいのだろうか」と悩んだりされる方がとても多いのです。

「最終的に処分していいモノ」をわかりやすく分けておくことは、とても大切なことなのです。

ポイント(5)最後は業者に任せればいい

おひとりさまの暮らしでは、それまで使ってきた大きな鍋やたくさんの食器などはもう使わないでしょう。自分自身で少しずつ一般廃棄物として処分したり、リサイクルに出したりするのもいいでしょう。

しかし、最終的に処分していいモノがあまりにも多く、片づける時間が長くかかり、一人では辛いのであれば、一緒に片づけをしてくれる業者に依頼することも選択肢の一つだと思います。

できるだけ早く目的を達成するために、業者に手伝ってもらうことは、決して悪いことだとは思いません。業者に頼むことで、時間を買っているとも言えます。

「時間=命」だからです。

健康寿命は、女性は約75歳、男性は約72歳と話しましたが、あなたにはあと何年残っていますか? この大事な時間を幸せな時間として過ごすには、この片づけ自体も楽しいことであって欲しいと思っています。

業者に依頼すると費用がかかりますが、相続人がいない遺産は2021年度は約647億円となり、10年前の倍近くになっているそうです。このお金はすべて国庫に入ってしまいます。

お金は、自分のために使って欲しいと思います。住まいは幸せになる基盤です。住まいが変われば暮らしが変わり、希望や意欲がわいてきます。「時間=命」と認識し、今とこれからの人生を楽しむために、何にお金を使うか改めて考えてみましょう。

ポイント(6)暮らしに潤いや楽しみを

「転んでケガをしない、安心・安全な部屋」「必要なモノがすぐに取り出せる、快適な空間」が実現でき、「思い出の品がいつでも見られる」ように整理できたら、今とこれからの人生を楽しむために、暮らしに「潤い」や「楽しみ」を取り入れていきましょう。

送りたい暮らし、自分らしい暮らしのイメージは人それぞれ違うはずです。

ファミリータイプのダイニングセットは、もういらないかもしれません。おひとりさまにぴったりの小さめのテーブルにして、ちょっと贅沢なリクライニングソファが欲しいと思う人もいるかもしれません。

お友達とおしゃべりしたい、得意なフラワーアレンジメントを教えたい、と思うなら大きなテーブルは残しておいたほうがいいですよね。やりたいことに合わせて、家具の種類や大きさも変化するのです。

インテリアを整えていく中で、ぜひ取り入れて欲しいのは、間接照明です。特に、温かみのあるオレンジ色(電球色)の間接照明をリビングや寝室に置くと、ゆったりとした気分を演出することができます。安らぎの空間で自分の好きなことに夢中になる幸せな時間を過ごしてください。

また、毎日気に入った食器で食事をしていますか? 気にならない方は今のままでもいいでしょう。けれども、食器もおいしさの一部です。大好きな器にのせれば、出来合いの料理でもおいしく感じ、食欲をそそるものです。たくさんの食器はいりません。お気に入りの食器だけ、食器棚の使いやすい場所に収納しましょう。

老後2000万円問題などが騒がれ、節約しなければと思う気持ちもよくわかります。先行き不安な世の中で、自分にお金を使うことをためらうこともわかります。

けれどもお金は生きている間にしか使えません。生きた使い方をすれば、決して無駄遣いではありません。 自分らしいお金の使い方で豊かな暮らしを送って欲しいです。

おひとりさまの片づけでは、これまでの人生の棚卸しをして、「これからどんな暮らしをしていきたいか」「自分はどんなものが好きなのか」を見つめ直すことが大切です。

杉之原 冨士子

一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事

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